「熱が上がったり下がったりする」原因はご存知ですか？考えられる病気も医師が解説！

熱が上がったり下がったりする時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか？Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

「熱が上がったり下がったりする」原因と対処法

熱が上がったり下がったりする原因は、感染症や自律神経の不調などさまざまです。ここでは全般的な説明と、大人と子どもそれぞれの特徴、よくある病気別の特徴をお伝えします。

熱が上がったり下がったりする原因と対処法

熱が上がったり下がったりする症状には、平熱と発熱を行き来するパターンや、平熱より高いままで上下するパターンがあります。原因としては感染症が多いですが、体温を制御している自律神経の調節が乱れる自律神経失調症や、自己免疫疾患、薬剤性などいろいろな原因が考えられます。 人の体温は朝には低く、昼頃から夕方に向けて高くなり、夜にはまた下がる変動を繰り返しています。病気のときの体温も、この変動に沿って上下するのは珍しくありません。逆に変動に沿わずに上下する病気もあり、微熱であっても体に負担がかかることもあります。 熱が上下しているときは、体温の記録が大切です。できれば朝昼晩の3回測っておくと、変化が分かって診断に役立ちます。解熱剤を飲んだ時間も記録しておきましょう。発熱以外の症状が重かったリ、発熱が何日も持続する場合には、内科や耳鼻咽喉科、呼吸器内科などを受診します。

【大人】熱が上がったり下がったりする原因と対処法

大人で熱が上がったり下がったりする原因は感染症や自己免疫疾患などが多いです。発熱が持続している場合や咳や頭痛、下痢、関節痛など他の症状が伴う場合には内科を受診しましょう。 感染症や自己免疫疾患などが否定された場合、ストレスや多忙によって、体温を調節している自律神経に不調が起き、微熱や発熱を繰り返す場合も考えられます。熱が疲れから来ているようなら、栄養と休息を取るのが一番です。ストレス発散も効果的でしょう。なかなか下がらない場合は、心療内科や精神科で相談してみてください。 高齢者では体温の調節機能が低下することで、発熱につながる場合もあります。夏場は熱中症に注意し、適切に冷房を使いましょう。

【子ども】熱が上がったり下がったりする原因と対処法

体温調節が未熟な子どもは、病気でなくても食事や運動、気温といった思わぬ要因で熱が上がることがあります。衣服や室温を調節して落ち着けば問題ありません。 病気での発熱は、ウイルスや細菌の感染によることが多いです。RSウイルスやヒトメタニューモウイルス、副鼻腔炎や中耳炎などです。また、午前中に一度熱が下がっても、夕方に熱が上がるケースはよくあります。 普段とあまり変わらず元気であれば、自宅で様子を見ても良いでしょう。こまめに水分を補給してください。逆に元気がない、機嫌が悪いなど心配な様子があれば、迷わず小児科を受診してください。

インフルエンザで熱が上がったり下がったりする原因と対処法

インフルエンザでは、一度熱が下がったのに再度上がることがあります。インフルエンザウイルス自体に、このような性質があるとも指摘されています。 処方された抗ウイルス薬を途中でやめたり、吸入薬をうまく吸えなかったりした場合は、効果が不十分となって再度発熱する可能性もあります。症状が落ち着いても、薬は最後まで飲み切りましょう。 感染によって抵抗力が落ち、症状が長引くケースもあります。なかなか回復してこない場合は、内科や小児科を受診してください。

新型コロナウイルス感染症で熱が上がったり下がったりする原因と対処法

新型コロナウイルス感染症では、一旦上がった熱が上下しながら下がっていくことも少なくないようです。軽症ならば、発症後1週間以内に軽快することが多く 、一般的な風邪と同じ対処で問題ありません。水分をとり、衣服や室温を調節して無理せず過ごしましょう。 発症後4日を過ぎてもなかなか改善しない場合や、食事がとれない、息苦しさが見られる場合は、内科（子どもなら小児科）を受診しましょう。また、高齢者や基礎疾患がある方、妊娠中の方は重症化のリスクが高く、治療の対象となる場合があるため受診をおすすめします。

