「指の第一関節が痛い」原因とは?何科を受診するべきかも併せて医師が解説!
指の第一関節が痛いとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
柏木 悠吾(医師)
「指の第一関節が痛い」症状で考えられる病気と対処法
指の第一関節痛は、多くの人々が日常生活で遭遇する一般的な問題であり、特に高齢者の間ではよくみられます。痛みの原因や対処法について判断が難しいことが多いのですが、正しい情報を得ることで痛みの管理や適切な治療法を見つけることが容易になります。
指の第一関節が痛く腫れている症状で考えられる原因と対処法
関節に硬い結節が現れ、痛みや腫れが伴う場合、ヘバーデン結節が疑われます。ヘバーデン結節は、変形性関節症の一種であり、年齢(40歳以降の女性に多く発生)や関節への過度な負担などが原因で発生することが考えられます。対処法としては、痛みがある場合は、痛み止めの内服や、局所のテーピングで第一関節の安静を図ります。ヘバーデン結節の治療を受ける際には、整形外科やリウマチ科が適切な診療科となります。受診時には、結節の出現時期や症状の変化、既往歴などを医師に伝えることが重要です。痛みが激しく、関節の機能が著しく制限される場合は、速やかに受診が必要です。
指の第二関節が痛い場合
指の第2関節が痛い場合、ブシャール結節やばね指などが疑われます。
ブシャール結節は、さきほどのヘバーデン結節と同じ現象が第2関節で起きるものです。指の関節の軟骨の摩耗が起こり(変形性関節症)、それにより腫れや痛みが起こってきます。治療については、ヘバーデン結節と大まかには同じだと考えてもらって構いません。
ばね指は、指の曲げ伸ばしの際の動きの悪さや動かす際の痛みが起こることが多いです。いわゆる腱鞘炎の末期の状態を指し、症状が進むと、折り曲げた指を自力で伸ばせず、もう片方の手で伸ばそうとすると、突然カクンと伸びる「ばね現象」が起こってきます。
更年期や妊娠・出産後の女性に多く、女性ホルモンの関与が考えられています。
治療は、まずは安静が重要です。自力での安静のみで改善せず、炎症止めの内服や、装具での安静、患部への注射を行い、それでも改善が見られない場合は手術を行うことがあります。早期に治療を始めることで、末期に至らせないことが可能な場合もありますので、早めに整形外科にご相談ください。
指の第一関節を押すと痛い症状で考えられる主な原因と対処法
指の第一関節を押すと痛いとき、まず考えられるのは骨折や打撲など外傷によるものです。どこかでぶつけた、挟んだなど、外傷がある場合や、腫れがある場合には注意が必要です。特に子どもの場合は、状況や症状の訴えがうまくできず、保護者が見ていないところで実はぶつけてしまって痛みが出ているということも多々あります。
第一関節を押すと痛い、腫れている、自力で動かすことができないなどの症状がある場合には、まず安静、アイシングをし、それでも症状が改善しない場合には整形外科を受診することをおすすめします。
指の第一関節が一本だけ痛い症状で考えられる原因と対処法
他の指には症状がなく、特定の指の第一関節のみに痛みなどの症状がある場合、化膿性指関節炎を疑います。主な原因は細菌感染で、様々な細菌が関与しています。特に、黄色ブドウ球菌が関与していることが多いです。細菌は、皮膚の傷口など外傷を経由して関節内に侵入し、感染を引き起こします。すぐにできる対処法は、患部を清潔に保ち、冷却することによって腫脹の軽減を図ることです。ただし、自己診断や自己治療は避けるべきであり、専門家の診断と治療が必要です。化膿性指関節炎の治療には、整形外科が適切な診療科です。受診時には、症状の始まりや進行、外傷の有無などを伝えることが重要です。化膿性指関節炎は、感染が広がる可能性があるため、速やかに受診し、抗生物質治療や関節洗浄などの適切な治療を受けることが必要です。症状が悪化すると、関節機能の損失や敗血症のリスクが高まるため、早期治療が重要です。
すぐに病院へ行くべき「指の第一関節が痛い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
