「右手だけ手がむくむ」原因はご存知ですか？医師が対処法も徹底解説！

右手だけ手がむくむとき、身体はどんなサインを発している？Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師：
丸山 潤（医師）

「右手だけ手がむくむ」症状で考えられる病気と対処法

お酒を飲みすぎた次の日は顔がむくんでいたり、立っている時間が長いと足がむくんでしまったり…むくみは自分で気がつかないうちに出てくることが多いですが、見た目も変わるので気になりますよね。特に手のむくみは指輪がきつくなって取れなくなってしまい、細かい作業が難しくなるなど不便なことも増えてきてしまいます。
むくみとは正確には「浮腫」のことで、血管内の水分が血管外に漏れて体内に溜まっている状態を指します。他にも、むくみのように見えても実は浮腫ではなく炎症で腫れている状態のこともあります。
今回は、「右手だけ(片方だけ)手がむくむ」症状が見られた時に考えられる病気とその対処法について解説します。

右手だけ手がむくむ症状で考えられる原因と対処法

右手だけ手がむくむ時、特に気をつけるポイントは「むくんでいるのは片側のみかどうか」という点です。他の場所にもむくみが見られている場合は全身にむくみが見られていることがあり、別の病気を疑う必要があります。
むくみを取る方法として簡単にできる方法は心臓より高い位置に上げることです。原因によってはマッサージや温めることが有効な場合もありますが、逆効果のこともありますので安易に行うことは避けましょう。心臓より高い位置に上げることは静脈に血液が溜まりにくくして血流を改善する効果が期待できるため、手がむくんでいる時はなるべく手が心臓より下にある時間を減らすようにしましょう。
右手のみのむくみの原因として考えられる病気には腱鞘炎、蜂窩織炎、血管性浮腫、リンパ管炎や静脈炎などがあります。
まずは皮膚科を受診し、診断を受けるようにしましょう。特に急激にむくみが進んでいる場合や発熱・赤み・痛みを伴う場合はすぐに受診しましょう。

朝、右手だけ手がむくむ症状で考えられる原因と対処法

朝に右手だけ手がむくむ場合、基本的な対処は先程の項目で述べた対処法と同じです。ただ、朝にのみむくみを感じる方の中には実際はむくみではなくて「朝のこわばり」を指していることもあります。「朝のこわばり」とは手足の関節の自由に動かせる範囲が狭まってしまい動かしにくくなる症状で、この症状が朝にのみ見られる場合は関節リウマチの初期症状であることもあります。一般的には両手に症状が見られますが、ごく初期には片手や一部の指のみに見られる可能性もあります。そういった場合は皮膚科の他に膠原病内科の受診も検討しましょう。

すぐに病院へ行くべき「右手だけ手がむくむ」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

痛みや熱、赤みがある場合は、皮膚科へ

むくんでいる右手に痛みや熱、赤みがある場合は早めに皮膚科を受診しましょう。蜂窩織炎という病気の可能性があります。蜂窩織炎とは、細菌が皮下で炎症を起こす病気で、炎症が起きた部分の皮膚が赤く腫れて熱をもちます。腫れている部分を押さえると痛みが出ることもあります。治療には抗生剤の内服が必要となるため、このような症状が見られる場合は皮膚科の受診をお勧めします。
特に、発熱が見られる場合は炎症が悪化して全身症状が出ている可能性がありますのでなるべく早く受診しましょう。

受診・予防の目安となる「右手だけ手がむくむ」ときのセルフチェック法

• ・右手だけ手がむくむだけではなく全身がむくむ症状がある場合
• ・右手だけ手がむくむ以外に腹痛や嘔吐の症状がある場合
• ・右手だけ手がむくむ以外に痛みや赤みの症状がある場合

「右手だけ手がむくむ」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「右手だけ手がむくむ」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

腱鞘炎

手の指を動かすためには腱が必要です。その腱を支えているのが「靭帯性腱鞘」と呼ばれる部分です。これが指と繋がっている指の付け根の部分で炎症が起こると周囲にある腱や腱鞘に炎症が波及し、腱鞘炎となります。初めは指の付け根付近の痛みや腫れの症状がありますが、進行するとさらに動きが制限されるばね指と呼ばれる状態となります。
原因は手の使い過ぎによることが多く、パソコン作業を長期間行う方やピアニストなどでよく見られます。更年期や出産前後の女性、糖尿病などの基礎疾患をお持ちの方に起こりやすい病気です。
治療では安静や局所の注射を行いますが、再発するケースも少なくありません。再発が多い場合は腱鞘を切開する手術を行うこともあります。
日常からよく手を使っている方で指の痛みや腫れ、動かしにくい症状があれば整形外科を受診しましょう。