溶連菌感染症で熱が上がったり下がったりする原因と対処法

溶連菌感染症では、突然の発熱と喉の痛みが出現し、ときに吐き気も伴います。鼻水や咳は少ないのが特徴で、熱は上下することもあります。 治療では抗菌薬を最低10日間、確実に服用する必要がありますが、途中でやめてしまうと熱がぶり返す可能性もあります。また、溶連菌は何種類もあるため、治っても違う型に感染すれば再度発熱するかもしれません。熱が落ち着かない場合は、小児科や内科を受診しましょう。

扁桃炎で熱が上がったり下がったりする原因と対処法

扁桃とは、舌の付け根の左右にある膨らみの部分です。ここが腫れるのが扁桃炎で、喉が痛い・飲み込むときに痛いといった特徴的な症状のほか、発熱や倦怠感も現れます。水分補給を行い、安静に過ごしましょう。 原因はウイルス感染によることが多いですが、子どもでは溶連菌感染症も目立ちます。大人ではストレスや生活習慣の乱れから、抵抗力が下がって腫れることもあります。 溶連菌感染症の場合は抗菌薬が有効です。長引くと別の病気を引き起こすケースもあるため、早めに小児科や耳鼻科を受診しましょう。

副鼻腔炎で熱が上がったり下がったりする原因と対処法

副鼻腔炎は、鼻の奥にある副鼻腔という空間に炎症が起きる病気です。ドロドロした鼻水が出るほか、顔の痛みや頭痛を感じることもあります。ウイルスや細菌による風邪症状に伴ってよく起き、自然に治ることも少なくありません。 ただし発症後5日以上たって、一度下がってきた熱が再び上がってきた場合は、副鼻腔への細菌感染が長引いている可能性があります。こうした場合は耳鼻科を受診してください。

すぐに病院へ行くべき「熱が上がったり下がったりする」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。 応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。 以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

意識がおかしい、息苦しいなどの場合は救急受診を

熱が上がったり下がったりしている人が、以下の状態のときは急を要する可能性があります。

• ・ぼんやりして反応が弱い、もうろうとしているなど意識がおかしい
• ・息が荒い、少し動くだけで息が切れる、苦しくて横になれないなど息苦しさが強い
• ・顔色が明らかに悪い、見た目の様子がおかしい

生後3ヶ月未満の赤ちゃんであれば、38℃以上の熱があるだけで急を要します。 これらの場合は、状況により救急車を呼んで、急いで病院を受診してください。

「熱が上がったり下がったりする」症状の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「熱が上がったり下がったりする」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

肺炎

喉・鼻の風邪から気管支炎、肺炎へと進展する場合や、飲食物が間違って肺に入り炎症を起こす場合など、さまざまな原因で肺炎が起きます。 肺炎では、熱が上がったり下がったりしながら長引くことが少なくありません。一方で、高齢者では微熱程度のこともあります。咳や痰を伴うことも多いですが、あまり咳が出ない肺炎もあります。 細菌感染であれば抗菌薬の投与が必要です。症状が続く場合は、呼吸器内科や内科を受診してください。

新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症は、最初はよくある風邪のようでも、数日から2週間ほどで悪化してくる場合があります。軽症の場合には熱がないこともありますが、38度近くの熱が続くことも多いです。また、重症化し、肺炎などを合併する場合は 、抗ウイルス薬等による治療が必要となる事もあります。 高齢者や基礎疾患がある方、妊娠中の方は特に注意が必要ですが、当てはまらない方でも悪化する場合があります。発症後4日を過ぎてもなかなか改善しない場合や、悪化が見られる場合は、早めに内科や呼吸器内科を受診してください。

咽頭結膜熱（プール熱）

咽頭結膜熱はアデノウイルスによる感染症です。1日のなかで39～40℃の高熱と、37～38℃前後の微熱を行き来するのが特徴的です。扁桃が腫れて喉が痛むほか、両目または片目が真っ赤に充血して目やにが出るなどの結膜炎症状を伴います。頭痛や腹痛、下痢を伴うこともあります。 咽頭結膜熱に特別な治療法はありません。熱は4〜5日続くこともありますが、多くの場合自然に治ります。もし目の症状が強ければ眼科を、その他の症状がつらければ小児科や内科を受診しましょう。

