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「おしりにしこり」ができる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「おしりにしこり」ができる原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

おしりのしこりで、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

後藤 和哉 医師

監修医師
後藤 和哉 医師(京都大学医学部附属病院)

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大分大学医学部卒業後、関西電力病院、京都大学医学部附属病院、研修医を経て
京都大学医学部附属病院、天理よろづ相談所、皮膚科医。

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「おしりのしこり」の症状で考えられる病気と対処法

お風呂から上がったあとや、着替えている最中にふとお尻を触るとしこりができている…。普段自分の目で確認することができない部位のため、そういったしこりを見つけてしまうと不安を感じてしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなお尻のしこりで考えられる病気や対処法、病院を受診する目安などを紹介します。

おしりに痛くないしこりがある症状で考えられる原因と対処法

おしりにしこりはあるけれど痛みは伴わない場合、考えられるのは良性の腫瘍です。良性の腫瘍で多く見られるものは、脂肪腫や石灰化上皮腫、脂漏性角化症などです。いずれも、皮膚や皮下脂肪が増殖してできたもので、緊急性はなく経過観察となり、気になる場合や大きい場合などは手術で摘出します。
手術などを希望される場合は皮膚科や形成外科を受診しましょう。

おしりに座ったり押すと痛いしこりがある症状で考えられる原因と対処法

おしりにしこりがあって触ったり、座った時に痛みが生じる場合に考えられる病気は、炎症性粉瘤や毛包炎、せつ、ようなどを考えます。いずれも細菌感染などが原因で皮膚に炎症が起こってしまっているため、痛みが生じます。
治療には抗生剤の内服が必要で、かつ溜まっている膿や粉瘤であれば袋の中に溜まった角質などを出さないとしっかり治すことはできません。痛みが生じる場合は皮膚科を受診しましょう。命に関わるということはあまりありませんが、放置すると皮下膿瘍が広がり治りがかなり遅くなったり、最悪の場合は手術が必要になるため早めに病院に行ってください。
痛みが強い場合は市販の鎮痛薬を飲むのも良いでしょう。

おしりにしこりがあってかゆい症状で考えられる原因と対処法

おしりにかゆみを伴うしこりがある場合、一番考えられるのは痒疹(ようしん)です。

痒疹

痒疹とは湿疹などにできるかゆい盛り上がりで、湿疹以外に虫刺されなどが原因で生じます。
痒疹は強いかゆみを伴うことが多いため、掻きむしってしまう方が多くいらっしゃいます。しかし掻きむしることで皮膚に傷がつき、その傷から菌が侵入して二次感染を起こすことがあるため、なるべくかきむしらないようにしましょう。どうしてもかゆい時は、患部を保冷剤などで冷やすと症状をやわらげることができます。
痒疹であった場合、市販の薬ではなかなか治らないため皮膚科を受診してください。

おしりに赤いしこりがある症状で考えられる原因と対処法

おしりのしこりに赤みがある場合、考えられる疾患はとても多いです。湿疹でもニキビなどの細菌感染症でも、炎症が生じるため赤みを帯びた見た目を呈します。内出血や血腫などでも血が透けて見えるため、赤みとなります。
両者の見た目上の違いは、前者のように炎症が主体の場合は赤みの辺縁がぼやっとしており、後者のように出血などの血液がメインの場合は辺縁が比較的くっきりとしていることです。
赤みがある場合は、鏡などでどういった赤みなのか確認してみてください。

おしりにしこりがあり熱を持っている症状で考えられる原因と対処法

おしりのしこりが熱を持っている場合も、痛みが伴う時と同様に何らかの炎症が起こっていると考えます。熱を持っているときは、ほとんどの場合で少しは痛みや腫れもある場合がほとんどです。
考えられる病気は、しこりに痛みが伴う時と同じように粉瘤や毛包炎などになります。痛みがなかったり、あっても軽度だったとしても治療は抗生剤の内服となるため病院の受診は必要です。

打撲しておしりにしこりがある症状で考えられる原因と対処法

おしりを打撲してその部位にしこりがある場合、考えられる病気は外傷性脂肪壊死です。これは打撲により皮下脂肪組織が障害を受け、その部位に炎症が起こることでしこりを触れるものです。
緊急性はなく、時間と共にしこりも消退するため経過観察で良い病気です。しかし、心配な場合は皮膚科を受診してみましょう。

すぐに病院へ行くべき「おしりのしこり」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

痛みや熱感など症状がある場合は、皮膚科へ

おしりのしこりが痛くて座っていられない、触ると痛い、あるいは、熱感があるといった症状がある場合は、細菌感染を起こして膿が溜まり皮下膿瘍を形成している可能性があります。この場合、なるべく早く切開排膿をおこない、適切な抗生物質での治療が必要になります。自然に治ることはありません。放置して進行すると手術が必要になったりすることもあります。まずは近くの皮膚科を受診してください。
また、急にしこりが出現してどんどん大きくなっている場合は、皮膚癌などの何らかの悪性疾患の可能性があります。早急な精密検査が必要なこともあるため、そういった場合も早めに皮膚科を受診してください。

受診・予防の目安となる「おしりのしこり」のセルフチェック法

  • ・おしりのしこり以外に痛みや熱感がある場合
  • ・おしりのしこりがここ最近急に大きくなってきた場合
  • ・おしりのしこり以外にじゅくじゅくした湿疹がある場合

