「両膝が痛い」症状がどのくらい続いたら受診した方が良い?原因も医師が解説!

両膝が痛いを治すには?メディカルドック監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
斉藤 究(さいとう整形外科リウマチ科)
国立国際医療センター内科研修医、東京災害医療センター救命救急センターレジデントを経て刈谷総合病院整形外科で外傷治療、一般整形外科治療、名古屋医療センターでは整形外科骨折治療と人工関節手術、関節リウマチ、救急外傷診療、災害医療などに従事。2011年より現職。現在は運動器エコーとハイドロリリース、リハビリを駆使してリウマチと痛みの治療に取り組んでいる。
【資格】
日本整形外科学会 専門医,日本リウマチ学会 専門医
目次 -INDEX-
「両膝が痛い」症状で考えられる病気と対処法
両膝が痛いという症状からは、さまざまな病気が考えられます。今回の記事では、考えられる病気や対処法について解説します。気になる症状がある場合には、整形外科をはじめとする病院を受診するようにしましょう。
中高生で両膝が痛い症状で考えられる原因と対処法
中学生や高校生といった10代の方で両膝が痛い原因としては、オスグット・シュラッター病という膝下のスネが痛くなる病気があります。オスグッド・シュラッター病は、主に成長期の子供や青少年、特に10歳から15歳の活発な子供に多く見られます。この病気は膝の前面、特に膝蓋骨(しつがいこつ:膝のお皿)の下部にある脛骨粗面という部位に痛みと腫れが生じるのが特徴です。原因は、成長期の骨の成長速度に筋肉や腱が追いつかないこととも言われます。特にスポーツや激しい運動を行う子供に多く見られる病気で、太ももやふくらはぎの筋肉が疲労したまま使い続けることで脛骨粗面に負担がかかることも原因です。
オスグッド・シュラッター病は成長期が終わると自然に治るとされますが、痛ければ成長期が終わるまで待つこともできませんので、治療を行うことになります。治療は太ももやふくらはぎの筋肉疲労を適切に改善することで脛骨粗面にかかる負担を軽減することが有効です。
個人でできる対応としては、膝下のスネ(脛骨粗面)に痛みが出たら過度なトレーニングは控えましょう。
脛骨粗面を押して痛ければオスグッドの可能性がありますから、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)のマッサージや痛みの出ない範囲でのストレッチを行います。市販の痛み止め(NSAIDs)や湿布を使用することで痛みと炎症を軽減することができますが、根本的な改善には至りません。筋肉が硬く疲労したまま使い続ければ、患部の状態は悪化させることになります。オスグッド用の膝のサポーターやテーピングを使用することで、膝にかかる負担を軽減し、痛みを和らげることもできます。しかし、痛みが長引く場合や日常生活に支障をきたす場合は、整形外科を受診することが推奨されます。医師の診断を受け、適切な治療方針を立ててもらうことが重要です。
20代で両膝が痛い症状で考えられる原因と対処法
20代では、スポーツや過度の運動による膝の負担が痛みの原因としては考えられます。例えば原因としては、腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)や膝蓋腱炎、靭帯損傷などがあります。
膝の使いすぎによる痛みが出ている場合、まずはトレーニングレベルを落とすことが基本です。使いすぎた筋肉をマッサージやストレッチでほぐし、痛みの様子を見ながら緩やかにトレーニングレベルをあげていきましょう。
痛みが長引く場合は、整形外科専門医の診察を受けることが重要です。
30代で両膝が痛い症状で考えられる原因と対処法
30代の方で両膝が痛くなる原因としては、20代の方と同様にスポーツによる膝の障害があります。また、痛風や、頻度は低くなりますが変形性膝関節症の可能性もあります。
痛風は尿酸の結晶が関節に沈着することで起こる関節の炎症です。一般的には足の親指に起こることが多いですが、膝や足首など他の関節にも痛みが現れることがあります。両側に同時に発生することは稀です。痛みは突然発生し、強い痛みと腫れ、熱感、発赤が見られます。痛風発作が疑われる時は、膝が腫れる他の病気を鑑別するために整形外科を受診しましょう。膝の超音波検査や関節液検査、採血を行い、痛風であることを診断します。痛風と診断がついたら痛みを和らげるためにNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用します。発作を予防するためには、プリン体の多い食品(内臓、アルコール、特にビール)を控え、適度な運動と体重管理を行うことが有効です。
