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「掻いたところがあざになったとき」の治し方は?考えられる病気も医師が解説!

「掻いたところがあざになったとき」の治し方は?考えられる病気も医師が解説!
掻いたところがあざになるのを治すには?メディカルドック監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

「掻いたところがあざになる」症状で考えられる病気と対処法

掻くとあざになる時、何の病気が考えられるでしょうか?この記事では、原因となる病気や体質について解説いたします。ご自身の症状に当てはまるかを確認しましょう。 あざは、いわゆる皮膚の内側での出血です。内出血の原因はいろいろと考えられます。まず、血小板という止血の働きを持つ血球が減少することや、出血を止める凝固因子というタンパク質が不足することにより、内出血が起こる場合です。次に、血管や皮膚が弱くなることで、出血しやすい場合も考えられます。 このように、あざの原因により、考えられる病気が異なります。

掻いたところがあざになる症状で考えられる原因と治し方

掻くとあざになる時、考えられる原因は大きく分けて2つです。まず、止血の働きを持つ血小板や凝固因子などが減ってしまうことで出血しやすくなる場合です。次に、何らかの原因で血管や皮膚が弱くなるため、刺激が加わると出血してしまうことが考えられます。 加齢により皮膚や血管がもろくなり、出血しやすくなっている場合、手足などのぶつかりやすい場所を衣類で保護する、かゆみを抑える治療をする、爪を短くするなどの対策をとってみましょう。加齢による皮膚のかゆみは、乾燥が原因となっていることもあります。皮膚が乾燥している場合には、保湿をすることでかゆみが軽減することもあります。特に冬場では、皮膚が乾燥するため、入浴後にしっかり保湿するようにしてみてください。また、夏場では汗がかゆみの原因となっていることもあります。汗をかいたら、濡れタオルなどで汗を拭き取ったりシャワーで汗を軽く流してみましょう。 急激に体中のあざが増えた場合は、血小板や凝固因子が減少している可能性が少なくありません。白血病や再生不良性貧血、特発性血小板減少症などの血液疾患や肝硬変、慢性肝炎などが考えられます。また、遺伝性の病気で凝固因子が低下する血友病やフォン・ヴィレブランド病という可能性も考えられます。いずれにしても、体中のあざは、病気が隠れている可能性が高いです。内科で相談をするとよいでしょう。また、飲んでいる薬剤により出血傾向をきたすこともあります。抗凝固剤を内服していると、血が止まりづらくなるためです。思い当たる薬剤がある場合には、主治医に相談をしてみましょう。

掻いたところがあざになり痛む症状で考えられる原因と治し方

あざは、通常痛みません。掻いた部分が傷となり、傷から細菌が入って感染を起こすと痛みが出ることもあります。このように、あざの痛みは、他の原因があるかもしれません。 感染に伴って少し痛む程度であれば、傷を清潔に保つようにしましょう。しかし、改善しない場合には、なるべく早めに皮膚科を受診することが必要です。 元々アトピー性皮膚炎がある場合には、皮膚のバリア機能が低下しており、細菌やウイルスに感染しやすくなります。皮膚の赤みや熱感が強い場合には早めに相談をした方が良いでしょう。

すぐに病院へ行くべき「掻いたところがあざになる」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。 応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。 以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

多発するあざ(内出血)の症状の場合は、血液内科へ

あざが急にたくさん出現した場合には、血液中の血小板や凝固因子が低下して、出血しやすくなっている可能性があります。この場合には、早めに血液内科で原因を調べる必要があります。すぐに血液内科を受診できない場合には、まず内科を受診して内出血の状況を見てもらい、必要があれば血液内科を紹介してもらうと良いでしょう。

受診・予防の目安となる「掻いたところがあざになる」ときのセルフチェック法

・掻いたところがあざになる以外に鼻血、歯肉出血がある場合 ・掻いたところがあざになる以外に発熱がある場合 ・掻いたところがあざになる以外に関節痛がある場合 ・掻いたところがあざになる以外に腹痛がある場合 ・掻いたところがあざになる以外にむくみがある場合

「掻いたところがあざになる」症状が特徴的な病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「掻いたところがあざになる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

アレルギー性紫斑病

血管炎を発症することで血管の壁がもろくなり、出血しやすくなります。IgA血管炎とも呼ばれています。原因は不明ですが、溶連菌などの感染後に続いて発症することが多いです。10歳以下の小児で起こることが多いですが、成人でもみられることがあります。少し隆起した紫斑がみられます。紫斑以外に関節痛、腹痛がみられることがあり、腎炎を合併してむくむこともあるため、注意が必要です。皮膚科、腹痛やむくみがある場合には内科を受診しましょう。

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)

