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「悪性黒色種(メラノーマ)」とは?見分け方・症状・原因・治療法も解説!

 更新日:2023/08/17
「悪性黒色種(メラノーマ)」とは?見分け方・症状・原因・治療法も解説!

悪性黒色種(メラノーマ)は、肌にあるメラノサイトという細胞が癌化して肌に発生する悪性腫瘍(癌)です。

発症率としてはあまり高くないので希少がんに分類されていますが、自覚症状が少ないので発見が遅れることもあり、早期に臓器などほかの部位への転移が認められます。

また見た目がほくろとよく似ているため自分では見分けが付かないことが多いので、専門医がしっかりと検査・診断して悪性黒色種(メラノーマ)を見付けることが必要です。

今回は悪性黒色種(メラノーマ)の症状や診断方法を説明します。また、この病気に再発や転移の可能性があるのかや、発生の予防方法も紹介していきましょう。

松澤 宗範

監修医師
松澤 宗範(青山メディカルクリニック)

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2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業
2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医
2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科
2017年4月 横浜市立市民病院形成外科
2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職
2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長
2020年5月 青山メディカルクリニック 開業
所属学会:日本形成外科学会・日本抗加齢医学会・日本アンチエイジング外科学会・日本医学脱毛学会

悪性黒色腫(メラノーマ)の特徴

爪の内出血

悪性黒色腫(メラノーマ)はどのような病気でしょうか?

  • 肌の組織であるメラノサイトが癌化することで発生する悪性腫瘍です。メラノサイトとは肌の表面表皮と真皮の間にあり、メラニンを生成する組織です。
  • メラニンは紫外線などの刺激を受けることによって生成されるもので、しみやそばかすの元として知られています。
  • メラノサイトが癌化すると、このメラニンとよく似た色の黒い腫瘍が肌に現れてきます。
  • 悪性黒色腫(メラノーマ)の発症率や発祥する部位は人種によって偏りがあり、具体的には人種別だと米国におけるメラノーマの年間罹病率は,白人が24.3人/10万人,アジア人が1.7人/10万人,黒人が1.2人/10万人と報告されています。
  • よって希少癌の1つに数えられています。

皮膚の癌なのですね。

  • 日本人の悪性黒色腫(メラノーマ)は手のひらや足の裏、爪などに多く発症します。
  • ほくろやしみのような黒・茶色の点が肌に現れるのですが、見た目がほくろとよく似ているので素人目ではほくろとなかなか見分けがつきません。
  • また専門医以外が診察・検査を行った場合も、やはりほくろやあざなどと見間違ってしまうケースがあります。
  • 悪性度が高いため、早期発見と適切な検査が必要とされる癌です。
  • 皮膚の癌にはほかにも基底細胞癌・有棘細胞癌・パジェット病などがありますが、この病気は発見が比較的難しく、悪性度が高くて治りにくいといわれています。

どのような症状・初期症状が現れますか?

  • 初期では肌の表面に黒や茶色の斑点が現れ、1〜2年をかけて徐々に大きくなっていきます。
  • 初期では痛みなどの自覚症状がないので、肌のほくろやしみが増えたら注意深く観察するのが発見のポイントです。
  • 悪性黒色腫(メラノーマ)が進行していくとこの斑点が硬くなったり、色が濃くなったりしていきます。さらに悪化するとリンパや内臓への遠隔転移が起こり、ここまでくると全身的な治療が必要です。
  • また爪に悪性黒色腫(メラノーマ)が発生すると茶色く変色します。まれに色素の少ない、赤っぽい悪性黒色腫(メラノーマ)が確認されることもあります。

原因を教えてください。

  • 様々な要因が指摘されていますが、遺伝的要因と紫外線・肌への刺激などの環境要因が主です。
  • 特に紫外線エネルギーは細胞の遺伝子を傷付けやすいといわれており、実際赤道付近の地域はこの病気の発症が高いことから、紫外線の浴び過ぎには注意が必要です。
  • ただし日本人は紫外線に晒されることの少ない手のひらや足の裏に発症することが多く、これは歩行などの刺激が原因の1つなのではと考えられています。

悪性黒色腫(メラノーマ)の診断と治療方法

医師と男性患者

診断のポイントを教えてください。

  • この病気は、初期段階では良性のしみ・ほくろと区別がつきにくいため、慎重に診断をする必要があります。悪性黒色腫(メラノーマ)には以下の4タイプがあります。
  • 末端黒子型
  • 表在拡大型
  • 結節型
  • 悪性黒子型
  • 末端端子型は日本人に最も多く発症するタイプで、手のひらや足の裏に黒い斑点が現れたり、爪が変色したりするのが特徴です。
  • 表在拡大型は白人に多いタイプで、広く浅いあざが肌表面に現れ、その面積が広がっていくものです。
  • 結節型は突然黒い盛り上がりが現れます。悪性黒子型は高齢者に多く、薄く茶色いしみが時間をかけて黒く、しこり状になっていきます。

どのような検査をするのですか?

