「ストレスでニキビ」ができる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!
ストレスによるニキビを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
喜多村 麻梨子(医師)
形成外科を経て美容医療の可能性を見出し、産後も美容診療に携わりながら幅広く活躍している。現在は美容医療の枠にとどまらず予防医学の啓蒙・執筆活動に従事し活躍の幅を広げている。
「ストレスによるニキビ」の症状で考えられる病気と対処法
ストレスが続く生活習慣が続くと、ニキビができて悩まされたことはないでしょうか。また、ニキビ以外の肌のトラブルも重なった経験のある方もいらっしゃるでしょう。
セルフケアで改善しない時には一度、医療機関で相談することをお勧めします。
今回はストレスに着目して、ニキビとそれに似た肌トラブルについて解説いたします。
ストレスによるニキビの症状で考えられる原因と治し方
ニキビの原因はスキンケアの問題だけでなくストレスも挙げられます。
尋常性ざ瘡は、多くが思春期以降に発症し、以下の3つの病態が複雑に関わりあう慢性炎症性疾患と定義されています。
- 男性ホルモンが毛包(毛根を包んでいる皮膚組織で、毛嚢(もうのう)ともいう)に作用して皮脂の分泌が亢進する
- 毛包の入口部分が角化して、毛穴をふさいでしまう
- 塞がれた毛穴で細菌が増殖し炎症を起こす
思春期には皮脂の分泌量が増加することが多いため、思春期ニキビは思春期以降に多く見られますが、成人してからでも見られることがあります。その要因の一つがストレスです。
強いストレスがかかるとホルモンバランスが乱れ、男性ホルモンであるアンドロゲンが増加して、皮脂の分泌量が増えてニキビ(尋常性ざ瘡)も発生しやすくなります。
対処法はニキビに触らないこと、洗顔を行うこと、睡眠時間を十分に確保することです。
上記の対応を行なってもなかなか良くならない場合は早めに皮膚科を受診しましょう。
ストレスによる顎のニキビの症状で考えられる原因と治し方
ストレスによる顎のニキビのような症状は、特に女性ではクレンジングの擦り過ぎによる皮膚炎の可能性が考えられます。
ニキビ自体は顔面のさまざまな箇所にできる可能性がありますが、顎にできるニキビ(ざ瘡)は、クレンジングによって特に悪化してしまうことが多いです。化粧を落とすために、つい擦り過ぎて皮膚炎を起こしてしまうことが原因です。
ご自身でできる対処法はまず洗顔、クレンジングの方法を見直すことです。ゴシゴシこする方法から「泡洗顔(手と顔の肌を接触させず泡で洗う)」に変更しましょう。また化粧品を厳密に落とそうとするのも、ゴシゴシアライに繋がってしまいます。ある程度落ちていれば洗顔としては十分であり、全て落とそうとすると皮膚が傷ついてしまうと認識してください。
また赤みや痒みが強い場合は早めに皮膚科を受診しましょう。炎症の程度が軽ければ保湿薬が、重ければステロイドの塗り薬を処方されるのが一般的です。
緊急性はありませんので日中に受診してください。
ストレスによるおでこのニキビの症状で考えられる原因と治し方
ストレスによって、おでこにニキビのような症状が出る場合があります。
このような場合、尋常性ざ瘡の可能性は高いと考えられます。特にニキビ(尋常性ざ瘡)ではおでこの病変はとても頻繁に見られます。そしてニキビにも症状の程度があり、軽症から重症までさまざまです。軽症のものでは面皰(ぷっくりした隆起;毛包内に皮脂の栓が詰まった状態)が見られ、症状がひどくなるにつれて炎症が強くなり発赤や膿瘍、結節をつくるようになります。
ニキビに対しての対処法は先述の通りですが、おでこのニキビの場合は、面皰のみがみられた早めの段階で皮膚科医の診察を受け、治療を開始することをお勧めします。
ストレスによる首のニキビの症状で考えられる原因と治し方
首のあたりにニキビのような症状が見られた場合、多発性毛包炎の可能性が考えられます。
多発性毛包炎とは、体幹部や頚部〜後頭部に出現しニキビに似たような隆起を呈する病気です。よく見ると毛包に一致して盛り上がって発生しており、中心部には膿が見られます。自然治癒することもある病気ですが、一部放置していると膿瘍を形成して蜂窩織炎を引き起こすこともあります。原因は、ストレスが強くかかった、不規則な生活、睡眠不足、乱れた食生活などは、肌のターンオーバーを乱しバリア機能が低下することが挙げられます。
ご自身でできる対処法はあまりなく、早めに皮膚科を受診することが重要です。緊急性はありませんが、早めの日程で受診しましょう。
ストレスによる頬のニキビの症状で考えられる原因と治し方
ストレスによって頬にニキビのような症状がみられる場合、酒さの可能性が考えられます。
