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「インフルエンザによる異常行動」はどんな行動が現れる?いつまで続くかも解説!

 更新日:2025/03/07
「インフルエンザによる異常行動」はどんな行動が現れる?いつまで続くかも解説!

インフルエンザの季節が到来し、さまざまな方が感染の危険にさらされています。しかし、インフルエンザそのものの症状だけでなく、近年関心を寄せられているのが異常行動の問題です。高熱や意識障害に伴い、患者さんが突然奇異な行動をとるケースがあるといわれています。

本記事では、インフルエンザによる異常行動について以下の点を中心にご紹介します!

  • インフルエンザによる異常行動
  • インフルエンザによる異常行動の特徴
  • インフルエンザによる異常行動の予防法

インフルエンザによる異常行動について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

インフルエンザによる異常行動とは

インフルエンザによる異常行動とは

インフルエンザによる異常行動の原因は何ですか?

インフルエンザに感染した際、患者さんが異常行動を示すことがあります。これらの行動は、抗インフルエンザ薬の服用の有無や種類に関わらず見られるとされています。そのため、異常行動の原因は薬剤ではなく、インフルエンザそのものによる影響と考えられています。

発熱から2日以内に異常行動が現れることが多い傾向があり、10歳前後の子どもに見られます。常行動の具体例としては、突然走り出す、興奮して窓を開けてベランダに出る、うわごとをいうなどがあります。

これらの行動は、インフルエンザウイルスが脳に影響を及ぼすことや、高熱による”熱せん妄”が原因と考えられています。

したがって、抗インフルエンザ薬の服用の有無に関わらず、発症後少なくとも2日間は、特に小児・未成年者が一人にならないよう注意し、事故防止のための対策を講じることが重要です。

インフルエンザによる異常行動はいつまで続きますか?

インフルエンザに罹患した際、異常行動が見られることがあります。これらの行動は、発熱後の初日〜二日目にかけて多いとされていますが、具体的に何日間続くかは明確にはわかっていません。

異常行動の原因としては、高熱による”熱せん妄”や、まれに”インフルエンザ脳症”が考えられます。10歳前後の子どもに多く見られるとされるため、発症から少なくとも2日間は、保護者が近くで見守り、窓やドアの施錠など事故防止の対策を講じることが重要です。

常行動が長引く場合や、症状が重いと感じられる場合は、速やかに医療機関を受診してください。

インフルエンザによる異常行動の事例を教えてください

インフルエンザに罹患した際、特に小児や未成年者において、普段とは異なる行動が見られることがあります。具体的には、突然立ち上がって部屋を出ようとしたり、興奮して窓を開けてベランダに出て飛び降りようとする、あるいは誰かに襲われる感覚を覚えて外に走り出すといった行動があるとされています。

また、泣きながら部屋の中を動き回ったり、突然笑い出す、話しかけても反応しない、さらには意味不明なことを口にするなどの症状も見られることがあります。

これらの異常行動は、発熱から2日以内に発現し、10歳前後の子どもに多く見られる傾向があります。そのため、発症後の初めの数日間は、保護者が子どもを注意深く見守り、事故防止のための対策を講じることが重要です。

インフルエンザによる異常行動の特徴

インフルエンザによる異常行動の特徴

インフルエンザと脳症の関係性について教えてください

インフルエンザは、発熱や咳などの症状が挙げられますが、まれに重篤な合併症としてインフルエンザ脳症を引き起こすことがあります。

インフルエンザ脳症とは、インフルエンザ感染後に急速に進行する脳の炎症で、主に5歳以下の幼児に見られることが多いとされています。症状としては、発熱後24時間以内にけいれんや意識障害、異常行動などが現れ、重症化すると全身の臓器障害やショック状態に至ることもあります。

インフルエンザ脳症の発症メカニズムはまだ解明されていませんが、ウイルス感染に対する過剰な免疫反応やサイトカインの大量放出が関与していると考えられています。

インフルエンザによる異常行動は脳への影響や後遺症がありますか?

インフルエンザに伴う異常行動は、主に高熱による一時的な脳の機能不全が原因と考えられ、脳に恒久的な影響や後遺症を残すことはあまりないといわれています。

しかし、まれにインフルエンザ脳症と呼ばれる重篤な合併症が発生することがあります。インフルエンザ脳症は、適切な治療が行われない場合、約25%の患者さんに後遺症が残るとされています。

したがって、異常行動が一時的で短時間で収まる場合は深刻な問題となることは少ないですが、症状が長引く、または重篤な場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。

インフルエンザの異常行動はタミフルと関係ありますか?

