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「ほくろがかゆい・かゆくなる」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「ほくろがかゆい・かゆくなる」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

ほくろがかゆい時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

森田 知世

監修医師
森田 知世(医師)

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東京女子医科大学卒業後、広島大学病院皮膚科、県立広島病院皮膚科などに勤務。現在は大阪市内の美容皮膚科、皮膚科に複数勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。

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「ほくろがかゆい」症状で考えられる病気と対処法

昔からあるほくろがかゆい、かゆくてひっかいてしまった、かさぶたができた、などの症状があると心配になりますね。ほくろにみえるできものも、実は他の病気の可能性があり、肉眼では区別が難しいことがあります。今回は、なぜほくろがかゆくなるのか、ほくろがかゆい時に考えられる原因について解説していきます。

ほくろがかゆい症状で考えられる原因と治し方

ほくろは皮膚の中でメラニンを作る細胞(メラノサイト)が増える良性のできもののことで、色素性母斑や黒子と呼ばれます。ほくろ自体にかゆみが起こることはまれで、突起しているほくろをひっかいてかさぶたになったり、ほくろのまわりに湿疹などかゆみのある病変ができた結果、ほくろがかゆいと感じているのかもしれません。かゆみに対して自宅ですぐできる対応としては、氷など冷たいもので患部を冷やすことです。ほくろの周りが赤くなっている場合には湿疹を合併している可能性がありますので、市販のかゆみ止めをぬったり、皮膚科を受診してかゆみ止めの塗り薬を処方してもらうといいでしょう。

かゆいほくろが膨らむ症状で考えられる原因と治し方

ほくろが急に膨らんできた、出血するようになった、ジュクジュクしてかゆい、などの症状がある場合には皮膚がんの可能性があります。皮膚がん自体にかゆみはありませんが、出血やジュクジュクした液が周りの皮膚につくことで、かゆみを感じることがあります。見た目がほくろに似ている皮膚がんの代表に、悪性黒色腫(メラノーマ)があります。メラノーマの特徴は次の5つです。メラノーマは悪性度が高く、手術や化学療法が必要な病気ですので、すぐに皮膚科を受診しましょう。

メラノーマの特徴

  • A:Asymmetry 形が左右非対称である
  • B:Border irregularity 辺縁がギザギザして不鮮明な部分がある
  • C:Color variegation 色むらがあり、黒以外に赤や白、青が混ざる
  • D:Diameter enlargement 大型の病変、特に長径が6mmを超えるもの
  • E:Evolving lesions 形や色、大きさの経過に変化がある

盛り上がりのあるほくろがかゆい症状で考えられる原因と治し方

皮膚の中にある毛を作る細胞(毛包)の一部が増える基底細胞癌という皮膚がんの可能性があります。日本人の場合は黒色で盛り上がっていることが多く、ほくろにみえることがあります。赤や肌色に近い色で、一部がえぐれたような潰瘍を伴っていることもあり、その場合はジュクジュクするため周囲の皮膚にかゆみがでることがあります。診断にはダーモスコピーと呼ばれる拡大鏡や皮膚の一部を切り取って検査に出す皮膚生検を行います。転移はまれですが、周囲の組織を破壊しながら局所で大きくなる性質があるため手術での除去が必要です。

かゆいほくろがかさぶたになる症状で考えられる原因と治し方

30歳以降から徐々に増えてくる脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)という良性のできものの可能性があります。顔や胸、背中、お腹周り、頭皮などに好発し、薄い褐色調のものからほくろのような濃い茶色、黒色まで多彩な色調です。表面はカサカサ、ザラザラしており、かさぶたのようにみえることがあります。顔にできる脂漏性角化症は、元々シミがあった部分の一部が盛り上がってできることも多いです。脂漏性角化症は保険で治療でき、液体窒素を用いた凍結療法で除去することができます。また、自費診療ではレーザー治療が可能ですので、皮膚科を受診しましょう。

