「体温が低い」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!
体温が低い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
マイマイテイリ イマム(新宿アイランド内科クリニック 院長)
「体温が低い」症状で考えられる病気と対処法
体温は日内変動や外気温などに多少影響されますが、大体35-37度の範囲で維持されています。体温が高くなる発熱は気にする人が多いですが、実は体温が低すぎるというのも問題です。今回は低体温について解説していきます。
体温が低い症状で考えられる原因と治し方
低体温症は、一般的には直腸や食道などで測定できる深部体温が35℃以下、と定義されています。通常、みなさんは脇の下(腋窩)などで体温測定をされると思いますが、腋窩温は深部体温よりも0.3-0.5℃ほど低いと言われており、脇の下(腋窩)で34.5-34.8℃くらいが低体温症の定義に当てはまります。寒い日に、外に長時間いることでおこる低体温症や何かしらの病気が原因であることもありますが、ダイエットなどで筋肉や脂肪などの熱産生、体温保持をできない状態でも低体温症を起こします。痩せすぎている場合には、まずは自分の適正体重を維持できるようにバランスのよい食事をとりましょう。やせる原因で摂食障害があると精神科などで治療が必要になることもあります。
体温が低く頭痛がする症状で考えられる原因と治し方
体温が低く頭痛がある場合で一番怖いのは、髄膜炎や脳炎などの感染により低体温と頭痛を起こしている場合です。感染症は通常は発熱をしますが、重症な感染症の場合、低体温になることがあります。辛い頭痛がある場合には必ず病院を受診しましょう。
体温がそこまで低くなく、頭痛も軽いものであれば市販の鎮痛薬で対処いただいてもよいですが、体温が低いことが原因ですとなかなか薬の効果も得られないかもしれません。
体温が低く体がだるい症状で考えられる原因と治し方
体の筋力やエネルギー源となる脂肪が少ないと、体温が低く体がだるく疲れやすい症状がでることがあります。まずは健康的な体づくりを目指しましょう。適切な食事と運動が必要です。病気が隠れている場合もありますので、辛い症状がある場合には病院を受診しましょう。
体温が低くめまいがする症状で考えられる原因と治し方
低体温でめまいがする場合、髄膜炎、脳炎などの中枢神経の感染症が疑われます。めまいがひどい場合にはすぐに病院を受診しましょう。
体温が低く吐き気がする症状で考えられる原因と治し方
吐き気、嘔吐の症状があり辛い場合には体温が低くても、高くても病院を受診しましょう。吐き気で水分摂取がままならない場合には脱水症を起こす危険性もあります。
男性で体温が低い症状で考えられる主な原因と治し方
一般的には男性の方が女性より筋肉量は多いですが、やせの男性などでは体温が低い傾向があります。まずはバランスの良い食事を心がけましょう。何か症状がある場合は、体温以外にも何か不調がある場合には病院でご相談ください。
すぐに病院へ行くべき「体温が低い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
ぼーっとするなど、意識障害を疑う場合は、救急科へ
体温が低く、意識障害を疑う場合にはすぐに救急車を呼びましょう。35℃以下の低体温だけでも意識障害が起こることもありますが、重症感染症やその他の病気が原因になっていることもあります。
受診・予防の目安となる「体温が低い」のセルフチェック法
- ・体温が低い以外に意識障害を疑う症状がある場合
- ・体温が低い以外に頭痛、めまい、腹痛などの症状がある場合
「体温が低い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「体温が低い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
低体温症
直腸や膀胱などの体の深部で測定した体温が35℃以下の状態を低体温症といいます。低体温症には寒い環境にいることで低体温になる寒冷環境、体温を維持できない熱喪失状態、熱産生低下、体温調節機能の低下などが原因になります。35-32℃は軽度、32-28℃は中等度、28℃以下が高度になり、低くなるにしたがって、意識障害、呼吸停止、心停止など重篤な症状が起こります。低体温症の場合にはすぐに体温を戻しつつ、不整脈がでないかどうか慎重に経過を見る必要があるため、救急科を受診しましょう。自分で動けない場合には救急車を呼びましょう。
生理不順
女性の生理周期では体温が0.3-0.5℃ほどの周期を繰り返しており、低温期と高温期の切り替わりの時期に卵巣から排卵が起こります。この体温の変動は女性ホルモンなどで制御されていますが、この制御機能がうまくいかなかったりすると排卵が起こらず(無排卵)、低温期が続いたり、生理不順が起こったりします。生理不順や低体温は、無理なダイエットで痩せてしまった時にも特徴的な症状です。食事のバランスを見直すなどのセルフケアも大切ですが、まずは生理不順の原因を知ることも重要です。生理不順について婦人科を受診して相談しましょう。
更年期障害
閉経前くらいから女性ホルモンの分泌は低下し、更年期障害が起こります。女性ホルモンのうちエストロゲンは自律神経の調節も行っており、自律神経失調やエストロゲン低下によるほてりや、逆に体温の低下を起こすことがあります。更年期障害で日常生活に支障がでる程度の症状がある場合には、ホルモン補充療法や漢方薬などの治療を行うことがあります。ぜひつらい症状がある場合には婦人科を受診しましょう。
自律神経失調症
体温は自立神経の調節を受けているため、自律神経失調症では体温管理がうまくいかず発熱したり、逆に体温が低くなったりしてしまうことがあります。自律神経失調症はストレスなどが原因でおこることがあるため、ストレスを避けて上手に発散する方法を身につけましょう。
「体温が低い」ときの正しい対処法は?
