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「やけどの水ぶくれ」は何日で治るかご存知ですか?医師が原因・対処法も解説!

「やけどの水ぶくれ」は何日で治るかご存知ですか?医師が原因・対処法も解説!

やけどで水ぶくれができたときの正しい対処法をMedical DOC監修医が解説します。火傷をしたときに気をつけたい注意点についても紹介。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

後藤 和哉 医師

監修医師
後藤 和哉 医師(京都大学医学部附属病院)

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大分大学医学部卒業後、関西電力病院、京都大学医学部附属病院、研修医を経て
京都大学医学部附属病院、天理よろづ相談所、皮膚科医。

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「やけどで水ぶくれができた」症状の対処法・処置方法

「やけど」は、医学的には熱傷といい、熱が加わったことによって生じる皮膚や粘膜の損傷のことです。
火炎、熱湯、熱した油、アイロンやストーブなどにふれることで起こりますが、子供では炊飯器など高温の蒸気でも起こります。湯たんぽやホットカーペットなど40-55度の低い温度でも、長時間触れている場合に低温やけどを起こします。
熱傷は、損傷の深さによって大きくI度、II度、III度の3つに分類されますが、水ぶくれができるのは、皮膚表面の表皮の下にある真皮にまで損傷がおこったII度熱傷の場合です。II度熱傷のうち浅いものを浅達性II度熱傷、深いものを深達性II度熱傷といいます。浅い場合は赤色で痛みがありますが、深くなるにつれて徐々に白みを帯びて痛みが減ってきます。
本記事は熱傷についてすべて解説する記事ではなく、よくありがちな症状として水ぶくれが見られた時の対処法にしぼって記載します。

やけどで水ぶくれができた症状の対処法・処置方法

まず、やけどで水ぶくれができた場合はどのように応急処置をすればよいのでしょうか。
そもそもやけどをした時の応急処置で大切なのは、すぐに冷やすことです。水道の流水を優しく衣服の上から患部に流し続けて冷やしてください。日本皮膚科学会では「15分〜30分の冷却」、また「指先や脚のやけどのような場合は1時間くらい冷却する」を推奨しています。あわてて衣服を脱がせてしまうと水ぶくれがやぶれたり、冷やすまでの時間がかかってしまうため、衣服の上からの冷却がすすめられています。ただし、自分で訴えができない乳幼児の場合には、衣服の外のやけどに目をとらわれて衣服の下のもっと広いやけどを見逃さないように注意ください。
流水がない場合、保冷剤や氷が手に入る場合は、保冷剤に薄くハンカチやタオルを巻いて患部にあてる、氷をビニール袋にいれて患部を冷やすなどが有効です。ただし、保冷剤や氷を直接肌に触れさせてしまうと、患部にひっついて悪化させる可能性や逆に凍傷などを起こす可能性がありますので、定期的に皮膚から離しながら冷やすことをおすすめします。一方で、小児や高齢者では低体温になる可能性がありますので冷やしすぎに注意が必要です。やけどをして受診する際は、皮膚科、形成外科、外科、救急科を受診するようにしてください。
狭い範囲のやけどであれば近くのクリニックで対応可能ですが、範囲が狭くても心臓病、糖尿病などの基礎疾患のある高齢者、小さいお子さんの場合は入院治療になることが多いので、皮膚科、形成外科(小児の場合は小児科も)が常勤でいる総合病院を受診することをおすすめします。
特に、広い範囲のやけど(片足以上、片手以上、お腹や背中全体など)や顔、手足、陰部のやけどの場合は重症ですので、緊急で総合病院を受診ください。

