「脇にブツブツ」ができる原因・対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!
脇のブツブツを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
武田 美貴(医師)
「脇のブツブツ」の症状で考えられる病気と対処法
脇の下にいつの間にかブツブツができていた経験があるでしょうか。気をつけていても知らない間にできてしまい、気になってしまう方もいらっしゃるかと思います。脇のブツブツができる原因を押さえておけば、適切に対処できるようになります。この解説記事を読んで正しい対処法を身につけましょう。
脇のブツブツの症状で考えられる原因と治し方
脇の下のブツブツの原因として、「埋没毛によるブツブツ」や「毛穴の汚れによるブツブツ」、「水イボ」などがあります。
埋没毛とは、剃り残しなどのムダ毛が皮膚の中に埋まってしまい、皮膚の中で毛が伸びることで黒いブツブツとなります。また埋没毛になると、毛穴の奥に細菌が侵入して炎症となる「毛のう炎」になる可能性があります。毛のう炎になると、毛穴の周囲が赤くなり、痛くなったり痒くなったりします。
毛穴の汚れによるブツブツは、アポクリン腺などの汗腺に皮脂や汚れが溜まって、毛穴が詰まってしまうことで生じます。また、毛穴が詰まってしまうと、肌のターンオーバーがうまく行かなくなり、古い角質が溜まってブツブツになることもあります。古い角質や皮脂が貯まると酸化してしまい、その結果ブツブツが黒くなります。
これらが原因のときの脇の下のブツブツの治し方は、まず入浴で脇の下を清潔にすることです。特に浴槽に浸かるのがおすすめです。お湯に浸かることで皮膚が柔らかくなり、毛穴が開きやすくなります。また石鹸などをよく泡立てて、泡で皮膚の表面を滑らせるように洗います。タオルなどでこすってしまうと、皮膚にダメージを与えてしまい、逆効果です。入浴後は保湿クリームなどで保湿することも有効です。
対して、水イボは伝染性軟属腫ウイルスによって引き起こされる皮膚感染症です。感染経路は肌の接触やタオルの共用、プールなどです。特に7歳以下の子供に多く、皮膚に小さな丸いイボが現れます。ほとんどの場合、痛みやかゆみは伴わず、1年以内に自然治癒することが多いです。治療が必要な場合は、ピンセットでつまみ取ったり液体窒素で凍らせて取ったりします。また、ハトムギ茶にはヨクイニンという漢方薬と同じ成分が入っており、ハトムギ茶を飲むことでイボの自然脱落を促すことができます。
脇の白いブツブツの症状で考えられる原因と治し方
脇の白いブツブツは、毛穴の皮脂のつまりによるものと言われています。過剰な皮脂と古い角質が混ざり合うことで角栓となり、毛穴に詰まって白いブツブツになります。脇に白いブツブツを見つけたら、毎日の入浴で脇の汚れをしっかり落とし、清潔な状態を保つことが大切になります。できるだけ湯船に浸かりましょう。温かいお湯に浸かることで、皮膚が柔らかくなり、毛穴が開いて汚れが落ちやすくなります。洗うときは、石鹸やボディーソープをよく泡立て、泡で脇の表面を滑らせるように洗います。ゴシゴシこすってしまうと、摩擦が起きて柔らかい脇の皮膚にダメージを与えてしまいます。洗い流す際も、石鹸やボディーソープが体に残らないように、しっかり洗いながします。残っていると、ボディーソープや石鹸の成分が体に残り、毛穴詰まりの原因になってしまうこともあります。脇をしっかり洗ってもブツブツが改善しないときは、皮膚科を受診してください。
脇の赤いブツブツの症状で考えられる原因と治し方
脇の赤いブツブツは、間違ったワキ毛ケアによる肌の炎症が原因と考えられます。毛抜きを使って脱毛処理をする方も多いと思いますが、毛抜きで強引に毛を引っ張ると毛穴を広げ、ワキガの原因であるアポクリン腺を強く刺激します。体内にある2つの汗腺のうち、エクリン汗腺からでる汗は、無色透明で臭いもありません。しかしアポクリン腺からはタンパク質や脂質などを含んだ汗が出るため、雑菌により酸化されて、強いワキガ臭を放ちます。脇に赤いブツブツができた場合は、アポクリン腺からの汗が増えることで、ワキガを悪化させる場合があります。毛抜きによる脱毛の他に、カミソリなどを不衛生な状態で使った脱毛後も同じような症状となります。治し方のポイントは、脇の下に汚れが溜まらないように、普段から清潔にすることです。また、ピーリングなどで古い角質を取り除くケアも有効ですが、頻回に行うと逆に皮膚を傷つけてしまうので注意します。痛いときやかゆいときには、感染がひどくなっていることもありますので、早めに皮膚科を受診してください。
