内視鏡は検査だけでなく、治療もできるの?

カメラを通して、体の内部をじかに見ることのできる内視鏡。その役割は、単に映像を「映しだす」だけなのだろうか。もし異常を見つけたときに簡単な処置ができれば、その利便性や有用性は、格段に増すはずだ。内視鏡でできることを、里村クリニックの里村仁志先生に伺った。

監修医師
里村 仁志(里村クリニック 副院長)

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2003年に獨協医科大学医学部卒業後、NHO災害医療センター、獨協医科大学、さいたま赤十字病院勤務を経て、2018年より父が院長を務める「里村クリニック」副院長。8歳よりさいたま市緑区にて育ち、地域の生活をより豊かにするための治療や生活指導、検診などに力を入れる。専門は消化器。日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医・消化器がん外科治療認定医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化管学会胃腸科専門医・指導医、医学博士。

編集部編集部

内視鏡そのもので治療はおこなえるのでしょうか?

里村先生

胃の内視鏡には、口から入れる経口内視鏡と鼻から入れる経鼻内視鏡があります。このうち切除手術がおこなえるのは、原則として経口内視鏡のみです。なお、経鼻内視鏡でも、検査用に組織の一部を採取することはできます。一方、大腸内視鏡は経口内視鏡と同じで、切除手術等がおこなえます。

編集部編集部

それぞれの内視鏡は、どの臓器を見るのですか?

里村先生

胃の内視鏡は、正式には上部消化管内視鏡検査といわれ、食道、それに十二指腸の一部まで届きます。この範囲なら内視鏡で治療がおこなえるものの、決してすべてのケースに対応しているわけではありません。場合によっては、病院での切開手術へ移ることもあります。胃の内視鏡で対応できるのは、「1A」ステージまでの初期胃がん、イボのような胃腺腫(いせんしゅ)やポリープといったところでしょうか。大腸全般を検査する大腸内視鏡も、見る場所が異なるだけで、できることは同じです。

編集部編集部

がんの場合は、初期のステージに限られているんですね?

里村先生

はい。例えば胃壁は5層に分かれているのですが、内視鏡で対応できるのは、一番表面の粘膜層までです。粘膜にできた腫瘍やポリープの裏側へ特殊な注射をし、患部を浮かせた状態にして削り取ることになります。この方法だと、胃壁を貫通するような穴が開きません。大腸の場合も、基本的には同様です。

内視鏡での治療が難しいケース

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編集部編集部

あえて切除しない場合もあるのですか?

里村先生

がんの場合は、仮に発見できても切除せず、ひとまず組織検査へ回すことがあります。がんの性質や種類、他臓器への転移の可能性などを調べるためです。この場合は、後日、治療方針の決定をおこなうことになります。

編集部編集部

治療の内容としては、手術になるのでしょうか?

里村先生

がんの種類や場所、転移の有無など状態によって、内視鏡での切除や手術が選択されます。その判断は、必ずしも検査したクリニックがおこなうわけではありません。がんの専門病院へ転院することもあるでしょう。

編集部編集部

ポリープの場合についても教えてください

里村先生

胃腺腫やポリープでも、影になって届きにくい箇所などは、無理をしてまで切除しません。別の方法を考えます。がん化の可能性が低ければ経過観察もありえますし、リスクが高ければ切開手術で摘出します。

編集部編集部

経過観察は、どの程度続くのでしょう?

里村先生

だいたい半年くらいでしょうか。その間、定期的に受診していただきます。症状が落ち着いてきたら、1年に1回程度の頻度へ落としていきます。

「おかしいな」と思ったら内視鏡検査を

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内視鏡検査で病変が見つかるのは、どのくらいの確率なのですか?

里村先生

あくまで当院の症例で、胃で良性を含むポリープが見つかる割合は、3~4人に1人くらいです。胃がんは何とも言えませんね。大腸ポリープも3~5人に1人くらいです。ただし、内視鏡検査を受けられるのは健康診断で指摘を受けた方や、便潜血検査で陽性が出た方が多いですから、全く自覚症状のない方を含めた確率となると難しいですね。

編集部編集部

そのうち、その場で治療ができるケースは?

里村先生

胃のポリープは良性であれば、多くが経過観察になります。大腸ポリープの場合は、5mm以上であればできるだけその場で切除してしまいます。がんは、前述の通り、検査に回す場合があります。見えている箇所を切除しただけでは、解決しないケースがあるからです。

編集部編集部

どのような人に内視鏡を受けてほしいですか?

里村先生

胃に痛みや不調といった自覚のある方です。大腸に関しては、便が異常なほど細い方や血便が出る方でしょうか。日本人は、胃がんの発症率がことさら高いと言われています。症状がなくとも、40歳以上で内視鏡検査を受けたことのない方は、一度、受診してみてください。特定健診などの制度もありますし、「がんを見つけるため」ではなく「健康という自信を得るため」に活用していただきたいですね。

編集部まとめ

里村仁志先生は、「発見が早ければ早いほど、最小の治療で済ませられる」とおっしゃっていました。また、「予防はどんな治療にも勝る」とのこと。胃がんはピロリ菌の除菌で、大腸がんはポリープの除去で予防することができます。まさに予防と早期発見のためにあるのが、定期的な内視鏡検査といえるでしょう。検査費用の公的負担も受けられますので、まずは、内視鏡検査を受けてみませんか。是非を論じるのは、その後でも遅くないでしょう。

医院情報

里村クリニック

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診療科目 内科・消化器内科・外科・放射線科