酒さとは、多くは中高年の顔面に生じる原因不明の慢性炎症性疾患とされています。
酒さにもさまざまな形態があり、紅斑(皮膚の赤み)と毛細血管拡張、ほてり感が主体となった赤ら顔と呼ばれる症状の紅斑毛細血管拡張型酒さ(第1度酒さ)、ニキビ(ざ瘡)に似たできものを主な症状とするものの面皰を伴わない丘疹膿疱型酒さ(第2度酒さ)、鼻を中心とした腫瘤を形成する鼻瘤に代表される瘤腫型酒さ(第3度酒さ)、眼瞼・ 眼球結膜の充血や炎症を伴う眼型酒さ(眼合併症)があります。
これらの形態が単独もしくは混在するのが特徴です。原因は不明ですが、増悪因子としては紫外線、外気温の急激な変化、刺激のある食べ物やアルコールの摂取、精神的ストレスなどが知られています。
ご自身でできる対応は上記の増悪因子を避けた上で、適切なスキンケアを行うことです。ただし改善がない場合は早めに皮膚科を受診しましょう。
すぐに病院へ行くべき「ストレスによるニキビ」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
目の周囲に赤く痛みを伴うニキビのような発疹が出た場合は、皮膚科へ
目の周囲に赤く痛みを伴うニキビのような発疹が出た場合、尋常性ざ瘡以外に帯状疱疹の可能性が考えられます。
帯状疱疹は、過去にかかった水痘ウイルスが潜伏している状況で、加齢・ストレス・疲労などで免疫力が低下した際に、このウイルスが再活性化するために発症します。
基本的には痛みを伴うことの多い病気ですが、痒みとして自覚する場合もあります。目の周囲にこれらが出現した際は、眼部帯状疱疹と呼ばれ、特に注意が必要です。発症初期から結膜炎や角膜炎といった目の合併症が起こることもあります。
早急な治療が必要ですので、出来るだけ早い日程で皮膚科を受診しましょう。
受診・予防の目安となる「ストレスによるニキビ」のときのセルフチェック法
- ストレスによるニキビ以外に痒みがある場合
- ストレスによるニキビ以外に痛みがある場合
「ストレスによるニキビ」の正しい対処法は?
ニキビの対処法は、ニキビに触らないこと、適切な洗顔を行うこと、睡眠時間を十分に確保することになります。特にストレスに関連する項目としては、睡眠時間をしっかり確保しましょう。
そのほか、ニキビに対しての市販薬に関しては、特定の医薬品に効果がある、と言うものはありません。保険診療では効果の高いべピオ®︎ゲルやディフェリン®︎ゲルといった薬剤がありますので、ぜひ一度一般皮膚科を受診し早めの治療を受けましょう。
「ストレスによるニキビ」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「ストレスによるニキビ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
ストレスによるニキビはどこにできますか?
喜多村 麻梨子(医師)
一般的なニキビと同様、顔面や胸、背中などの毛穴の部分にできやすいです。
ストレスによるニキビの治し方は何がありますか?
喜多村 麻梨子(医師)
適切な洗顔、十分な睡眠時間の確保、医療機関で処方された薬、といった手段があります。
ストレスによるニキビに効く薬や漢方はありますか?
喜多村 麻梨子(医師)
塗り薬ではべピオ®︎ゲルやディフェリン®︎ゲルなどが有名です。漢方では荊芥連翹湯、清上防風湯、十味敗毒湯が選択肢として上がりますが、他のお薬が無効な時に考慮する、というような優先順位になります。
まとめ ストレスによるニキビが気になるときは皮膚科を受診
思春期に関係なく、ストレスがかかってもニキビは出現することがありますが、対応は大きく変わりません。適切に治療するなら皮膚科を受診するのが一番です。
またニキビと思っていても実は違う病気という可能性もあります。そのような判断も専門的な知識が必要ですので、一度病院を受診してみましょう。
「ストレスによるニキビ」の症状で考えられる病気
「ストレスによるニキビ」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
「ストレスによるニキビ」からはニキビそのものである尋常性ざ瘡に加えて、上記の疾患も候補にあがります。症状が続く場合は一度医療機関を受診しましょう。
「ストレスによるニキビ」に似ている症状・関連する症状
「ストレスによるニキビ」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 顔にぶつぶつができる
- 背中にぶつぶつができる
- 顔に発疹でできて、かいてしまう
ストレスによるニキビに関連する症状としては上記があげられます。症状が長引く場合は一度皮膚科を受診しましょう。