血小板に対する自己抗体ができることで血小板が壊され、血小板が減少する自己免疫疾患です。血小板の数が10万/μL未満に減少した場合、この病気が疑われます。原因は現在のところはっきりと分かっていません。皮膚の内出血や、歯肉出血、鼻出血、血便などがみられます。女性の場合には、月経の出血量が多くなり、生理が止まりにくくなることもあります。時に脳出血を起こすこともあるため、注意が必要です。

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)

全身の血管に血の塊(血栓)ができてしまう病気です。血栓ができるときに血小板が消費され、数が少なくなり出血しやすくなります。このほかに、赤血球が壊れることにより溶血性貧血がみられたり、腎臓の血管に血栓ができることで腎機能障害がおこったり、発熱、意識障害や錯乱などの神経症状がみられることがあります。精神神経症状や腎不全を起こし重症化する場合もあるため、気になる症状がある場合にはまず内科を受診して相談をしましょう。

加齢

病気ではなくとも、加齢により、皮膚や血管が弱くなり、すぐに内出血を起こします。自分では身に覚えがなくとも、知らず知らずのうちにひっかいていたり、ぶつけたりして内出血が手足を中心にみられることが多いです。特に、乾燥などで皮膚がかゆいと、知らず知らずのうちに掻いてしまうこともあるため、保湿を心がけましょう。市販の保湿剤を風呂上りなどに塗る事でも症状が改善する場合があります。なかなかかゆみが止まらない場合には皮膚科を受診して相談をしてみましょう。

「掻いたところがあざになる」症状の正しい対処法は?

皮膚が弱かったり、血管がもろかったりするため、出血しやすい可能性があります。この場合、掻かない様にすることも大切です。かゆみを止めるために、市販のかゆみ止めや保湿剤を使用して様子を見ても良いでしょう。かゆい時には、濡らしたタオルや保冷剤などでかゆいところを冷やすとかゆみが治まるため、一時的にかゆみを抑える際には有効です。 しかし、放置してはいけない症状もあります。まず、全身に内出血が急にみられたら、早急に内科を受診しましょう。凝固因子や血小板の低下による血液疾患の可能性が考えられ、一般的にできる有効な対処法はありません。

「掻いたところがあざになる」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「掻いたところがあざになる」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

掻いたところがあざになりやすい体質の人はどんな人ですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

まずは、高齢者が挙げられます。高齢者は血管や皮膚が弱くなります。この場合、皮膚がひっかくなどの刺激により出血し、内出血になりやすくなります。また、血液の病気、肝臓の病気でも、凝固因子や血小板が少なくなることで出血が止まりにくいこともあるため、気をつけなければなりません。そのほかにも、抗凝固剤などの治療薬の副作用の可能性も考えられます。このように、いろいろな病気の可能性があるため、内出血が気になる場合には内科や皮膚科で相談をしてみましょう。

掻きむしると点状出血になる理由について教えてください。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

搔きむしることで、皮膚の毛細血管が傷つくと、破れて出血します。こうして小さな出血が何か所もおこることも少なくありません。この時に、皮膚の細い血管の走行に沿って血が出るため、点状の内出血となります。

まとめ あざが全身にある場合には、内科を受診しよう。

全身に内出血がみられる場合には、血小板や凝固因子の不足が関係している可能性があります。これらの症状は、血液疾患や肝臓病などが原因であることが多いです。この他にも薬剤性や血管炎などの自己免疫疾患などが原因で、内出血が多くみられることもあります。急に体中に内出血ができる場合には早めに内科を受診しましょう。 このほかの原因として、加齢により皮膚や血管がもろくなっている可能性があります。この時には、手足など、露出している場所に内出血がみられやすいです。内出血の原因として、加齢が考えられる場合には、なるべくぶつけたり、掻いたりしない様にしましょう。 ただし、気になるようであれば皮膚科で相談し、異常がないか相談することをお勧めします。

「掻いたところがあざになる」症状で考えられる病気

「掻いたところがあざになる」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

血液系の病気

皮膚科系の病気

  • アレルギー性紫斑病(IgA血管炎)

消化器系の病気

  • 肝硬変・慢性肝炎

内科系の病気

  • 薬剤性
  • 加齢
掻いたところがあざになる病気の代表例をあげました。このほかにもさまざまな病気が考えられます。特に、急激に全身に多発するあざがみられた場合には早めに内科を受診しましょう。

「掻いたところがあざになる」に似ている症状・関連する症状

「掻いたところがあざになる」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 鼻出血
  • 関節痛
  • むくみ
  • 精神神経症状(意識障害、錯乱など)
あざができる以外に上記の様な他の症状がみられた場合には、早めに内科を受診しましょう。大きな病気が隠れている可能性があり、早急に治療の必要があります。

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