やけどでできた水ぶくれがパンパンに腫れる症状の対処法・処置方法

やけどでできた水ぶくれが、冷やす応急処置をした後でも、時間が経って水ぶくれの内容が増えて大きく腫れてくることがあります。そういった場合に水ぶくれを自分で破いたほうが良いのだろうかと悩むことがあるかもしれません。実は、水ぶくれの中には傷を治す成分が含まれているので、水ぶくれを破る必要はありません。ご自身で行うと破った場所から細菌が感染する可能性もあります。自己判断で水ぶくれを破るようなことはせずに早めに皮膚科、形成外科、外科、救急科のいずれかを受診するようにしましょう。

やけどでできた水ぶくれが破れてしまった症状の対処法・処置方法

何らかの拍子に水ぶくれが破れることがあります。その際は中から液がでて、皮膚の一部がなくなるためびらん、皮膚潰瘍という状態になります。
水ぶくれが破れた場合は、そのまま放置すると細菌感染を起こす可能性があります。清潔なガーゼ(可能なら薬局で傷口につきにくい非固着性ガーゼを購入し)で保護して、はやめに病院(皮膚科、形成外科、外科、救急科)を受診されることをおすすめします。

すぐに病院へ行くべき「やけどで水ぶくれができる」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

赤かった皮膚の色が白、黒、灰色に変わり、痛みを感じない場合や、水ぶくれが破れて膿がある、そして周りが赤く腫れて痛い場合、我慢できない痛みが続く場合場合は、皮膚科・形成外科へ

上記のような症状が見られる場合は、やけどに細菌感染を合併したり、やけどが深くへと悪化している可能性があります。このような症状がある場合はすぐに病院を受診してください。
その際は入院治療が必要になる可能性が高いので、入院施設のある総合病院で、皮膚科、形成外科の常勤のいる病院を受診することをおすすめします。

「やけどで水ぶくれができる」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「やけどで水ぶくれができる」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

細菌感染症

やけどに細菌感染症が合併すると、やけどが急に深くなる場合があります。皮下の脂肪組織に感染が広がると蜂窩織炎という病気に、また血中に菌が入ってしまえば菌血症(敗血症)という重篤な病気になる可能性があります。抗生剤で治療します。感染によって壊死した皮膚は外科的な処置、洗浄や軟膏処置が必要になります。
やけどした皮膚の色が真っ黒や白くなった、赤く腫れて痛みが強くなってきたなど急に変化してきた場合、全身の発熱がある場合はすみやかに病院を受診してください。
前述しましたが、入院治療が必要になる可能性が高いので、入院施設のある総合病院で、皮膚科、形成外科の常勤のいる病院を受診することをおすすめします。

ケロイド・瘢痕

水ぶくれができるやけどのうち、特に深達性II度熱傷の深めのやけどでは、ケロイドや瘢痕といって傷跡が盛り上がったりひきつれた状態となることがあります。瘢痕が手足などの関節にできた場合には拘縮して動きが悪くなる(機能障害を起こす)ことがあります。傷跡を目立たなくする治療として塗り薬や傷跡を圧迫する方法があります。ケロイドやひきつれ(瘢痕拘縮)が強い場合には手術が必要となる場合があります。傷跡になってしまった場合は、気がついた時点でよいので病院を受診してください。その際は専門性が高い分野になりますので、皮膚科、形成外科を受診ください。

皮膚がん

深いやけどで瘢痕になった場所に数十年たってから皮膚癌ができる可能性があります。
特に広範囲に瘢痕になった一部がじゅくじゅくして治らない、一部が盛り上がってきた時には皮膚科や形成外科を受診するようにしてください。やけどから数十年後に生じることが多いので、子供の時にうけたひどいやけどで高齢になってから癌ができたという症例が多いです。専門医の診察をうけて、発癌が疑われた場合は組織検査を行った上で、治療を行います。早期に発見すれば切除手術のみで治療できる可能性があります。
皮膚がんの発生は軽いやけどの方に当てはまることではなく、ひどいやけどを経験し、長期に深い傷跡が残っている状態がある方の一部に生じる可能性があります。そのため、極度に怖がる必要はありませんが、傷痕が変化してきたと感じた場合は、気がついた時点で早めに皮膚科、形成外科を受診して相談することを検討してみてください。