脇で測った体温が35度以上であれば低体温ではありません。体温が34度台の場合には低体温症になりますので、なぜ低体温症になっているのかを調べる必要があります。さらに低体温症で頭痛、めまい、吐き気、意識障害などがある場合、呼吸がしにくい、脈が飛ぶなどの場合には非常に危険です。すぐに救急病院を受診しましょう。
自律神経失調や更年期障害で体温が低めの場合で、手足が冷たいなどの症状がある場合には体を温めましょう。ゆっくり入浴をしたり、冬場には暖かい靴下などを利用したりしてもよいかもしれません。
自律神経を整えるためには、バランスの良い食事と適度な運動でストレスを発散しましょう。ヨガなどもおすすめです。
体を温めるための飲酒は逆効果です。喫煙も末梢血管を締める効果があるため、避けるべきでしょう。
「体温が低い」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「体温が低い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
体温が34度と低いのですが対処法はありますでしょうか。
マイマイテイリ イマム 医師
脇の体温が測り直しても34度の場合には、低体温症にあたります。原因検索のため病院を受診しましょう。
いつもより体温が低く、体調不良気味です。風邪の症状でしょうか?
マイマイテイリ イマム 医師
重症な感染症で体温が低くなることがあります。辛い症状であれば、病院でご相談いただくのがよいでしょう。
体温が低く疲れやすいです。基礎体温を上げる方法はありますか?
マイマイテイリ イマム 医師
体の体温を上げるためには、自立神経を整えましょう。ストレスをためない、バランスの良い食事、適度な運動を心がけましょう。
朝体温が低いのですが、何か原因はありますでしょうか。
マイマイテイリ イマム 医師
体温は日内変動しており、朝が一番低く昼15:00ごろをピークに約1℃程度上下しています。朝の体温が低めなのは、正常の日内変動かと思います。
体温が低いのですが血圧と関係はありますでしょうか。
マイマイテイリ イマム 医師
体温と血圧は必ずしも相関しませんが、冬場などで急激な寒冷刺激を受けると血圧が上昇し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが増えることが知られています。
まとめ
低体温症について解説しました。体温は低すぎても高すぎてもダメということがわかっていただけたと思います。
「体温が低い」で考えられる病気と特徴
「体温が低い」から医師が考えられる病気は14個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
救急科の病気
- 偶発性低体温症
- 敗血症
- 広範囲熱傷
- 中毒性皮膚疾患
婦人科の病気
- 更年期障害
- 無排卵
その他の病気
- 薬剤性
- 医原性(非加温の大量輸液など)
体温が高い場合と異なって、体温が低い場合には様子を見がちですが、なかには何らかの病気による影響である可能性もあります。
「体温が低い」と関連のある症状
「体温が低い」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「体温が低い」症状のほかに、これらの症状がある場合も、「甲状腺機能低下症」「自律神経失調症」「偶発性低体温症」「更年期障害」などの疾患の可能性も考えられます。症状が長期間良くならない場合には、早めの医療機関への受診を検討しましょう。