「大人で40度の熱」は膠原病の可能性がある？考えられる病気を医師が解説！

大人で40度の熱が出るで、身体はどんなサインを発している？メディカルドック監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
伊藤 陽子（医師）

「大人で40度の熱が出る」症状で考えられる病気と対処法

大人で40度の熱が出る場合、体内で感染症や膠原病などにより炎症が起こっている可能性があります。40度の発熱の場合、強い炎症反応が起こっていることも考えられます。高熱が持続したり、食事がとれないなど発熱以外の症状もあり体調不良が強い場合には医療機関を受診しましょう。

大人で40度の熱が出て寒気もする症状で考えられる原因と対処法

大人で40度の熱が出て寒気がする場合、さらに熱が上がる可能性も考えられます。40度以上の発熱の原因としては、感染症が最も考えられます。インフルエンザや急性扁桃炎、急性副鼻腔炎、肺炎、脳炎、急性胆嚢炎、腎盂腎炎、腹膜炎、敗血症などの感染症では高熱がみられることが多いです。
まず高熱が出ているときには、水分をしっかりと摂取し、腋や首などを冷やしましょう。水分を十分に摂取した後、アセトアミノフェンなどの解熱剤を使用して様子を見ても良いですが、食事がとれない、ぐったりしている、頻脈や頻呼吸など状態が悪い場合には、早急に医療機関を受診しましょう。また、症状がそれほど強くなくとも、3日以上高熱が持続する場合にも受診を検討しましょう。

大人で40度の熱が出て下がらない症状で考えられる原因と対処法

大人で40度の高熱が下がらず、持続する場合、感染症、悪性腫瘍、膠原病などが考えられます。インフルエンザでは2～3日程度で解熱がみられます。しかし、急性扁桃炎、肺炎、髄膜炎、脳炎、伝染性単核球症、腎盂腎炎、腹膜炎、敗血症などの重大な感染症では治療が適切に行われないと高熱が持続する場合もあります。近年流行したCOVID-19も症状が強い方では高熱が3日以上続くこともありました。これらの重篤な疾患は、適切な治療が行われないと致命的となったり、重大な後遺症を残すこともあります。これららの疾患が疑われる場合には、内科や救急外来を受診しましょう。
また、感染症以外では、悪性リンパ腫、白血病などの悪性腫瘍が挙げられます。膠原病では、全身性エリテマトーデス（SLE）や成人スティル病、関節リウマチ、結節性多発動脈炎などでは高熱が持続する可能性があります。いずれの病気でも高熱が2～3日以上持続する場合には早急に内科を受診しましょう。

大人で40度の熱が出ても辛くない症状で考えられる原因と対処法

大人で40度の熱が出ても辛くないと感じることは少ないです。熱が上がり切った後に、やや辛さが楽になることはありますが、発熱自体が体に負担がかかるため、徐々に辛さが出る可能性が高いです。悪性腫瘍や膠原病の初期の症状では辛いと感じにくいことも考えられます。しかし、持続する場合には体力も消耗し、次第につらさを感じる可能性もあります。辛くなくとも高熱が持続する場合には病院を受診し、適切な処置を受けるべきです。

大人で40度の熱が出て関節痛もある症状で考えられる原因と対処法

大人で40度の高熱が出て、関節痛もある場合、いくつかの病気が考えられます。まず、インフルエンザやCOVID-19などの感染症の場合に、高熱とともに複数個所の関節痛を訴える場合があります。また、膠原病に伴う発熱で関節痛を伴うこともあります。関節リウマチやSLEなどの病気では関節痛を伴うことも多いです。また、偽痛風という痛風と似た症状の病気でも発作時に40度近い発熱とともに関節痛をおこします。

大人で40度の熱が出て手足が冷たい症状で考えられる原因と対処法

高熱が出ているのに、手足が冷たいことがあります。これは、体が体温をあげるために筋肉を収縮させたり、皮膚の血管を収縮させるためです。熱が上がっている途中では、寒気が起こり手足が冷たく、深部の体温から上昇します。熱が上がりきると、寒気が取れ、体全体が熱くなります。このように、熱が上がってきて、手足が冷たい場合には、できれば体を温めて安静にし、水分を充分に摂りながら様子を見ましょう。

すぐに病院へ行くべき「大人で40度の熱が出る」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

意識障害を伴う症状の場合は、救急外来科へ

大人で40度の熱が出て、意識障害も伴う場合、病状は重篤であると考えられます。髄膜炎や脳炎、ひどい脱水の症状を伴っている可能性があります。このように意識障害を伴う場合には早期の治療が必要です。至急、救急要請を行うか救急外来を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「大人で40度の熱が出る」ときのセルフチェック法

・意識障害がある場合
・呼吸困難がある場合
・けいれんがある場合
・熱が長引く場合
・食事がとれず、ぐったりしている場合

「大人で40度の熱が出る」症状が特徴的な病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「大人で40度の熱が出る」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

肺炎

細菌やウイルスなどの微生物が感染し、肺に炎症が起こったものが肺炎です。一般の社会生活を送っている人でも肺炎が起こることがあり、これを肺炎（市中肺炎）といいます。原因の微生物は肺炎球菌が最も多く、次いでインフルエンザ菌、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミドフィラの順に罹患者数が多いです。症状は、咳、痰、息切れ、胸の痛み、発熱などです。時に40度以上の高熱となることもあります。このような症状がある場合、医療機関を受診し、診察所見、胸部X線画像所見、血液検査の結果により総合的に肺炎と診断します。治療法は原因となる微生物の種類により異なります。軽症であれば、内服治療で外来で治療をすることもありますが、重症化すると入院治療が必要となり、酸素投与や抗菌薬の注射などを行います。咳、息切れ、発熱などがある場合には内科、呼吸器内科を受診しましょう。