蜂窩織炎

皮膚・皮下組織に細菌が感染することによって炎症が起こる病気です。
黄色ブドウ球菌や溶連菌と呼ばれる細菌が原因のことが多いですが、他の細菌でも起こります。症状としては皮膚の熱感や痛みを認めるほか、赤みや皮下の膿瘍を伴うこともあります。
治療法としては抗生剤の内服を行います。右手に蜂窩織炎を起こしている場合は、右手の挙上や冷却で腫れが改善することもあります。炎症反応が強い場合は入院して点滴治療を行う場合もあります。
手の症状だけでなく発熱が見られる際は全身に炎症が波及しているため炎症反応が強いことが予想されます。また、稀ですが急激に症状が進行する場合や痛みの部位が皮膚の赤みより広範囲の場合は壊死性筋膜炎という致死率の高い病気の可能性もあります。
右手のむくみに赤みや熱感を伴う場合は皮膚科を受診しましょう。急激に症状が進行する場合や発熱を伴う場合はなるべく早い受診がお勧めです。

血管性浮腫

血管性浮腫は、皮膚もしくは粘膜の深部を中心として部分的に浮腫が起こる病気です。顔面に起こることが多い病気ですが、別の部位に起こることもあります。数日間症状が続くこともありますが、跡形なく症状が消失することがほとんどです。一旦症状が改善しても同じ症状を繰り返すことがあります。原因は特定の食品や薬、温度変化や日光刺激などが挙げられます。また、遺伝性血管浮腫という特定の遺伝子変異により起こる血管性浮腫もあります。治療は原因の除去や抗ヒスタミン薬の内服を行います。遺伝性血管性浮腫の治療はC1-インヒビター製剤など特殊な薬剤を使用して行いますが、病気の分類によって適切な治療薬は異なります。

「右手だけ手がむくむ」の正しい対処法は？

右手のむくみが見られた際は、肘置きやクッションの上に手を置き、できれば心臓より高い位置に置くと良いでしょう。全身のむくみの一部として右手の症状が出ている場合はむくみを改善する五苓散などの漢方や患部のマッサージが有効なこともありますが、蜂窩織炎のように感染症が原因の場合や腱鞘炎のように指の使い過ぎが原因の場合、逆に悪化させてしまうこともあるので注意しましょう。どこかにぶつけたり怪我をして腫れている場合は湿布での冷却で対応できますが、原因が明らかでない状況で安易に冷やしたり温めたりすることは避けた方が良いでしょう。
むくみがしばらく続く場合や痛みや赤み、発熱などの全身症状を伴う場合は必ず病院を受診しましょう。まずは皮膚科の受診がおすすめですが、右手以外のむくみがある場合は内科を受診しましょう。

まとめ 右手だけ手がむくむのが気になるときは皮膚科を受診

「むくみ」と一言で言っても疑う病気は複数あります。右手だけにむくみが見られる場合は、まずは皮膚科を受診しましょう。症状の経過によっては内科の疾患を疑われることもあります。
急な症状の増悪や発熱など全身症状が見られる場合は早めの受診をお勧めします。
手だけの症状だから、と侮らず病院で診察を受けるようにしましょう。

「右手だけ手がむくむ」症状で考えられる病気

「右手だけ手がむくむ」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

軽いものであれば様子を見ているうちに改善することが多いのですが、むくみの程度が強い場合や何らかの他の症状も伴っている場合には、病気が隠れている可能性があります。

「右手だけ手がむくむ」に似ている症状・関連する症状

「右手だけ手がむくむ」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「右手だけ手がむくむ」症状の他にこれらの症状がある場合でも「蜂窩織炎」「血管性浮腫」「腱鞘炎」「関節リウマチ」などの疾患の可能性が考えられます。赤みや熱を伴っている場合や、全身もむくんでいる場合には、早めの医療機関への受診を検討しましょう。