脇のかゆいブツブツの症状で考えられる原因と治し方
脇にブツブツができてかゆい場合、汗かぶれの可能性があります。汗には塩分やアンモニアなどの成分がごく少量含まれています。こうした成分が肌を刺激することで皮膚が荒れたり、かぶれたりすることを汗かぶれ(汗による接触性皮膚炎)といいます。
脇にブツブツができてかゆくなるときは、汗をかいたらタオルでこまめにふき取る、大量に汗をかくようなレジャーに参加するときは着替えを持っていく、汗を拭くためのウエットティッシュやボディーシートを形態する、汗をかいて帰宅したらシャワーで洗い流す、下着などは通気性がよく吸汗・速乾性のある素材を選ぶなど、日頃から意識しましょう。ただし、汗かぶれの場合は肌のバリア機能が低下することでも起こりやすくなります。汗を拭いたりシャワーで洗い流したりする際は、ごしごしと肌をこすらない様に注意しましょう。
かゆみが強い場合には、かきすぎて症状を悪化させないためにも、かゆみを抑え抗炎症作用のある市販薬の軟膏が有効です。ただし、ステロイドが配合されている薬は、塗る場所によっては副作用が強くでることもあるので、薬局の薬剤師などに相談してみてください。
薬などを塗ってもかゆみが改善しない場合や、ブツブツが赤くなるなどの症状が出てきたら、皮膚科を受診してください。
脇の黒いブツブツの症状で考えられる原因と治し方
脇の黒いブツブツは、埋没毛といって皮膚の下で育ってしまったムダ毛が見えている状態と、毛穴の汚れが見えている状態の2つが原因です。
毛抜きなどでムダ毛を無理やり抜いたり、カミソリで剃ったあとに保湿などのケアを行っていなかったりすると、埋没毛になりやすくなります。毛抜きで無理やり抜くことは、毛根周辺が炎症する危険があり、注意が必要です。
埋没毛になると毛穴の奥に細菌が侵入して炎症となる毛のう炎になる可能性があります。埋没毛は肌が正常な状態であれば放置していても治りますが、肌の入れ替わりサイクルであるターンオーバーが遅れていたり、肌が乾燥していたりすると、肌の下で毛がどんどん伸びていきます。このように埋没毛が長くなることでも、黒いブツブツができてしまいます。
アポクリン線などの汗腺が多い場所である脇は皮脂や汚れが溜まりやすい場所です。この皮脂や汚れで毛穴が詰まることでも、ブツブツや黒ずみができてしまいます。身体から分泌される皮脂は、通常白色をしています。この状態で毛穴から排出されれば黒いブツブツはできません。しかし毛穴に詰まった状態で放置されると、脇の毛穴に詰まった汚い皮脂が徐々に酸化していきます。酸化することで黒っぽくみえてしまい、脇に黒いブツブツができてしまいます。治し方は、脇を清潔に保つことです。スクラブなどが含まれたボディケアアイテムを使って古い角質を落とすことで、肌のターンオーバーを促進させるのもお勧めですが、スクラブは肌に負担をかけるため、頻回に行うのは避けてください。ボディクリームなどで保湿ケアを行うのも重要です。脇毛を自己処理ではなく脱毛すると、脇を清潔な環境に保ちやすくなり、埋没毛にもなりにくくなるのでお勧めです。
このようにケアをしたり、脱毛しても黒いブツブツが改善しないときや、ワキガがひどくなったりするときは、皮膚科を受診して他に原因がないか診察してもらいましょう。
脇の痛いブツブツの症状で考えられる原因と治し方
脇のブツブツが痛くなることがあります。これは脇のブツブツに細菌などが侵入して、毛のう炎になった状態が考えられます。毛嚢炎になるとブツブツが赤くなり、炎症がひどくなると痛みが出てきます。ニキビのような状態となるので、気になって潰してしまう方がいますが、潰すことによって逆に皮膚を傷つけて、化膿してしまい状態を悪化させることがあります。脇のブツブツが痛くなってきたら、皮膚科を受診しましょう。治るまでは、皮膚への負担や刺激を避けて、皮膚を安静にしましょう。
脇の透明なブツブツの症状で考えられる原因と治し方
脇に透明なブツブツができているときは、水疱(すいほう)ができている状態です。いわゆる水ぶくれで、この液体はおもに血液の液体成分や細胞成分です。これらの成分が皮膚の下に溜まって水疱となります。水疱ができる病気は多種多様で、代表的なものとしては帯状疱疹や伝染性膿痂疹(とびひ)などが挙げられます。また、金属や植物のアレルギーによる接触性皮膚炎でもひどくなると水疱が発生します。
