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「耳のふちが痛い」ことはありませんか?医師が原因・病気を徹底解説!

「耳のふちが痛い」ことはありませんか?医師が原因・病気を徹底解説!

耳のふちが痛いとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

久高 将太 医師

監修医師
久高 将太 医師

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琉球大学医学部卒業。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。2022/5に新内科専門医試験受験予定。

「耳のふちが痛い」症状で考えられる病気と対処法

耳の奥ではなく、耳のふち、外側が痛い時に考えられる病気を解説していきます。

耳のふちがズキズキ痛い症状で考えられる原因と対処法

耳のふち、耳介の痛みがある場合、腫れている場合には、耳介軟骨膜炎(じかいなんこつまくえん)が考えられます。耳の淵は脂肪などがなく、皮膚の下には耳介軟骨があります。耳介軟骨を覆う滑膜に炎症が生じると耳の赤み、痛み、腫れが起こります。外傷性や虫刺されなどが原因になることもありますが、再発性多発軟骨炎という免疫疾患の初期症状であることもあります。症状がある場合には、まずは耳鼻科を受診して診察を受けましょう。再発性・多発性の軟骨炎の場合には自己免疫性疾患を取り扱う総合内科、膠原病内科が治療を行うこともあります。

耳のふちがピリピリ痛い症状で考えられる原因と対処法

耳のふちや周りがピリピリ痛みがあり、水疱ができている場合には帯状疱疹が疑われます。帯状疱疹は小児期にかかった水痘ウイルスが神経に潜伏し、後年それが再活性化することで起こる病気ですが、外耳を支配する神経に帯状疱疹がでてきた場合には、高い確率で顔面神経麻痺を合併(Ramsay Hunt症候群)し、顔の半側の表情筋運動障害が起こります。まれに脳炎などを合併し重症化することがあったり、麻痺が残存する可能性が高くなったりなどの問題点があります。耳の帯状疱疹を疑った場合にはすぐに内科を受診して治療を開始しましょう。

耳のふちが痛く赤い症状で考えられる原因と対処法

耳のふちが赤く痛みがある場合、耳介軟骨膜炎が考えられます。

耳のふちが痛く頭痛がする症状で考えられる原因と対処法

耳のふちが痛く、頭痛を伴う場合には乳様突起炎が疑われます。乳様突起とは耳の後ろにある側頭骨の突起で、中耳炎が悪化すると骨の中にまで炎症が波及して耳周り、耳のふちの痛み、腫れ、全体の痛み(頭痛)が出てくることがあります。耳垂れを伴うこともあります。細菌感染の場合には抗菌薬治療が必要になりますので、疑った場合には耳鼻科を受診しましょう。

耳だれがあって耳のふちが痛い症状で考えられる原因と対処法

耳だれがあって耳のふちが痛い場合には、急性乳様突起炎や耳瘻孔感染の可能性があります。耳だれがでる場合には細菌感染などで膿が溜まっており、それが出てきていると考えられるため、すぐに耳鼻科を受診して抗菌薬治療などを行いましょう。

すぐに病院へ行くべき「耳のふちが痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

耳介に水疱がある場合は、内科、耳鼻科、脳神経外科へ

耳介に水疱があって、痛みや赤みがある場合には、帯状疱疹が疑われます。耳周囲に広がる帯状疱疹はラムゼイハント症候群という顔面神経麻痺、難聴・めまいなどの脳神経症状を合併する病気の可能性があります。自然治癒率も低く、治療を行なっても麻痺が60%残ると言われており、緊急性が高い病気です。早期診断し治療を開始する必要があるため、内科や耳鼻科、脳神経外科などがそろった総合内科を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「耳のふちが痛い」ときのセルフチェック法

  • ・耳のふちが痛い以外に水疱がある場合
  • ・耳のふちが痛い以外に顔の麻痺の症状がある場合
  • ・耳のふちが痛い以外に難聴、めまいの神経症状がある場合

「耳のふちが痛い」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「耳のふちが痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

