「寒気と吐き気」は起こる原因は?感染症の他にお酒・生理前・食べ過ぎなど状況ごとに解説!


監修医師:
関口 雅則(医師)
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浜松医科大学医学部を卒業後、初期臨床研修を終了。その後、大学病院や市中病院で消化器内科医としてのキャリアを積み、現在に至る。内視鏡治療、炎症性腸疾患診療、消化管がんの化学療法を専門としている。消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、総合内科専門医。
目次 -INDEX-
寒気と吐き気の症状で考えられる病気と対処法
寒気と吐き気が同時に現れる場合、体は緊急の防御反応を示していることが多いです。寒気は体温を上げて免疫を高めようとするサインであり、吐き気は有害物を排出しようとする反応かもしれません。ここでは発熱や下痢などの症状との組み合わせから考えられる原因と、すぐにできる対処法を解説します。寒気と吐き気の症状で考えられる原因と対処法
寒気と吐き気が同時に起こる場合、体内でウイルスや細菌などの異物と戦う免疫反応が始まっている可能性が高いです。脳の嘔吐中枢が刺激されることで吐き気が生じ、これから熱が上がる前兆として筋肉を震わせて熱を生み出すために寒気(悪寒)を感じます。 まずは衣服や毛布で体を十分に温め、安静にすることが最優先です。無理に食事を摂らず、脱水を防ぐために常温の水や経口補水液を少量ずつ摂取してください。症状が続く場合は内科や消化器内科を受診しましょう。急な寒気と吐き気の症状で考えられる原因と対処法
さっきまで元気だったのに急激に寒気と吐き気に襲われた場合、急性胃腸炎や食中毒、あるいはアナフィラキシーショックなどの急性アレルギー反応が疑われます。特に食後数時間以内の発症であれば、食べたものが原因である可能性が高いでしょう。 毒素を排出しようとする反応なので、吐き気が強い場合は無理に我慢せず吐いてしまうことも一つの手段です。ただし、激しい腹痛や呼吸困難を伴う場合は緊急性が高いため、ためらわずに救急外来や消化器内科を受診してください。発熱と寒気・吐き気の症状で考えられる原因と対処法
発熱を伴う寒気と吐き気は、インフルエンザや腎盂腎炎、胆管炎などの感染症でよく見られる症状です。ウイルスや細菌が全身に影響を及ぼしているサインであり、体温が急激に上昇する際に強い悪寒を感じます。 寒気があるうちは体を温め、熱が上がりきって暑さを感じたら氷枕などでクーリングを行うのが基本です。高熱が続く、水分も摂れないほど嘔吐が激しいといった場合は、点滴治療が必要になることもあるため、早急に内科やかかりつけ医を受診してください。寒気と吐き気と下痢の症状で考えられる原因と対処法
この3つの症状が揃っている場合、ウイルス性や細菌性の感染性胃腸炎が最も疑われます。腸管内で炎症が起き、消化吸収能力が著しく低下している状態です。下痢止めを安易に使用すると、体外に出すべきウイルスや毒素を体内に留めてしまい、かえって回復が遅れることがあります。 整腸剤を服用し、消化の良い食事を心がけてください。脱水症状になりやすいため、こまめな水分補給が不可欠です。血便がある場合は重症化の恐れがあるため、消化器内科を受診しましょう。発熱・寒気・吐き気・下痢の症状で考えられる原因と対処法
これら全ての症状が同時に現れる場合、ノロウイルスやロタウイルスなどの強力なウイルス性胃腸炎、あるいはサルモネラやカンピロバクターなどの細菌性食中毒の可能性が高いです。全身の倦怠感も強く、体力を著しく消耗します。 家庭内感染を防ぐため、吐瀉物(としゃぶつ)や排泄物の処理には塩素系漂白剤を使用し、手洗いを徹底してください。高齢者や乳幼児は重篤な脱水になりやすいため、症状が改善しない場合は夜間でも医療機関への相談や受診を検討すべき状態です。【女性】寒気と吐き気の症状の考えられる原因と対処法
女性の体はホルモンバランスの波に影響を受けやすく、それが寒気や吐き気の大きな要因となることがあります。特に生理周期や妊娠といったライフステージの変化は、自律神経や体温調節機能に作用し、思わぬ不調を引き起こします。こうした女性特有の状況下で起こる症状について、その原因と対処法を解説します。生理前に寒気と吐き気がする症状で考えられる原因と対処法
生理前はプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響で基礎体温が高くなり、微熱による寒気やほてりを感じやすくなります。また、ホルモンバランスの急激な変化が自律神経に影響し、月経前症候群(PMS)の一種として吐き気が現れることもあります。 無理に活動せず、体を冷やさないようにしてリラックスして過ごすことが大切です。症状がひどく日常生活に支障が出る場合は、婦人科で低用量ピルの処方や漢方薬などの相談をすることをお勧めします。妊娠中に陣痛があって寒気と吐き気がする症状で考えられる原因と対処法