水疱は炎症が起こっていることを示す状態なので、基本的には触らないようにしていると炎症が静まり治っていきます。皮膚を安静にしていても治らない、赤くなったり痛くなったりと症状が悪化してきたときは、皮膚科を受診してください。
すぐに病院へ行くべき「脇のブツブツ」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
しこりを触れる場合は、皮膚科へ
脇のぶつぶつのほとんどはサイズが小さいですが、数センチのサイズになることがあります。しこり・できものと呼ばれるものです。数センチ程度ですと、粉瘤である可能性があります。粉瘤は、皮膚の下にのう胞という袋ができて、その中に老廃物が溜まる病気です。袋の中が感染してしまい炎症を起こすと、赤く腫れて、痛みや臭いが現れます。そのような症状が出たときは、皮膚科を受診してください。その他良性腫瘤としては、脂肪種があります。これは脂肪の塊が皮膚の下にできるもので、大きくならなければ放置していても大丈夫です。
その他、悪性腫瘍のリンパ節転移であることもあります。リンパ節転移は徐々にサイズが大きくなるのが特徴です。最初は小さなブツブツだったものが、時間が経つと大きくなってきます。また片方の脇だけだったのに、両方の脇にできたり、他の部位(首など)にもできたりすることがあります。脇のリンパ節に転移しやすい病気としては、女性ですと乳がんがあります。その他悪性リンパ腫など、血液の病気であることもあります。サイズが大きくなってくる脇のブツブツは、皮膚科や内科を受診して原因を検査する必要があります。
受診・予防の目安となる「脇のブツブツ」のセルフチェック法
- 脇のブツブツ以外に痛みがある場合
- 脇のブツブツ以外に赤く腫れている場合
- 脇のブツブツ以外にぶつぶつのサイズが大きくなる場合
「脇のブツブツ」の症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「脇のブツブツ」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
埋没毛
埋没毛は、肌の下で毛が長く成長してしまった状態です。毛抜きやカミソリを使った自己処理によって毛穴が傷つくと、肌の新陳代謝(ターンオーバー)のサイクルが乱れ、肌表面の角質層がだんだんと分厚くなって毛穴をふさいでしまいます。そのような状態の皮膚の下で毛が長くなると、埋没毛となります。炎症が起こっていなければ、放置していても心配はありません。肌がターンオーバーで生まれ変わっていくうちに、ふさがっていた毛穴が元の状態に戻り、肌の中に埋まっていた毛が押し出され、毛先が外にでてくるようになります。角質ケアをしたり、肌の保湿をしたりすると早く治る可能性があります。完全に埋没してしまった場合は治るまでに時間がかかるので、気になる人は皮膚科を受診することをおすすめします。皮膚科では、埋没している毛を摘出し抗生物質の軟膏を塗って治します。
紅斑
紅斑はかゆみがない赤い斑点で、原因はアレルギー反応や感染症などいろいろありますが、多いのは薬疹(薬に対する身体のアレルギー反応)です。薬を飲んでから数日で症状が出てくることがほとんどですが、数週間〜数年越しに薬疹が出てくるケースもあるため原因の薬を確定するのは難しいことがあります。薬疹は薬の副作用で出現している症状であり、体に合わない薬を使用し続けると、肝機能や腎機能が低下する可能性があります。治療は原因が疑われる薬を飲むのをやめることですが、複数の薬を飲んでいるときは飲み合わせにより同じ症状が現れることがあります。紅斑を自覚した場合はお薬手帳を持参して皮膚科を受診するようにしてください。
化膿性汗腺炎
化膿性汗腺炎は毛包に炎症が起こり皮下組織に膿がたまる病気で、毛穴の詰まりが原因と考えられています。化膿性汗腺炎は早いうちから治療することが重要です。治療が遅れると症状が悪化し、ぶつぶつの中にある膿が皮膚の下でつながって拡がる可能性があります。その状態で放置すると皮膚に瘢痕が残ることもあります。治療方法はまず皮膚の清潔を保つこと、そして抗菌薬投与ですので、皮膚科を受診してお薬を処方してもらいましょう。また、生活習慣の改善、例えば体重の減量や禁煙も有効です。
「脇のブツブツ」の正しい対処法は?