ぶつけていないのに関節が痛い、腫れが気になる場合は、リウマチ科・整形外科へ
指の第一関節痛には、何かにぶつけた、刃物で切ったなどの外傷によるものと、誘因のないものとの2つの原因があります。
外傷の場合、骨折、靭帯損傷、神経損傷などが考えられるため整形外科を受診し、外科的処置を検討することをお勧めします。傷がない場合には腫れを抑える目的で冷却しましょう。傷があって汚れている場合は、水道水で手早く洗浄し、清潔なガーゼで保護しましょう。
一方で、誘因のない痛みがある場合は、リウマチ、ヘバーデン結節、感染症などが考えられます。この場合は、リウマチ科または整形外科(リウマチ専門医がいると理想的)に受診してください。痛みが出現した時期、痛みの程度、関節の位置などを医師に伝えることが重要です。
受診・予防の目安となる「指の第一関節が痛い」ときのセルフチェック法
- ・指の第一関節が痛い以外に痛みの範囲が時間とともに広がっている場合
- ・指の第一関節が痛い以外に患部に熱を持っている場合
- ・指の第一関節が痛い以外に腫れや赤みがある場合
- ・指の第一関節が痛い以外に指を動かしづらい場合
「指の第一関節が痛い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「指の第一関節が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
へバーデン結節
へバーデン結節は、指の第一関節(主に手の中指と薬指)に生じる硬いしこりで、変形性関節症の一種です。原因は遺伝的要素や年齢、長年の関節への負担などが関与しています。対処法として、関節の動きを維持し痛みを軽減するための手指のストレッチや温熱療法が効果的です。市販の鎮痛剤も痛みを緩和するのに役立ちますが、痛みが続く場合は医師に相談してください。治療法には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やコルチコステロイドの局所注射があります。症状が重度で関節の機能が大幅に低下している場合、手術が適切な治療法となることがあります。病院へ行くべき目安は、痛みが日常生活に影響を与えるほど強い場合、関節の機能が制限されている場合、または結節が急速に大きくなる場合です。受診すべき科は、整形外科やリウマチ科です。彼らは関節の症状や疾患に対する専門的な知識と治療法を持っています。
関節リウマチ
関節リウマチは免疫異常による関節痛・腫れが特徴の病気で、原因は遺伝的要因や環境要因が関与しています。主な症状は関節の痛み、腫れ、こわばりで、血液検査や画像検査で診断されます。治療には抗リウマチ薬やステロイド、痛み止めが用いられ、生物学的製剤なども利用されます。朝のこわばりや、手指のいくつもの関節の疼痛などがあればリウマチ科に受診しましょう。症状が落ち着いたら適度な運動やリハビリで関節機能を維持し、感染症や喫煙、歯周病に注意が必要です。妊娠や症状の変化については医師に相談しましょう。
乾癬性関節炎
乾癬性関節炎は、乾癬と関連する炎症性疾患で、関節や腱付着部、指に痛みが生じることが特徴です。原因は不明で、30~50歳代に多く見られます。症状は末梢関節炎、腱付着部炎、指趾炎、脊椎関節炎、爪病変などがあります。特異的な検査はなく、診断は皮膚症状と画像検査により行われます。治療は病気の活動性を抑え、日常生活の質を向上させることを目指します。NSAIDsや抗リウマチ薬、生物学的製剤が用いられることがあります。生活上の注意点として、食事や運動が重要です。関節痛や皮膚症状がある場合は、リウマチ専門医に相談してください。
突き指
どこかでぶつけた、スポーツ中に指がボールや人とぶつかった、などいわゆる突き指で、指の第1関節が痛くなり、病院を受診される方もたくさんいらっしゃいます。
突き指で痛くて指が動かせない、腫れているなどの症状がある場合は骨折が隠れていることもあるため、少しでも気になる場合は整形外科を受診することをおすすめします。
怪我をした直後は、患部を冷やして、できる限り安静にし、痛みがひどい場合やすぐに腫れてくる場合はすぐに病院を受診しましょう。
「指の第一関節が痛い」ときの正しい対処法は?