妊娠後期や臨月に陣痛(子宮収縮)とともに寒気や吐き気を感じる場合、お産が近づいているサイン(前駆陣痛や本陣痛の始まり)である可能性があります。お産に向けてホルモン分泌が急激に変化することや、痛みに伴う緊張や血圧変動が原因です。 まずは楽な姿勢を取り、深呼吸をしてリラックスを心がけてください。規則的な痛みや破水感がある場合は、直ちにかかりつけの産婦人科に連絡し、指示を仰いでください。ご自身で運転して病院へ行くのは避けましょう。ケース別の寒気と吐き気の症状の主な原因と対処法
寒気や吐き気は、必ずしも病気が原因とは限りません。私たちの日常生活における何気ない行動が、体の不調を引き起こすきっかけになることもあります。特によく見られる「飲酒」や「食事」に関連するケースに焦点を当て、なぜ症状が現れるのか、そしてどう対処すればよいのかを見ていきましょう。飲酒後の寒気と吐き気の症状で考えられる原因と対処法
アルコール分解過程で生じるアセトアルデヒドという有害物質が体内に蓄積すると、激しい吐き気や寒気、頭痛を引き起こします。これはいわゆる「二日酔い」や「急性アルコール中毒」の症状です。アルコールの利尿作用で脱水状態になり、体温調節機能が乱れて寒気を感じることもあります。 まずは常温の水やスポーツドリンクで水分を補給し、代謝を促して毒素を排出することが重要です。意識が朦朧としている場合は、すぐに救急車を呼んでください。食べ過ぎで寒気と吐き気がする症状で考えられる原因と対処法
食べ過ぎにより胃が過度に引き伸ばされると、迷走神経反射が起こり、冷や汗や寒気、吐き気が生じることがあります。また、消化不良により胃の内容物が停滞し、胃酸が逆流することでも不快感が強まります。 まずはベルトや衣服を緩めて右側を下にして横になり、胃の消化活動を助ける体勢をとりましょう。市販の消化酵素剤や胃薬を服用するのも有効です。翌日はお粥やうどんなど消化に良い食事にし、胃腸を休ませることが回復への近道です。すぐに病院へ行くべき「寒気と吐き気」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。 応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。 以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。寒気と吐き気があって激しい頭痛や意識障害がある場合は、脳神経外科・救急科へ
寒気と吐き気に加えて、ハンマーで殴られたような激しい頭痛、首筋の硬直、ろれつが回らない、意識が遠のくといった症状がある場合は、くも膜下出血や髄膜炎(ずいまくえん)などの脳神経系の重篤な疾患が疑われます。これらは一刻を争う状態であり、命に関わる危険性が非常に高いです。ご自身や家族で判断して様子を見ることは絶対に避け、ためらわずに救急車を要請するか、救急対応が可能な総合病院の脳神経外科などを直ちに受診してください。「寒気と吐き気」の症状が特徴的な病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「寒気と吐き気」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。急性胃腸炎・ウイルス性胃腸炎
ウイルスや細菌などが胃腸に感染して炎症を起こす病気です。主な原因はノロウイルス、ロタウイルス、サルモネラ菌などで、汚染された食品の摂取や人からの感染で発症します。 突然の吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、発熱が特徴的です。 特効薬はないことが多く、整腸剤や制吐剤による対症療法が中心となります。水分摂取が困難な場合は点滴が必要です。 嘔吐や下痢が激しく水分が摂れない、血便がある場合はすぐに消化器内科を受診してください。ノロウイルス
冬場に流行しやすい非常に感染力の強いウイルス性胃腸炎の一種です。二枚貝などの食品からの感染や、感染者の吐瀉物からの二次感染が原因となります。 激しい吐き気と嘔吐、水のような下痢、発熱、腹痛が急激に現れます。 通常は1〜2日で症状は治まりますが、脱水症状に注意が必要です。 特効薬はないため、脱水を防ぐための水分補給が治療の基本です。脱水徴候が見られる場合は内科・消化器内科を受診しましょう。インフルエンザ
インフルエンザウイルスの感染によって引き起こされる呼吸器感染症です。飛沫感染や接触感染で広がります。 38度以上の高熱、悪寒、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感が特徴で、咳や鼻水などの症状も伴います。B型インフルエンザなどでは、腹痛や吐き気などの消化器症状が強く出ることもあります。 発症から48時間以内の抗インフルエンザ薬の使用が有効です。高熱や呼吸苦がある場合は、早めに内科を受診してください。肺炎
細菌やウイルスなどが肺に入り込み、炎症を起こす病気です。風邪をこじらせた後や、高齢者、免疫力が低下している人が発症しやすいです。 高熱、激しい咳、黄色や緑色の痰、息苦しさが主な症状ですが、全身の炎症反応として強い寒気や吐き気、食欲不振を伴うことも少なくありません。 抗菌薬(抗生物質)による治療が必要です。呼吸が苦しい、意識がもうろうとするなどの症状がある場合は、速やかに呼吸器内科を受診し、入院治療を含めた検討が必要です。「寒気と吐き気」の正しい対処法は?