川崎病

川崎病は、全身の血管に炎症が起きる病気です。4歳以下の乳幼児で起きやすく、原因は分かっていません。高熱が続くのが特徴的で、熱が上下することもあります。 他に特徴的な症状は、目の充血、唇や舌の発赤、全身の発疹、手足の腫れ、BCG接種部位の発赤、首のリンパ節の腫れです。3歳以上では首の腫れだけを伴う場合も少なくありません[5] 。 熱が長引くと、心臓へ栄養を届ける血管にダメージが残る可能性があります。多くの場合、点滴と内服による治療で熱は下がるため、上記の特徴的な症状があれば小児科を受診してください。

自律神経失調症

自律神経とは、体温や脈拍、呼吸などを自動的に調節している神経です。その調整が崩れるのが自律神経失調症で、めまいや肩こり、頭痛、手足が冷える、ドキドキする、下痢や便秘、胃がおかしい、眠れないといった多彩な症状が現れます。微熱が続いたり、夜に熱が上がったりする方もいます。 自律神経のバランスが乱れる要因は、生活習慣の乱れやストレスです。嫌なことだけでなく、楽しいイベントも体にとってはストレスとなります。不調を感じたら、ストレス解消や生活習慣を整えることを意識してみましょう。 生活に支障がある場合は、症状に対する治療や、心に対する治療を受けられます。かかりつけ医に相談してみてください。症状がひどいときだけでなく、軽いときも定期的に通院して心身の調子を整えていきましょう。

「熱が上がったり下がったりする」ときの正しい対処法は？

熱が上がったり下がったりするときは、よく休むのが一番です。上がるときには寒く感じるため、布団をかけたり、カイロや電気毛布を使ったりして温めましょう。下がるときには暑く感じるため、薄着をしたり、首や脇の下などを冷やしたりしましょう。 水分をとるのも大切です。お茶や牛乳でも良いですし、経口補水液も飲みやすいでしょう。 市販の解熱剤を使うのも選択肢です。少しでも熱を下げると体が楽になり、睡眠や食事が取れる場合があります。 おすすめの成分はアセトアミノフェンです。薬剤師や登録販売者に相談して購入しましょう。 漢方薬は、体の状態によって使い分けます。たとえば風邪を発症したばかりで高熱が出ているときには、体を温めて発汗を促す葛根湯や麻黄湯が適しています。治りかけで微熱が出たり引っ込んだりしているときには、体力を補う補中益気湯が合うかもしれません。漢方薬も、購入前に薬剤師や登録販売者に相談してください。 微熱を繰り返す場合は、規則正しい生活を意識してみましょう。自律神経を整えるためにも、免疫力を保つためにも大切です。ストレス解消のために、散歩や入浴、運動、カラオケなど、自分に合った方法を探してみましょう。 セルフケアで改善が見られないときは病院に行きましょう。抗菌薬や抗ウイルス薬を処方されたら、最後まで飲みきることが大切です。 微熱であっても、繰り返す場合は病気が隠れているかもしれません。原因に合った治療が見つかれば、早く治る可能性があります。

まとめ 発熱症状が続く時には内科・小児科を受診しよう！

熱が上がったり下がったりする原因は、感染症、自己免疫疾患、自律神経失調症などさまざまです。セルフケアで治る場合も多いですが、長引く場合は病院での治療が必要かもしれません。様子がおかしいと思ったら、ためらわずに受診するようにしましょう。

「熱が上がったり下がったりする」で考えられる病気

「熱が上がったり下がったりする」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。 熱が上がったり下がったりする病気は、感染症やストレス性などさまざまです。ここに挙げた他にも、自己免疫が関わっている場合や、薬が合わず熱が出ているケースもあります。

「熱が上がったり下がったりする」に似ている症状・関連する症状

「熱が上がったり下がったりする」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。 熱が上がったり下がったりする原因によって、関連する症状もさまざまです。気になる症状や、生活に支障のある症状は病院で相談するようにしましょう。