変形性膝関節症は中高年の方に起こることが多いとされています。しかし、高度の肥満や膝関節の骨折や外傷の既往、膝関節に負荷をかける職業や活動をしているという場合には30代でも発生することがあります。
変形性膝関節症の対処法には、体重管理とともに膝を伸ばして力を入れる大腿四頭筋訓練が一般的に推奨されます。しかし、レントゲンで変形が見られても、変形自体は痛みの原因となっていないこともあります。膝の周りの筋肉疲労がたまっていれば、それを揉んだりストレッチしてほぐしたりすることも痛みの改善に効果的です。重力の影響が軽減できる水中運動や筋力強化エクササイズも効果的です。痛みがひどい場合は、NSAIDsやその他の鎮痛剤の使用も有効です。膝のサポーターやインソールを使用して変形部位への負担を軽減することも勧められます。
膝の痛みが日常生活に支障をきたす場合や、痛みが長期間続く場合は変形以外の痛みの原因を鑑別するためにも整形外科を受診することをお勧めします。
急に両膝が痛い症状で考えられる原因と対処法
急に両膝が痛くなる症状で考えられる原因としてはスポーツや外傷によって膝の靭帯が損傷してしまうこと、膝の感染性関節炎などの可能性が考えられます。
膝の靭帯損傷は一般的には片膝で起こりますが、高エネルギー外傷では両側に起こることもあります。内側側副靭帯損傷、前十字靭帯損傷や後十字靭帯損傷など、受傷機転により損傷部位が変わります。
膝の関節性関節炎は、本来は無菌であるはずの膝の関節の中に細菌やウイルスが入り込んでしまうことで起こります。特に、黄色ブドウ球菌などの細菌が関節の中に入り込むことで起こる細菌性関節炎(急性化膿性関節炎)は、関節の破壊や機能障害が残る危険性が高いので、早急に対応しなければなりません。
両側に発生することは稀で、両側に起こる場合にはステロイドの使用や免疫力の弱くなる疾患、感染性心内膜炎などを併発していることが考えられます。関節リウマチや関節症性乾癬、脊椎関節炎などの免疫による関節炎では、両側の膝以外にも、多関節に同時に関節炎が起こることがあります。
膝が腫れて痛みがある場合には、怖い病気を鑑別するためにも整形外科を早めに受診することが大切です。
成長痛で両膝が痛い症状で考えられる原因と対処法
成長痛は、3〜12歳の前後の小児にみられる、炎症を伴わない痛みです。痛みは特に夜間に痛みが悪化することが多いです。成長痛は太ももやスネなどにみられることが多く、他の病気を鑑別した上で原因がわからない場合には成長痛と言われることがあります。
骨の成長に筋肉の成長が追いつかないから、と説明されることもありますが、実際の原因はわかっていません。筋肉を触ると張りが見られ、押さえると痛みがあることもあり、痛い場所のマッサージが効果的なことがあります。
痛みがある場合には整形外科を受診して痛みの原因を調べ、怖い病気でなければ湿布やマッサージをして対処しましょう。
すぐに病院へ行くべき「両膝が痛い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
高熱を伴う膝の痛み症状がある症状の場合は、整形外科や内科へ
膝が腫れて痛い場合、熱を持っている場合、体重をかけると痛い場合、膝以外にも痛みのある関節がある場合には感染やリウマチ、重度外傷が考えられるため、速やかに整形外科を受診しましょう。
受診・予防の目安となる「両膝が痛い」ときのセルフチェック法
・痛みが1週間以上続く症状がある場合
・他の関節にも痛みが広がる症状がある場合
・日常生活に支障をきたす症状がある場合
「両膝が痛い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「両膝が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
変形性膝関節症
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が摩耗し、骨と骨が直接擦れ合うことで痛みや腫れが生じる病気です。主な原因は、加齢、過度の運動、肥満、遺伝的要因などが挙げられます。関節の酷使や負荷が増えることで、軟骨が徐々に摩耗(まもう)し、症状が進行します。
初期段階では、体重管理や適度な運動、特に水中運動やストレッチ、筋力強化エクササイズが効果的です。痛みがひどい場合は、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)や鎮痛剤の使用が推奨されます。膝のサポーターやクッションを使用して負担を軽減することも役立ちます。進行した場合は、ヒアルロン酸注射や手術(関節鏡手術、人工膝関節置換術)が検討されることがあります。