「おしりのしこり」の症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「おしりのしこり」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

肛門周囲膿瘍

​​肛門周囲膿瘍は肛門周りの毛穴などから細菌が入り感染を起こし、皮下に膿が溜まった状態のことを指します。組織の痛み具合によっては臭く、皮膚が黒い色を呈するようになります。治療は切開排膿と抗生剤の投与になります。赤みや熱感、痛みが主な症状のためこれらを認めた場合は皮膚科を受診してください。

粉瘤

粉瘤とは別名表皮嚢腫とも呼び、皮膚の中に袋ができてその中に角質が溜まったものを呼びます。この溜まった角質を体が異物と認識することで炎症が起こると赤みや痛みなどを伴ったしこりとなります。
根本的な治療は手術で袋を取り除くことになります。ただし炎症がまさに起こっている状態の時は傷の治りが悪くなるため、まずは切開で角質を取り除き二期的に手術を行うこともあります。
粉瘤の治療は皮膚科もしくは形成外科で行っています。

毛嚢炎

毛包炎は毛穴から細菌が入り込むことで起こります。自然と治ることもありますが、抗生剤の外用薬や内服が必要な場合もあります。
少し様子を見ていたがなかなか良くならない場合や、痛みなどの症状が強い場合はそれらの治療が必要かと思われるため、皮膚科を受診してください。

脂肪腫

脂肪腫はその名の通り脂肪のかたまりです。なぜ脂肪腫ができるのかは未だ不明で、体のどこにでも起こる可能性があります。通常、痛みなどの症状は伴わないため触ってみて初めて気づくことがほとんどです。
放置していても問題はありませんが、自然と消退することはないため、気になる場合は手術での摘出が必要です。その場合は皮膚科もしくは形成外科を受診しましょう。
脂肪腫と思っていても、ごくごく稀に悪性疾患であることもあるため急激な増大などあれば一度病院を受診してください。

「おしりのしこり」の正しい対処法は?

おしりのしこりで痛みやかゆみなどの症状が伴う場合、なるべく触らないようにしましょう。触るとさらに状態を悪化させてしまう可能性があります。
どうしても症状が我慢できない場合は、保冷剤などで冷やすなどで対応してください。
市販薬は細菌感染主体か湿疹主体かで、使用する薬が180度変わってしまうため、自己判断で使用することは控えた方が良いでしょう。長引くと色素沈着や瘢痕(はんこん)の原因になるため、早く治したい場合は病院を受診してください。
痛みが強い場合は痛み止めの内服も有効です。

「おしりのしこり」の症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「おしりのしこり」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

おしりにしこりがあるのですが市販薬を使用してもいいですか?

後藤 和哉 医師後藤 和哉 医師

原因によっては、市販薬の使用で状態がより悪化してしまう可能性もあるため原因がわからないまま市販薬を使用するのは控えた方が良いでしょう。
しかしかゆみどめや痛み止めなど対処療法の市販薬であれば、症状緩和に有効なため病院に行くまで我慢できないなどあれば使用を検討してください。

おしりのしこりは放置しても自然治癒しますか?

後藤 和哉 医師後藤 和哉 医師

軽い毛包炎やニキビ、湿疹などが主体の場合は自然に治ることもあります。しかし、状態がひどい場合は自然治癒が望めない場合もあります。また、脂肪腫などの腫瘍性病変の場合は自然と治ることはなく、手術での摘出が必要です。

座ると痛いおしりのしこりの治し方を教えてください。

後藤 和哉 医師後藤 和哉 医師

まず細菌感染症などを考えます。抗生剤の治療、場合によっては切開による排膿が必要となるでしょう。放置せずなるべく早く病院に行きましょう。

おしりのしこりの良性悪性の違い・特徴を教えてください。

後藤 和哉 医師後藤 和哉 医師

おしりのしこりは良性なものであることがほとんどです。しかし悪性なものの場合もあります。
急に大きくなってきた、出血を伴いかゆみはそこまで強くないがじゅくじゅくしているなどあれば悪性の可能性が考えられます。しかし良性か悪性かの判断は見た目のみではできません。血液検査や画像検査、病理検査が必要なため総合病院などの皮膚科などを受診する必要があります。

まとめ

おしりのしこりについて紹介しました。おしりのしこりは、ほどんどが良性の病気です。しかし、ごくごく稀に悪性腫瘍であることもあります。悪性の場合の多くは、形が不整であったり硬さが部位によってまちまちであったりします。少しでも気になる症状がある場合は一度皮膚科を受診してください。

「おしりのしこり」の症状で考えられる病気

「おしりのしこり」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

皮膚科系の病気

おしりのしこりはほとんどが良性の病気ですが、一部注意が必要な悪性の病気があります。

「おしりのしこり」に似ている症状・関連する症状

「おしりのしこり」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

「おしりのしこり」症状の他にこれらの症状がある場合でも「毛包炎」「粉瘤」「皮下膿瘍」「肛門周囲膿瘍」「毛巣洞」「痒疹」「虫刺症」「脂肪腫」「神経線維腫症」「石灰化上皮腫」などの疾患の可能性が考えられます。症状がなかなか改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師