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「へそが臭い」のはなぜ?考えられる原因や病気を医師が徹底解説!

「へそが臭い」のはなぜ?考えられる原因や病気を医師が徹底解説!
へそが臭い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?メディカルドック監修医が考えられる原因・病気・洗い方や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

「へそが臭い」原因と対処法

へそとは、胎児期にへその緒が出ていた部分です。へその緒は母親から栄養や酸素を供給されていた大切な管です。このへその緒がつながっていた部分のため、下に筋肉がなく構造的にも弱い部分です。へそはお腹の真ん中にありますが、くぼんでいるため掃除をしにくく、きれいに洗い切れていないのではないかと時に心配になる事もあるでしょう。そんなへそが臭いとき、どんな原因が考えられるでしょうか?へそが臭い原因とその対処法について解説をいたします。

へそが臭い原因と対処法

へそが臭い原因は、まずへそを掃除したりいじったりしたときに傷つき、そこから細菌に感染し炎症をおこしている可能性があります。炎症が悪化すると、周りが赤くなり熱を持ち、膿がでてくるようになります。膿が出てくるようになると、悪臭を伴うことも多いです。このように感染を起こしている場合には抗生剤の内服が必要な場合があります。また、膿が溜まっている場合には、切開して膿を出す必要がある事もあります。皮膚科を受診しましょう。 また、何度も感染を繰り返したり、へそを清潔に保っていても悪臭が出ている場合、胎児期にへそとつながった臍腸管や尿膜管が遺残することで症状が起こっている可能性もあります。後ほど臍腸管や尿膜管の依存についても解説いたします。

へそのごまが臭い原因と対処法

へそのごまは、へその中にたまった垢や皮脂、古い角質などの汚れが固まったものです。へその掃除が不十分である場合、汚れが溜まり、へそのごまが臭くなることも考えられます。特にへその周囲が赤くなったり痛みが出たり、膿んだりしていなければ、単純に汚れている可能性があるため、へそを掃除するようにしましょう。臍のごまをすべて一度にとろうと無理にこすると傷つけてしまうため、石鹸を付けた柔らかい濡れタオルを指に巻き、優しくへそのなかを回すように洗うことがおすすめです。

へそから出る液体が臭い原因と対処法

へそから出る液体が臭い場合、臍の周囲で感染をおこして膿が出ているのかもしれません。この場合、治し方は抗生剤投与や排膿の処置が必要であるため早急に皮膚科を受診しましょう。また、新生児で発赤や熱感、痛みはないものの臭い液体が出てくる場合、臍腸管瘻や尿膜管瘻の可能性があります。臍と腸管や膀胱がつながり、腸液や尿が漏れ出ているのかもしれません。これらの病気が疑われる場合には、手術などの処置が必要になる場合があるため、小児科で相談をしましょう。

へそが湿っていて臭い原因と対処法

へそが湿っていて臭い場合、尿膜管遺残により膀胱とつながる尿膜管が開存していたり、もしくは開存していなくとも、内腔が残っていたりする場合が考えられます。内腔が残っている場合、このトンネルが感染の原因となる事があり、膿や浸出液がみられ悪臭が認められることもあります。へそがジュクジュクと湿っていて悪臭がある場合には尿膜管遺残の可能性も考えられ、泌尿器科を受診して相談をしてみましょう。

へそを掃除しても臭い原因と対処法

へその掃除をしていても臭い場合、尿膜管遺残や臍腸管遺残が原因となってへそからつながる内腔で感染を起こし、臭うのかもしれません。頻度としては尿膜管遺残が多く、臍腸管遺残は非常に稀です。へそからの膿や浸出液がみられたり、臍炎を繰り返す場合には何かしら原因がある可能性が高いです。皮膚科や泌尿器科で相談をしてみましょう。

すぐに病院へ行くべき「へそが臭い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

へそから膿が出る症状の場合は、皮膚科へ

へその周囲が感染して赤くなったり、熱をもち、痛みが出て膿が出たりする場合にはへそを中心として感染をおこしています。放置すると重症化して蜂窩織炎などになる事もあるため、治療が必要です。何科に行くか悩む場合には、皮膚科を受診しましょう。尿膜管遺残や臍腸管遺残が原因となっている場合には、泌尿器科や外科での治療が必要となる事もあります。

受診・予防の目安となる「へそが臭い」症状のセルフチェック法

・へそが臭く、熱を持っている症状がある場合
・へそが臭く、痛みがある症状がある場合
・へそが臭く、液体が出てくる症状がある場合
これらの症状がある場合には、感染や尿膜管や臍腸管の遺残により症状が起こっている可能性があります。まずは皮膚科で相談をしても良いでしょう。場合により、尿膜管遺残であれば泌尿器科、臍腸管遺残であれば外科で手術が必要になる事があります。

「へそが臭い」症状の特徴的な病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「へそが臭い」症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