脇のブツブツは、脱毛後のケアが不足していることが原因になったり、脇の毛穴が汚れていることで皮膚の感染症を起こしてしまったりすることで発生します。自己処理した脱毛後は、皮膚が乾燥しやすいため、保湿を心がけましょう。また、脇は汚れが溜まりやすい場所でもあるため、清潔に保つことが重要です。古い角質や皮脂は、ピーリングなどをすると取れやすくなりますが、皮膚を傷つけてしまうこともあるため、頻回に行うことは避けてください。脇のブツブツが赤くなったり、少しかゆくなったりする時は、炎症を抑える成分が入った市販の軟膏を使うことも有効です。しかし、軟膏をつけても治らない場合や症状が悪化する場合、臭いがひどくなった場合は、すぐに皮膚科を受診してください。
「脇のブツブツ」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「脇のブツブツ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
脱毛後に脇にブツブツが出来たのですが何が原因でしょうか?
武田 美貴(医師)
埋没毛といって、そり残した毛が皮膚の下で長く伸びた状態が疑われます。
脇のブツブツは治りますか?
武田 美貴(医師)
脇のブツブツは、脱毛後の皮膚の乾燥や、脇に汚れが溜まることによりできやすくなります。脱毛後の保湿ケアを十分に行い、入浴をして脇を清潔に保つことで、治っていきます。
脇にブツブツがあるのはワキガですか?
武田 美貴(医師)
脇のブツブツ=ワキガではありません。ブツブツがなくてもワキガの症状が出ることもあります。ただし、アポクリン腺から分泌される汗や皮脂が脇の毛穴に詰まることでブツブツができるため、ワキガの人はブツブツができやすいです。
脇のブツブツに効く市販薬はありますか?
武田 美貴(医師)
脇のブツブツが赤くなっている場合や少しかゆい場合は、炎症を抑える成分が入った軟膏が有効であることがあります。しかし、脇のブツブツに細菌が感染している場合は悪化することがありますので、心配な時は早めに皮膚科を受診してください。
脇のブツブツにピーリングは効果的でしょうか?
武田 美貴(医師)
脇のブツブツは古い角質が溜まることが原因のことがあります。古い角質を取り除くにはピーリングも有効です。しかし、ピーリングは皮膚を傷つける可能性もあるので、頻回に行うことは避けてください。
まとめ 脇のブツブツは角質ケアと入浴で予防
脇のブツブツはきちんとケアすることで予防できます。不適切な自己脱毛をしないようにして、脱毛した後は十分に保湿を行い、脇を清潔に保ちましょう。シャワーだけでなく浴槽につかって、皮膚を柔らかくしてから洗うことも効果的です。また、制汗剤等を使った後も薬剤をよく落とすように洗いましょう。
脇のブツブツが感染すると、赤く腫れたり痛みが出たりします。そのような症状が出たときは皮膚科を受診してください。また、脇のブツブツが大きくなってくるようなときは、がんのリンパ節転移などの可能性があるので、皮膚科や内科を受診することをおすすめします。
「脇のブツブツ」症状で考えられる病気
「脇のブツブツ」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
皮膚科の病気
- 多形性紅斑
- 粉瘤
- 脂肪種
内科の病気
外科の病気
- 乳がんなどのリンパ節転移
脇のブツブツがおさまらないときは、上記のような病気の可能性があります。大きさに変化がない場合は、様子をみて良いこともありますが、大きくなる、数が増えるなどの症状がある場合は、治療が必要な病気であることもあります。
「脇のブツブツ」に似ている症状・関連する症状
「脇のブツブツ」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 脇の臭い
- 脇のしこり
- 脇のリンパが腫れる
- 脇の付け根が痛い
脇は汗腺のほかに皮膚の下にリンパ節があります。このリンパ節は全身の老廃物が溜まる部分なので、悪性腫瘍が転移しやすい場所として知られています。また、身体に炎症がある場合も脇のリンパ節が腫れることがあります。脇にしこりがある、しこりが大きくなる、脇が痛いなどの症状があった場合は、皮膚科や内科を受診して下さい。