耳介軟骨膜炎

耳介の軟骨を包む骨膜に炎症を起こす病気です。ぶつける、虫刺されなどの外傷性に起こることもありますが、耳介軟骨膜を含め、鼻軟骨、眼球(結膜炎や胸膜炎など)、皮膚の炎症による腫れ、痛みなど多発性の軟骨炎を起こす難病である再発性多発軟骨炎の初期症状の可能性もあります。炎症が起こると軟骨は徐々に変形し、気道軟骨炎の場合には気道狭窄や閉塞を起こす可能性があります。日本全国で400-500人程度と少なく、原因も未だ不明です。

耳ろう孔感染

耳瘻孔という先天的に耳の生え際の小さな穴に感染を起こしたものです。耳瘻孔の見た目は小さな穴で、東洋人の3-10%程度に起こるとされています。家族内での発生や遺伝的傾向があるといわれていますが、はっきりした原因はわかっていません。
耳瘻孔が感染した場合には、抗菌薬で治療や膿が溜まっている場合には切開術を行うこともあります。感染を繰り返す場合には、耳瘻孔を閉鎖する摘出術を行うこともあります。

乳様突起炎

​​乳様突起とは耳の後ろにある側頭骨の突起で、中耳炎が悪化すると骨の中にまで炎症が波及して耳周り、耳のふちの痛み、腫れと耳垂れを伴うことが多い感染症です。中耳炎の起こりやすい子供や、成人でも中耳炎を放置して慢性化した場合などに起こります。

耳性帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)

耳道、耳介に帯状疱疹を伴う顔面神経麻痺をラムゼイハント症候群といいます。顔面神経麻痺から始まる場合や、耳痛・耳の赤み、水疱形成が先行する場合、難聴やめまいが先行する例など発症様式がさまざまで、脳外科、耳鼻科、皮膚科、内科などに受診することが多いが、適切な診断と早期治療を行う必要があります。治療を行なった場合でも、麻痺症状が残る確率が高い予後不良の病気です。

「耳のふちが痛い」ときの正しい対処法は?

耳のふちが痛い病気にはいくつかありますが、基本的には自然に症状が改善するものは少ないため、耳鼻科、皮膚科、総合内科など、症状に応じて早期に病院を受診する必要があります。赤みや痛みが強く受診までに少しでも炎症を落ち着けたい場合には、冷やすことが有効なこともありますが、基本的には原因検索と感染症などの場合には抗菌薬治療が必要になります。特にラムゼイハント症候群の場合には、セルフケアで経過をみることは非常に危険であり、症状からラムゼイハント症候群が疑われる場合にはすぐに病院を受診しましょう。

「耳のふちが痛い」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「耳のふちが痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

耳のふちが痛いのですが何科に行けばいいですか?

久高 将太 医師久高 将太 医師

他の症状がなく、耳のふちが痛いだけであれば耳鼻科でよいかと思います。

耳のふちが痛いのを放置するとどうなりますか?

久高 将太 医師久高 将太 医師

ラムゼイハント症候群であった場合には、顔面神経麻痺が残る可能性が高くなります。細菌感染の場合には、症状が悪化するリスクがあります。

ストレスが原因で耳のふちが痛くなることはありますか?

久高 将太 医師久高 将太 医師

基本的にはストレス以外の原因を考えますが、診察や検査をしてストレス以外に原因がない場合には、ストレス性と診断されることもあるかもしれません。

まとめ

耳のふちに痛みがでる病気を解説しました。細菌感染によるものや、ラムゼイハント症候群など一部予後不良の病気があるため、症状がある場合には病院を受診して診察を受けましょう。

「耳のふちが痛い」症状で考えられる病気

「耳のふちが痛い」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

  • ラムゼイハント症候群

耳鼻科の病気

  • 乳様突起炎
  • 耳瘻孔感染

その他の病気

  • 耳介軟骨膜炎
  • 再発性多発軟骨炎

感染症の可能性が高いと考えられるため、早めに受診することが勧められます。

「耳のふちが痛い」に似ている症状・関連する症状

「耳のふちが痛い」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。

「耳のふちが痛い」症状の他にこれらの症状がある場合でも「ラムゼイハント症候群」「乳様突起炎」「耳瘻孔感染」「耳介軟骨膜炎」「再発性多発軟骨炎」などの疾患の可能性が考えられます。
症状がなかなか改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師