臍炎

臍の周囲が傷つき細菌感染をおこしたり、尿膜管遺残・臍腸管遺残が原因となり臍の周囲の炎症をひきおこすことがあります。臍の周囲のみの感染を臍炎と言います。この感染が重症化すると蜂窩織炎や腹壁膿瘍に進展することもあります。重症化すると敗血症に至ることもあるため、臍の周囲の炎症が起こり、痛みや熱感を伴い、場合により膿が出る場合には早めに皮膚科、もしくは小児であれば小児科を受診して相談しましょう。

尿膜管遺残

尿膜管とは、胎生期に臍と膀胱をつないでいる管のことです。ふつうは成長とともに、消退しますが、人により出生後も残ってしまう方がいます。頻度は成人で1〜2%程度と少なく、成人で見つかる方は稀です。この尿膜管が消失せずに遺残してしまったものが尿膜管遺残です。尿膜管遺残は臍炎や膿腫をおこし、重症の感染症の原因となる事もあり注意が必要です。感染を起こしている場合には、感染の治療が優先されます。抗生剤を使用してまず感染を抑えます。感染が治まった後に、手術を行うことが多いです。

臍腸管遺残

胎児の腸と臍は胎生早期の栄養補給のために、卵黄のう管(臍腸管)でつながっています。本来は、臍腸管は胎児期に消失しますが、残ってしまったものを臍腸管遺残と言います。頻度は非常に稀です。時に繰り返す臍炎や痛み、浸出液の排出の原因となります。また、消化管出血や腸重積、腸閉塞などをきたすこともあります。成人では非常に稀ですが、膿瘍などの感染症や腸閉塞などの発症例も報告されており、注意が必要です。 治療法は、臍炎や膿瘍など感染を起こしている場合には、まず感染症の治療を優先させます。抗生剤投与を行い、感染が改善したら手術を検討します。

「へそが臭い」時の正しい洗い方は?

へそが臭い場合には、まず洗って清潔に保つことが重要です。しかし、あまりこすりすぎると傷をつけてしまい、そこから感染を引き起こすことがあるので注意が必要です。洗い方としては、柔らかいガーゼやタオルを指に巻き、石鹸を含ませて優しく臍の中を回すように洗ってみましょう。痛みがある時には無理に触らないようにしましょう。痛みが持続したり、熱をもって赤くはれたり、膿や浸出液が出るようになったときには医療機関を受診するようにしましょう。

「へそが臭い」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「へそが臭い」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

へその中は洗わない方がいいのでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

へそのなかを無理に洗い、傷つけてしまうと、傷から細菌などの感染を起こす可能性があるため良くないですが、柔らかいタオルなどで優しく洗い、清潔に保つことが重要です。毎日洗う必要はないですが、週に2-3回へそのなかに垢がたまり不潔にならないように保ちましょう。

へそのごまを掃除しないとどうなりますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

へそのごまは、へそにたまった垢や、皮脂、古い角質などが溜まったものです。このごまを掃除しない場合、臍にこの汚れがどんどんたまってしまいます。臭いにおいが出て来たり、感染を起こす可能性があります。無理にこすり傷つけてしまうことは、感染を引き起こし危険であるためやめましょう。週に2〜3回程度柔らかい布で優しく洗い清潔に保つようにしましょう。 へそのごまを掃除しないで膿んでしまった場合には、皮膚科を受診して症状を話しましょう。

まとめ へその膿や液が出ていることに気がついたら皮膚科、泌尿器科へ

へそはくぼんでいて、汚れが残りやすい部分です。週に2~3回は優しく洗うようにしましょう。臍を清潔に保つようにしていても、臭う時には要注意です。特に膿が出てきたり、浸出液が出たり、赤く腫れあがったりする時には感染症の合併が疑われます。早めに医療機関を受診する必要があります。 へその掃除を定期的にしていてもなかなか臭いが改善せず、膿が出続ける場合には尿膜管遺残や臍腸管遺残の可能性があります。これらの病気は比較的稀な病気であり、多くは新生児期に分かることが多いです。しかし、気が付かれず大人になってしまうこともあります。尿膜管遺残や臍腸管遺残があると、表面の掃除をしていても、奥の方での感染が持続しているのかもしれません。このような場合には、皮膚科や泌尿器科、外科で相談をしてみましょう。

「へそが臭い」で考えられる病気

「へそが臭い」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

皮膚科系の病気

泌尿器系の病気

  • 尿膜管遺残

外科系の病気

  • 臍腸管遺残
へそを清潔に保てなかった時に臭いが出ることもありますが、この部分に感染症を合併することで悪臭が出ます。傷をつけたことによる可能性もありますが、元々の構造上の病気である尿膜管遺残や臍腸管遺残の場合には感染が治りづらく、医療機関受診が必要です。また、臍での感染を放置すると蜂窩織炎など重度の合併症をきたすこともあり、早めの治療が大切です。

「へそが臭い」に似ている症状・関連する症状

「へそが臭い」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • へそから膿が出る
  • へそから液がでる
  • へその周りが赤い
  • へそが痛い
  • へそが熱を持っている

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