「やけどで水ぶくれができる」のはなぜ?原因・仕組み

水ぶくれとは、医学的には「水疱(すいほう)」と呼びますが、熱によって皮膚や粘膜組織が損傷をうけ、組織から滲み出てきた体液やタンパク質などが皮膚の下にたまってできたものです。やけどによる炎症や細菌感染による炎症がおこると水ぶくれが腫れて大きくなる場合があります。その際、内圧が高まると皮膚が耐えきれずに自然に破れることがあります。
やけどで水ぶくれができた際に、冷却で応急処置をした後、水ぶくれが破れていないのであれば、特に何も塗らずに、はやめに病院を受診することをおすすめします。ただ、受診までの間に水ぶくれが破れてしまい、保護するためのガーゼがすれてヒリヒリと痛い場合には市販のワセリン軟膏をガーゼに塗って傷にあててください。摩擦による痛みが緩和されると思います。
また、市販のキズパワーパッドなどの貼り薬は、剥がすときに水ぶくれが破れる可能性があります。また、もし細菌感染があれば傷を密封することで悪化させる可能性があるため、自己判断で使用せず専門医の指導のもと使用してください。 
応急処置では、しっかりと冷やすことが重要になります。逆に温めると炎症が強くなりやけどを悪化させる可能性がありますので、あえて温めるようなことはやめたほうがよいでしょう。応急処置をしても痛みや症状が収まらない場合や赤みや腫れが広がる場合は、やけどの悪化や細菌感染を合併している可能性があるため、すみやかに病院を受診してください。
水ぶくれのできるやけどの場合、早く治すためには、市販薬で様子をみずに、受傷直後にしっかり冷やす応急処置をすることと、早期に病院を受診して適切な治療を開始することが大切です。

「やけどで水ぶくれができる」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「やけどで水ぶくれができる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

手に火傷を負って水ぶくれができたら皮膚科に行くべきでしょうか?

後藤 和哉(ごとう かずや)医師後藤 和哉(ごとう かずや)医師

手のやけどは機能的な後遺症を残す可能性があるので、早目に皮膚科か形成外科を受診ください。

やけどでできた水ぶくれは一般的に、何日で治るのでしょうか?

後藤 和哉(ごとう かずや)医師後藤 和哉(ごとう かずや)医師

やけどが浅い場合は早期に治療を行えば1〜2週間程度で治りますが、深い場合は適切な治療を受けても1か月以上かかり、跡が残るとされています。

火傷をして水ぶくれになったら絆創膏を貼るべきですか?

後藤 和哉(ごとう かずや)医師後藤 和哉(ごとう かずや)医師

剥がす時に水ぶくれが破れることがあるのでおすすめしません。

やけどで口の中に水ぶくれができたら潰したほうが良いですか?

後藤 和哉(ごとう かずや)医師後藤 和哉(ごとう かずや)医師

口の中や唇にできる水ぶくれも、皮膚にできた水ぶくれと同様に、潰すことはおすすめできません。

低温やけどでも水ぶくれができることはありますか?

後藤 和哉(ごとう かずや)医師後藤 和哉(ごとう かずや)医師

低温やけどでも通常のやけどと同じで水ぶくれができることがあります。

まとめ

やけどでできた水ぶくれはすぐに冷やして熱による皮膚損傷を広げないことが大切です。水ぶくれは自己判断で破かないようにしましょう。はじめは浅いと思っていたやけどが数日たって実際には深いやけどであることがわかったり、細菌感染を合併すると急に深くなることがあります。早期に病院を受診して適切な治療をうけることが後遺症予防のためにも重要です。

「やけどで水ぶくれができる」で考えられる病気と特徴

「やけどで水ぶくれ」から医師が考えられる病気は1個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

皮膚科の病気

  • やけど

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各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

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