かゆいほくろが取れた症状で考えられる原因と治し方

強くひっかく、かみそりで切ってしまうなどで、突起したほくろが取れた経験はないでしょうか。その場合、皮膚の深いところにほくろの細胞(母斑細胞)が残っていることが多いです。ほくろが取れたと思っていても脂漏性角化症など違うできものの可能性もあります。また、盛り上がりのあるほくろをいじったりひっかいたりする刺激で、感染症や皮膚がんになる可能性もあります。経過がおかしいと感じれば皮膚科を受診しましょう。

背中のほくろがかゆい症状で考えられる原因と治し方

背中はもともと乾燥しやすく、特にナイロンタオルなどでゴシゴシと体を洗っている場合には、盛り上がりのあるほくろをこすってしまい、かゆみや赤みが出る場合があります。また、脂漏性角化症など表面がカサカサしているできものの場合も、汗や服と擦れる刺激でかゆみが出る場合があります。ほくろの場合は除去できますし、脂漏性角化症の場合も液体窒素やレーザーを用いて除去することが可能ですので、皮膚科を受診しましょう。

かゆいほくろが大きくなる症状で考えられる原因と治し方

ほくろは良性でも時間経過と共に大きくなっていくことがありますが、かゆいほくろが急に大きくなった場合、悪性黒色腫など皮膚がんの可能性があります。ダーモスコピーという拡大鏡を用いたり、できものの一部を切り取って検査をすることで診断が可能ですので、皮膚科を受診しましょう。

かゆいほくろから汁が出る症状で考えられる原因と治し方

ほくろから汁がでてジュクジュクしてかゆい、などの症状がある場合には脂漏性角化症の可能性があります。脂漏性角化症の表面はザラザラしてかさぶたのようになっており、うっかりひっかいてしまうと汁がでることがあります。脂漏性角化症は液体窒素を用いた凍結療法やレーザー治療が可能ですので、皮膚科を受診しましょう。

かゆいほくろから血が出る症状で考えられる原因と治し方

ほくろから血がでるようになった場合、皮膚がんの可能性があります。悪性の皮膚がんは組織が脆いことが多く、日常生活でのちょっとした刺激で出血したりジュクジュクした液がでることがあります。気になる症状がある場合には早めに皮膚科を受診しましょう。

新しいほくろがかゆい症状で考えられる原因と治し方

いくつになっても新しいほくろができる可能性はありますが、そのほくろが急激に大きくなったりかゆみなどの症状を伴う場合には、皮膚がんの可能性があります。気になるほくろが出来た場合には、皮膚科を受診してください。

すぐに病院へ行くべき「ほくろがかゆい」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

ほくろの周りが赤い、カサカサしている、ほくろが急に大きくなったなどの症状がある場合は、皮膚科へ

ほくろがかゆい以外に、ほくろの周りが赤い、カサカサしている、ほくろが急に大きくなった、膨らんできた、出血やジュクジュクを伴う、昔からあるほくろなのに形や色が変わってきた、などの症状があればほくろ以外の病気に可能性がありますので、皮膚科を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「ほくろがかゆい」のセルフチェック法

  • ・ほくろの周りが赤い、カサカサしている場合
  • ・ほくろのかゆみ以外に急に大きくなった、膨らんできた場合
  • ・ほくろのかゆみ以外に出血やジュクジュクがある場合
  • ・ほくろのかゆみ以外に色むらがある場合
  • ・ほくろのかゆみ以外に形や色、大きさに変化がある場合

「ほくろがかゆい」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「ほくろがかゆい」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

悪性黒色腫(メラノーマ)

いわゆる「ほくろの癌」のことで、日焼けしたときにメラニン色素を作るメラノサイトと呼ばれる細胞が異常増殖し、癌化したものです。幼少期からあるほくろが癌化することはまれで、メラノーマの多くは中年期以降に生じます。治療は手術や化学療法になります。日本人は足の裏や手のひら、手足の爪部にできるタイプが最も多いと言われており、中年期以降にこれらの場所に黒い斑点ができた場合には皮膚科を受診しましょう。

脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)

いわゆる「老人性のいぼ」のことで、表皮の一部の細胞が増殖してできる良性のできものです。早ければ30歳台から出現し、年齢とともに増えていきます。顔や首など紫外線の影響を受けやすい部位に好発しますが、全身どこにでもできます。触るとカサカサして盛り上がっているため、かさぶたと間違えることがあります。色は褐色から黒色まで様々で、大きさも数㎜から5㎝以上の大きさになることがあります。治療は液体窒素を用いた凝固術やレーザーで除去が可能です。大きくなった、かゆみがある、などの症状があれば皮膚科を受診しましょう。

基底細胞がん

皮膚の毛包の一部の細胞が癌化したもので、顔など紫外線の影響を受けやすい場所に好発します。やや青味がかった黒色のできものであることが多いため、ほくろと間違われやすいですが、基底細胞癌の場合には大きくなったり一部がえぐれたような潰瘍になることもあります。治療は手術です。特に60歳代以降で特に顔の中心部に好発するため、これまでなかった黒いほくろの様なできものができた場合には皮膚科を受診しましょう。

「ほくろがかゆい」ときの正しい対処法は?

ほくろが以前と比べて大きくなったり、色むらがある、出血やジュクジュクを伴う場合には悪性のできものの可能性があるため、皮膚科を受診しましょう。これらの症状がなく、かゆみを伴う場合には市販の保湿剤やかゆみ止めの塗り薬を塗ったり、氷で冷やして様子をみましょう。市販薬を塗る際には、刺激を与えないよう、優しくこすらないように塗布してください。数日経っても症状が改善しなければ皮膚科を受診してください。

「ほくろがかゆい」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「ほくろがかゆい」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

かゆみのあるほくろを除去することは可能でしょうか。

森田 知世医師森田 知世(医師)

保険診療での治療が可能です。

ほくろの周りがかゆいのですが対処法はありますでしょうか。

森田 知世医師森田 知世(医師)

かゆみ止めを塗る、氷で冷やすなどの対処法があります。

お腹にかゆみのあるほくろがありますが病院へ行くべきでしょうか。

森田 知世医師森田 知世(医師)

治療が必要なほくろの可能性がありますので、皮膚科を受診しましょう。

かゆいホクロが悪性の皮膚がんか見分ける方法はありますか?

森田 知世医師森田 知世(医師)

皮膚科でダーモスコピー(拡大鏡)や皮膚の一部を切り取る皮膚生検などの検査を行うことで、悪性の皮膚がんの可能性を判定できます。

昔からあるほくろが盛り上がってかゆくなってきたら危険ですか?

森田 知世医師森田 知世(医師)

幼少期からあるほくろが癌化することはまれですが、皮膚がんの中にはゆっくり成長するものもあります。また、昔からあるといっても20歳代以降に新たにできたもので、性状や大きさに変化がある場合には皮膚科を受診しましょう。

まとめ

今回はほくろがかゆくなる原因について解説しました。ほくろと思っているできものも、実は皮膚がんなど別の病気だったということもあります。肉眼での判断は難しいので、気になるほくろがあれば皮膚科を受診しましょう。

「ほくろがかゆい」で考えられる病気と特徴

「ほくろがかゆい」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

皮膚科の病気

ほくろのように見えても、実は別の病気が隠れていることもあります。何か変化に気づいた際には一度皮膚科で相談することも考慮しましょう。

「ほくろがかゆい」と関連のある症状

「ほくろがかゆい」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 急に大きくなった、膨らんできた場合
  • 出血やジュクジュクがある場合
  • 色むらがある場合
  • 形や色、大きさに変化がある場合

「ほくろがかゆい」以外にこのような症状がある場合には、「湿疹」「悪性黒色腫(メラノーマ)」「基底細胞癌」「脂漏性角化症」などの可能性が考えられます。このような症状がある場合には、早めに医療機関への受診をお勧めします。