指の第一関節が痛い場合、その症状を落ち着かせるには、まずは関節を安静に保ち、痛みが引くまで患部を動かさないようにしましょう。また、患部を冷やすことで炎症や痛みを抑えることができます。
急性の痛みがある場合は、冷やすことで痛みを軽減します。慢性的な痛みの場合は、温めることで血流が改善し、痛みが和らぎます。ただし、温めすぎると痛みが増す場合があるため、適度な温度で行いましょう。
湿布や貼り薬は、消炎鎮痛成分が配合されており、痛みや腫れを緩和できます。冷却スプレーは、急性の痛みに効果的です。ただし、長時間の使用や過剰な使用は避けましょう。
症状が改善するツボとしては、手のひら側の指の付け根にある「合谷」というツボを刺激すると、痛みが和らぐことがあります。また、指関節周りの筋肉を優しくマッサージすることで血流が改善し、痛みが緩和されることがあります。
症状が改善しない場合や、痛みが悪化する場合は、速やかに医師に相談してください。適切な診断と治療が必要です。
「指の第一関節が痛い」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「指の第一関節が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
指の第一関節が痛いのですが何科に行けばいいですか?
柏木 悠吾 医師
まずはリウマチ科に相談するのが良いと思います。または、整形外科でご相談ください。
更年期が原因で指の第一関節が痛くなることはありますか?
柏木 悠吾 医師
更年期が原因で指の第一関節が痛くなることは一般的ではありませんが、更年期にはホルモンバランスの変化が起こり、関節痛が生じることがあります。特に女性では、エストロゲンという女性ホルモンが減少し、関節の潤滑や炎症を抑制する作用が低下するため、関節痛が現れることがあります。
指を曲げると第一関節が痛いのはリウマチなのでしょうか?
柏木 悠吾 医師
指を曲げると第一関節が痛いだけでは、リウマチと断定できません。関節痛の原因は様々で、リウマチ以外にもヘバーデン結節や感染なども考えられます。
指の第一関節が痛いときはテーピングをしても問題ないですか?
柏木 悠吾 医師
ヘバーデン結節にはテーピングは有効と言われています。第一関節の上から何周か巻くことで関節の動きを緩やかに固定することで安静を保ち、除痛につながるとされています。
へバーデン結節とブシャール結節の違いは何ですか?
柏木 悠吾 医師
ヘバーデン結節、ブシャール結節はともに指に生じる変形性関節症です。
ヘバーデン結節は第一関節(正式にはDIP関節)、ブシャール結節は第二関節(PIP関節)で生じた変形性関節症を指します。
どちらも変形が進むと、関節がこぶのように膨らんで目立つようになります。
変形の進行した状態からもとに戻すことは基本的に難しく、痛みを抑えるための内服薬や安静用の装具など、対症的な治療がメインになります。症状がひどい場合には注射や手術なども検討されます。
また、女性の場合は閉経後や妊娠・出産後の女性ホルモンの変化により症状が悪化することもあり、女性ホルモンを補充するサプリメントの使用で症状が楽になる場合もあります。こちらは医療用のサプリメントですので、整形外科や産婦人科で相談されて購入することをおすすめします。
まとめ
指の第一関節の痛みには色々な疾患の可能性があります。痛みが少ないからといってほったらかしにするのではなく、専門医療機関に相談することが大事かと思います。特にリウマチは治療法も良くなってきており、早期に治療を始めることで、関節の破壊を防ぎ、将来的に手術などになるリスクも回避できることもあるので、是非受診をおすすめします。
「指の第一関節が痛い」で考えられる病気と特徴
「指の第一関節が痛い」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
痛みが少なくても、長期間にわたって症状が続いている場合には、一度受診して相談することも考慮しましょう。
「指の第一関節が痛い」と関連のある症状
「指の第一関節が痛い」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
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「指の第一関節が痛い」症状の他にこれらの症状がある場合でも「へバーデン結節」「化膿性指関節炎」「関節リウマチ」「乾癬性関節炎」などの疾患の可能性が考えられます。痛みの範囲が時間とともに広がる場合や、患部に熱を持っている場合、傷をきっかけに痛みや腫れが出てきた場合には、早めに医療機関を受診しましょう。