  • まずは肉眼やダーモスコープという専門の拡大鏡を使って、患部に悪性黒色腫(メラノーマ)の疑いがあるかどうかを慎重に判断します。
  • そして疑いありとの診断が下った場合に行うのが、患部全体か一部を切り取る病理組織学的検査です。
  • さらに転移の可能性がある場合、全身の画像検査も行います。この病理組織学的検査や画像検査は専門の医師が慎重に行わなければいけません。
  • もし間違った患部の切り取りをすれば悪性黒色腫(メラノーマ)の進行を早めるおそれがあります
  • また画像検査で癌の見逃しがあると、完治できません。

治療方法を教えてください。

  • この病気が早期に発見され、他の部位への転移が見られない場合は、患部と周囲の肌組織を切り取る治療が一般的です。
  • リンパやほかの臓器などへの転移がある場合は、化学療法や外科治療を併せた集中的治療が行われます。

悪性黒色腫(メラノーマ)の見分け方・チェック法

ショートカットの女性

悪性黒色腫(メラノーマ)の見分け・チェック法を教えてください。

  • 悪性黒色腫(メラノーマ)を疑う時のポイントは以下の4つです。
  • 時間経過とともに直径6mm以上に大きくなっている
  • 患部の輪郭がギザギザだったり、いびつだったりする
  • 患部が左右対称ではない
  • 患部の色に濃淡のムラがある
  • 詳細に記載するとABCDE診断基準(Asymmetry:非対称性,Border:辺縁の不規則さ,Color:色調の多彩さ,Diameter:大きさ>6mm,Evolving:進行性)となります。
  • この病気は時間とともに進行し、患部の面積が大きくなったり、硬くなったりすることが特徴です。
  • また綺麗なカーブや左右対称の形となるほくろとは違い、悪性黒色腫(メラノーマ)はふちがギザギザだったり、左右非対称だったりするのでここも診断のポイントとなります。
  • ただし素人目には判断が難しく、診断にはダーモスコープなどの専門器具が必要です。
  • もし自分の身体に疑わしいあざや斑点が見付かった場合は、早めに専門科にかかることをおすすめいたします。

良性と悪性の見分け方を教えてください。

  • 悪性の場合のチェックポイントは先に上げた4つです。ただ繰り返しになりますが、悪性黒色腫(メラノーマ)と良性のほくろ・あざとの見分けは専門医でも技術がいる診断です。
  • もし気になるあざ・ほくろ・爪の変色が見つかったら、痛みなどを感じなくてもまずは皮膚科へかかることをおすすめします。

再発・転移を予防する方法はありますか?

  • 悪性黒色腫(メラノーマ)は遺伝的な要因のほか、紫外線などの環境要因も発症要因として指摘されています。
  • 過度に紫外線を浴びると細胞が傷つきやすく、細胞が癌化する原因となり得ます。
  • よって普段から日焼け止めや日傘を用いて、紫外線ダメージを防ぐことがこの病気の予防・再発予防になるでしょう。
  • 転移を予防する方法としては、この病気を早く見付けることしかありません。この病気は初期には痛みなどの自覚症状がありません。
  • 自分の身体をチェックしてみて、あざ・ほくろが大きくなっている、またほかのほくろと様子が違うと感じた時は早めに検査を受けてください。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

  • 悪性黒色腫(メラノーマ)は10万人に1〜2人が発症するという希少な癌ではありますが、早期に発見できないと癌の全身転移に繋がる危険な病気です。
  • 日本人は特に手のひら・足の裏・爪先に発症しやすいということを念頭に、もし気になるほくろ・あざが出てきた場合はすぐ受診しましょう。
  • 早期の場合は皮膚の切除だけで治療を終えることができます。

編集部まとめ

シニア女性
悪性黒色腫(メラノーマ)は日本人にとって比較的まれな皮膚の癌ですが、良性のほくろなどと見分けが難しく、発見が遅れがちな病気です。

早期発見の場合は患部を含む肌組織の切除のみで治療が終わることもありますが、リンパや内臓への転移があった場合は、全身的な化学療法が必要になる場合があります。

この病気の特徴は良性のほくろと違い、年を経て大きくなっていくこと・輪郭がギザギザであることなどです。

また日本人には手足と爪に症状が出やすい末端端子型が多いことがわかっています。

これらの特長を知っておき、もし身体に疑わしいあざやほくろが見つかった時は早めに専門医にかかりましょう

この記事の監修医師