レントゲンで変形が見られても痛みの原因は変形であるとは限りませんので、膝の周囲の組織に痛みの原因がないか診察を行うことも大切です。
膝の痛みが日常生活に支障をきたす場合や、痛みが続く場合は、整形外科を早めに受診して適切な診断と治療を受けることをお勧めします。
腸脛靭帯炎
腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)は、膝の外側にある腸脛靭帯が炎症を起こし、痛みを生じる病気です。特にランニングやサイクリングなどの膝を繰り返し使う運動を行う人に多く見られます。発症の原因は、過度の運動、膝の酷使、不適切なランニングフォームなどが考えられ、腸脛靭帯にストレスをかける外側広筋や大腿筋膜張筋などの疲労も原因になります。
初期段階では、運動レベルを下げて安静にし、痛みがひどい場合は、整形外科を受診して膝の痛みの原因を鑑別した上で湿布やNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用します。リハビリやストレッチを行い、腸脛靭帯や周辺の筋肉を柔軟に保つことも重要です。整形外科では、理学療法士が在籍していれば徒手療法で治療したりセルフエクササイズを教えてもらったりすることもできます。
膝蓋腱炎
膝蓋腱炎(しつがいけんえん)は、膝蓋骨(膝のお皿)と脛骨を結ぶ膝蓋腱が炎症を起こし、痛みを生じる病気です。特にジャンプやランニングなどの動作を繰り返すスポーツ選手に多く見られることから、「ジャンパーズ・ニー」とも呼ばれます。発症の原因は、過度の運動や膝への負担、筋力の不均衡などが挙げられます。
初期段階では、運動を控えて膝を休ませることが重要です。発症すぐの段階では膝を冷やしたり、湿布をしたりすることも有効であり、炎症と痛みを軽減します。NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は急性期の痛みを鎮めてくれます。また、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)やふくらはぎのマッサージやストレッチは非常に重要です。運動強度に比べて膝の筋肉がついていかなかったことも原因となるため、痛みがひいてからは筋トレや正しい運動フォームを身につけることも重要です。
痛みが長引く場合や、日常生活に支障をきたす場合は整形外科を受診することが必要です。
膝蓋骨不安定症
膝蓋骨不安定症(しつがいこつふあんていしょう)は、膝蓋骨(膝のお皿)が正常な位置からずれてしまう状態を指します。これにより、膝関節の動きが不安定になり、痛みや腫れ、膝蓋骨の脱臼を引き起こすことがあります。発症の原因としては、膝の外傷や靭帯の弱さ、膝関節の構造的な異常が考えられます。
軽度の場合は、リハビリテーションを通じて膝周りの筋肉を強化し、膝蓋骨の安定性を高めることが有効です。サポーターやテーピングを使って膝をサポートすることも役立ちます。痛みがひどい場合は、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用して症状を緩和します。重度の場合や改善が見られない場合は、手術が検討されることもあります。
膝の不安定感や痛みが続く場合、日常生活に支障をきたす場合は整形外科を受診することが推奨されます。特に、膝蓋骨の脱臼を繰り返す場合には手術も検討されます。
鵞足炎
鵞足炎は、膝の内側にある鵞足(がそく)と呼ばれる部位に炎症が起こり、痛みを感じる状態です。鵞足は、膝の内側にある三つの腱が集まっている部分で、特にランニングやウォーキングなどの運動を行う人に多く見られます。発症の原因としては、膝への過度の負荷、筋力の不均衡、姿勢の悪さなどが挙げられます。
鵞足炎の対処法としては、まず運動の強度を下げ、膝を休ませることが重要です。発症急性期には膝を冷やすことで炎症と痛みを軽減します。また、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の使用も効果的です。さらに、太ももの内側から裏側の筋肉をマッサージしたりストレッチしたりしてほぐすことが推奨されます。
痛みが長引く場合や、日常生活に支障をきたす場合は整形外科を受診してください。リハビリでは鵞足に係る負担を軽減するように筋肉のバランスを控え、正しい運動フォームを指導してくれます。膝への負担を軽減することも重要です。
「両膝が痛い」の正しい対処法は?