関節リウマチ

関節リウマチは、関節を構成している滑膜に炎症が生じることで、慢性的な痛みや腫れが起こる病気です。主に手足の関節でみられることが多いです。最初はこわばりや痛み、腫れのみですが、次第に関節の変形が起こり、動かすことに不自由が生じます。関節以外にも症状が起こり、貧血、発熱、全身の倦怠感、咳などさまざまな症状がみられることもあります。また、この時みられる発熱も、微熱が持続することもあれば40度近い高熱が急に起こることもあり注意が必要です。原因ははっきりしていませんが、遺伝的要因や喫煙、歯周病などの関与が報告されています。診察での関節の所見や、血液検査での炎症反応やリウマトイド因子や抗CCP抗体の結果、関節のX線検査の結果などを総合的に判断し診断されます。関節リウマチの治療は薬物療法が中心です。この治療は近年劇的に進化をしており、治療をすることで関節破壊を減少することが可能であり、早期の診断が大切です。朝のこわばりなど関節リウマチを疑ったら、早めに膠原病内科や整形外科で相談をしましょう。

膠原病

膠原病とは、全身性エリテマトーデス（SLE）や関節リウマチ、強皮症など自己免疫疾患の総称です。体の中に自分自身の体の構成成分に反応してしまうリンパ球や自己抗体が出現し、これにより臓器障害が認められる病気です。症状はそれぞれの病気により異なりますが、中には高熱を認める膠原病もあります。全身性エリテマトーデスや成人スティル病、関節リウマチ、結節性多発動脈炎などでは40度近くの高熱がみられることもあります。原因不明の発熱があった場合に、原因が膠原病であることも少なくありません。高熱が持続する場合には、まず内科を受診して相談をしましょう。

扁桃（へんとう）炎

扁桃とは舌の付け根の両脇にあるリンパ組織です。この扁桃はウイルスや細菌などの病原菌から体を守る役割を担っていますが、扁桃についた病原菌が増殖して炎症を起こしたものが扁桃炎です。急性の扁桃炎では、40度近くの高熱を伴い、咽頭痛が強く出ます。扁桃には白い斑点の膿が付着して、これが広がり全体が白く覆われる様になります。周囲のリンパ節の腫れを伴うこともあります。このような症状が出た場合には耳鼻咽喉科を受診しましょう。

腹膜炎

胃、腸、肝臓などのおなかの臓器の表面を覆っている膜が腹膜です。おなかにある臓器の炎症が腹膜まで及んだ時に、腹膜炎となります。多くの場合、食道、胃、十二指腸、大腸などの消化管の壁に穴が開き、内容物がおなかに漏れて広がることで起こります。腹膜炎の原因となる病気は、胃潰瘍穿孔、十二指腸潰瘍穿孔、急性虫垂炎、大腸憩室炎、大腸穿孔、壊死性胆嚢炎などです。腹膜炎の症状としては、激しい腹痛、発熱、下痢、悪心、嘔吐、頻脈、頻呼吸などがみられます。これらの症状があった場合、すぐに医療機関を受診しましょう。腹膜炎の場合には緊急手術を行う必要がある場合もあります。

「大人で40度の熱が出る」の正しい対処法は？

高熱が出た場合、どのように対処するのが良いでしょうか？熱以外に症状がない場合には、水分を充分に摂り、わきや首、頭部を冷やして安静に過ごしましょう。アセトアミノフェンなどの解熱剤を内服しても良いですが、体がつらくなければ無理に解熱剤を内服する必要はありません。しかし、発熱が持続する、食事がとれない、呼吸困難が出る、けいれん、意識障害などの症状が現れた場合には早急に内科、もしくは重篤な症状であれば、救急外来を受診しましょう。

まとめ　大人で40度の熱が続く場合には早めに内科を受診

高熱が出るときには、感染症以外にも膠原病など多くの病気が考えられます。また、インフルエンザやCOVID-19などの頻度が高い感染症から、急性扁桃炎や肺炎、髄膜炎、脳炎、胆のう炎、腹膜炎を含め重篤な感染症の可能性もあります。また、感染症ではなく、膠原病によって高熱を出すこともあります。熱があるだけでは、緊急性はありませんが、高熱が2～3日以上持続する場合、高熱により食事がとれない場合、また意識障害や息苦しさ、けいれん、強い腹痛などの発熱以外の症状が出る場合には注意が必要です。このような症状が出た場合には内科を、もしくは症状がつよい場合には救急外来を受診するようにしましょう。

「大人で40度の熱が出る」症状で考えられる病気

「大人で40度の熱が出る」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

高熱が出る病気は上記以外にも多くあり、高熱以外の症状や詳しい検査をしなければ原因ははっきりしません。高熱に対し、解熱剤で様子を見るだけではなく、発熱の症状が持続する場合や、ほかの強い症状がある場合には早めに内科を受診しましょう。

「大人で40度の熱が出る」に似ている症状・関連する症状

「大人で40度の熱が出る」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

40度の熱に上記のような多彩な症状を伴うことがあります。どんな症状が出ているのか、その症状の強さにより原因や重症度が異なります。まず高熱が持続したり、上記のような症状が強くでているときには内科、耳鼻科などを受診しましょう。