インフルエンザ患者さんに見られる異常行動と、抗インフルエンザ薬であるタミフル(オセルタミビル)との関係については、これまでさまざまな調査が行われてきました。

タミフル服用後の異常行動が見られ、特に10代の患者さんにおいて注意が促されていました。
しかし、厚生労働省の報告書によれば、タミフル服用の有無に関わらず、インフルエンザ自体が異常行動の原因となる可能性が示唆されています。そのため、現時点ではタミフルと異常行動の直接的な因果関係は明確に証明されていません。

したがって、インフルエンザの患者さんがタミフルを服用する際には、薬剤の影響だけでなく、インフルエンザそのものによる異常行動のリスクを考慮し、特に小児や未成年者の場合は、保護者が目を離さないよう注意することが重要です。

インフルエンザによる異常行動の治療法や予防法

インフルエンザによる異常行動の治療法や予防法

インフルエンザによる異常行動の治療法はありますか?

インフルエンザによる異常行動に対する特別な治療法は確立されていません。異常行動は主に高熱による一時的な脳の機能不全が原因と考えられ、通常は一過性であり、特別な治療を必要としないことが多いとされています。

しかし、異常行動が見られる場合、事故防止のための対策が重要です。具体的には、発熱から少なくとも2日間は、特に小児や未成年者が一人にならないようにし、窓やドアの施錠を行うことが推奨されています。

また、異常行動が長引く、または症状が重いと感じられる場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。

タミフル以外のインフルエンザ治療薬を教えてください

インフルエンザの治療には、タミフル(オセルタミビル)以外にもさまざまな薬剤が使用されています。主なものとして、リレンザ(ザナミビル)、イナビル(ラニナミビル)、ゾフルーザ(バロキサビル マルボキシル)、ラピアクタ(ペラミビル)などがあります。

リレンザとイナビルは吸入薬で、リレンザは1日2回を5日間、イナビルは1回の吸入で治療が完了します。ゾフルーザは内服薬で、1回の服用で効果が期待でき、ウイルスの増殖を抑制します。ラピアクタは点滴薬で、経口摂取が困難な患者さんや重症例に推奨されています。

これらの薬剤は、いずれもインフルエンザウイルスの増殖を抑える効果が期待できますが、患者さんの年齢や症状、服用のしやすさなどを考慮して選択されます。副作用や使用上の注意点も薬剤ごとに異なりますので、医師と相談のうえ、適切な治療法を選ぶことが重要です。

インフルエンザによる異常行動の予防法はありますか?

インフルエンザによる異常行動を予防する特別な方法は確立されていませんが、いくつかの対策を講じることでリスクを軽減することができます。

まず、インフルエンザに感染しないよう、日常的な予防策を徹底することが重要です。具体的には、手洗いやマスクの着用、適切な栄養摂取と十分な睡眠など、基本的な生活習慣の維持が効果が期待できます。
また、インフルエンザワクチンの接種も予防に有効とされています。

万が一、インフルエンザに感染した場合、特に発熱から2日間は異常行動が現れる可能性が高いため、患者さんを一人にしないようにし、窓やドアの施錠を行うなど、事故防止の対策を講じることが推奨されています。これらの対策を組み合わせることで、異常行動による事故のリスクを抑えられるでしょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

インフルエンザは、毎年さまざまな方に影響を及ぼす感染症です。特に小児や未成年者において、発症後に異常行動が見られることがあります。これらの行動は、主に高熱による一時的な脳の機能不全が原因と考えられています。

異常行動のリスクを抑えるためには、日常的な予防策が重要です。具体的には、手洗いやマスクの着用、適切な栄養摂取と十分な睡眠など、基本的な生活習慣の維持が効果が期待できます。また、インフルエンザワクチンの接種も予防に有効とされています。

万が一、インフルエンザに感染した場合、特に発熱から2日間は異常行動が現れる可能性が高いため、患者さんを一人にしないようにし、窓やドアの施錠を行うなど、事故防止の対策を講じることが推奨されています。
これらの対策を組み合わせることで、異常行動による事故のリスクを抑えられるでしょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでインフルエンザによる異常行動についてお伝えしてきました。
インフルエンザによる異常行動の要点をまとめると以下のとおりです。

  • インフルエンザ罹患時、小児・未成年者に異常行動が見られることがある。突然立ち上がる、窓を開ける、意味不明な発言をするなどの症状があり、発熱後2日以内に発現しやすいため、保護者の注意と事故防止策が重要である
  • インフルエンザは異常行動を引き起こすことがあり、特に小児・未成年者で発症後2日以内に見られる。タミフルとの因果関係は不明だが、インフルエンザ脳症のリスクもあるため、保護者の注意と早期受診が重要である
  • 異常行動の予防法は確立されていないが、手洗いやマスク、ワクチン接種などの感染予防が有効とされる。発症後2日間は特に注意し、患者さんを一人にせず、窓やドアの施錠など事故防止策を徹底することが重要

インフルエンザに伴う異常行動は、珍しい現象ではありません。患者さんの安全を確保するためには、家族や周囲の方々の理解と協力が不可欠です。インフルエンザシーズンを乗り越えるためには、一人ひとりが正しい情報を持ち、適切な予防策を講じることが、社会全体の健康を守る鍵となるでしょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師