一般的には両膝が同時に痛くなることは多くはありません。過度な使用(OVERUSE)や両側の変形性膝関節症、関節リウマチなどが比較的頻度の高い原因として考えられます。
軽度の痛みの場合、膝を冷やすことで炎症を抑え、痛みを和らげることができます。冷やしすぎないように1回につき5〜20分程度とします。痛くなったら1日に数回冷やします。湿布や冷却スプレーは、一時的な痛みの緩和には有効です。慢性的な痛みや筋肉のこわばりがある場合は、筋肉を温めることで血行を促進し、痛みを和らげることができます。
応急処置をしても痛みが収まらない場合は、整形外科を受診してください。
中度から重度の痛みがある場合は、怖い疾患を鑑別することが大切です。自己判断で市販の痛み止め(NSAIDs)を使用するのではなく、医師と相談するようにしましょう。
「両膝が痛い」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「両膝が痛い」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
両膝が痛いのは何の病気ですか?
斉藤 究(医師)
両膝の痛みは、変形性膝関節症、関節リウマチ、両側下肢の筋疲労、膝蓋腱炎、腸脛靭帯炎、鵞足炎などが多く、頻度は減りますが化膿性関節炎、痛風なども原因となります。
両膝が痛い時、どのくらい経てば病院へ行くべきですか?
斉藤 究(医師)
湿布や安静にもかかわらず痛みが2-3日以上続く場合や、日常生活に支障をきたす場合、腫れや熱感がある場合は、早めに病院を受診してください。
両膝が痛む原因はどんな種類が考えられますか?
斉藤 究(医師)
両膝の痛みの原因には、筋肉のメンテナンスが足りないことや筋肉の使い過ぎによるOVERUSE、外傷、炎症、感染、免疫の病気、腫瘍、骨壊死などがあります。
両膝に炎症が起こる病気は何でしょうか?
斉藤 究(医師)
両膝に炎症が起こる病気には、関節リウマチや脊椎関節炎、関節症性乾癬などがあります。変形性膝関節症、痛風、腸脛靭帯炎、膝蓋腱炎なども炎症と捉えられていますが、痛みの原因に炎症が本当に起こっている場合もそうでないこともあります。インターネットの情報だけに頼らず、整形外科専門医の診察を受け、怖い病気を適切に鑑別することが必要です。
まとめ 両膝が痛い症状が気になるときは整形外科を受診
両膝の痛みには、成長痛やオスグッド・シュラッター病、腸脛靭帯炎、変形性膝関節症、痛風など、さまざまな原因があります。痛みが続く場合や、日常生活に支障をきたす場合は、整形外科を受診することが重要です。適切な診断と治療を受けることで、症状の進行を防ぎ、痛みを軽減することができます。特に急な痛みや腫れ、高熱を伴う場合は早急な受診が必要です。自己判断せず、専門医の助言を求めましょう。
「両膝が痛い」症状で考えられる病気
「両膝が痛い」から医師が考えられる病気は16個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
筋骨格系の病気
- 靭帯損傷
- 変形性膝関節症
- 腸脛靭帯炎
- 鵞足炎
- 膝蓋腱炎
- オスグッド・シュラッター病
- 大腿骨頭壊死
免疫系の病気
- 関節リウマチ
- 関節症性乾癬(乾癬性関節炎)
- 脊椎関節炎
- 強直性脊椎炎
感染症の病気
- 急性化膿性関節炎
- 結核性関節炎
- 骨髄炎
筋骨格系の問題は、両膝の痛みの主な原因です。これらの疾患は、過度の運動や姿勢の悪さ、筋力の不均衡によって引き起こされることが多いです。痛みが続く場合や生活に支障をきたす場合には、早めに整形外科専門医を受診しましょう。
「両膝が痛い」に似ている症状・関連する症状
「両膝が痛い」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 膝の違和感
- 膝の腫れ
- 膝を曲げられない
- 膝の脱力感
- 他の関節の痛み
- 他の関節の腫れ
- 発熱
両膝の痛みがある際には、上記のような症状が伴う場合があります。また、痛風やリウマチでは他の関節の痛みや腫れを伴う場合もあります。発熱を伴う際には、化膿性関節炎の可能性もあります。