寒気と吐き気が同時にある場合、まずは「寒気がある時期は温め、熱が上がりきったら冷やす」のが鉄則です。寒気(悪寒)は体が熱を上げようとしているサインなので、電気毛布や厚着で十分に温めてください。吐き気があるときは、横向きで寝ると、万が一嘔吐しても誤嚥を防げます。 食事は無理に摂らず、胃腸を休めることが重要です。水分補給は、冷たい水ではなく常温の水や経口補水液を一口ずつ、5〜10分おきにこまめに飲みましょう。一気に飲むと胃が刺激されて再び嘔吐してしまうため注意が必要です。「寒気と吐き気」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「寒気と吐き気」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
寒気と吐き気がある原因はなんでしょうか
関口 雅則(医師)
主な原因はウイルスや細菌による感染性胃腸炎や風邪、インフルエンザなどの感染症です。体が病原体と戦うための免疫反応として、発熱(寒気)と毒素排出(吐き気)が起こります。その他、ストレスによる自律神経の乱れ、生理前のホルモン変化、脳疾患などが原因となることもあります。
食後に急な胃痛・寒気・吐き気がするのは食中毒でしょうか?
関口 雅則(医師)
食後数時間以内、特に30分〜6時間程度で急激に症状が出た場合は、食中毒(特にブドウ球菌やセレウス菌など)の可能性が高いです。一緒に食事をした人にも同様の症状がないか確認してください。ただし、胃潰瘍や胆石発作、急性膵炎などでも同様の症状が出ることがあるため、痛みが強い場合は受診が必要です。
熱を測っても平熱なのに寒気や吐き気がするのですが、自律神経失調症なのでしょうか?
関口 雅則(医師)
熱がないのに寒気や吐き気がある場合、ストレスや疲労による自律神経の乱れ、冷え性、貧血、あるいは「寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)」などが考えられます。また、これから熱が上がる直前の状態である可能性もあります。症状が長引く場合や繰り返す場合は、一度内科で甲状腺機能などの検査を受けることをお勧めします。
急な悪寒と胃の不快感を感じたときの治し方を教えてください。
関口 雅則(医師)
まずは衣服を緩めて体を温め、楽な姿勢で安静にしてください。胃の不快感があるときは食事を抜き、白湯などで水分を少しずつ補給します。市販の胃薬を服用するのも一つの手ですが、痛みが激しい場合は服用を控え受診してください。睡眠を十分にとり、心身の疲労を回復させることが大切です。
まとめ 寒気と吐き気があるときは消化器内科へ
寒気と吐き気は、体が何らかのトラブルと必死に戦っているサインです。多くは胃腸炎や風邪などの一時的な感染症ですが、中には緊急性の高い病気が隠れていることもあります。 特に「我慢できないほどの腹痛」「水分が全く摂れない」「意識がはっきりしない」といった症状がある場合は、自己判断せずにすぐに医療機関を受診してください。早期の受診が辛い症状を長引かせないための一番の近道です。無理をせず、ゆっくりと体を休めましょう。「寒気と吐き気」症状で考えられる病気
「寒気と吐き気」から医師が考えられる病気は13個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。泌尿器系の病気
循環器系の病気
- 感染性心内膜炎
- 急性心筋炎