手首が痛い場合は整形外科へ！考えられる病気や原因を徹底解説

手首が痛むとき、原因は何か心配になりますよね。ここではMedicalDoc監修医が手首が痛い症状で考えられる病気や対処法・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状が続く場合は、迷わず病院を受診してください。

監修医師：
村上 友太 医師（東京予防クリニック）

「手首の痛み」で考えられる病気と対処法

手首（手関節）は日常生活でよく使う部位で、さまざまな動きを可能にするために複雑な構造をしています。手首が痛む原因は、ケガによるものをすぐに思いつくのではないかと思いますが、他にもいろいろと考えられます。今回は、そんな手首が痛い症状で考えられる病気やその対処法を紹介していきます。

手首が痛くて腫れている症状の原因と治し方

手首が痛くて腫れている、転んで手をついてから痛いなどの症状を指します。
このような場合、橈骨遠位端骨折などが疑われます。骨密度の低下した中高年者が、転倒して手をつくことで発症します。

橈骨遠位端骨折（とうこつえんいたんこっせつ）

橈骨の手首側が骨折するため関節部分が腫れ、痛みで動かせなくなります。骨折の程度が軽いと腫れは少ないのですが、痛みはなかなか治りません。
レントゲンで診断がつき、程度によってギプス固定や手術など治療方針が分かれます。なるべく動かさないようにして、早めに整形外科を受診してください。

手首が痛いが腫れはない症状の原因と治し方

手首を動かすと痛みを感じるけれども、腫れはない症状のことを指します。このような場合、腱鞘炎などが疑われます。

腱鞘炎（けんしょうえん）

腱鞘炎とは、骨と筋肉をつないでいる腱と腱を包む腱鞘に摩擦が生じることによって炎症が生じる病気のことです。
普段からよく使う部位が、それだけよく摩擦が起きるため腱鞘炎になりやすい部位になります。腱鞘炎は、痛みはあっても腫れはすくないことが一般的です。
仕事でパソコンをよく使う、ピアノやキーボードをよく使う、携帯をよく見るなどで同じ動作を繰り返すことで腱鞘炎になります。
基本的な治療は、痛みがでる動作を控えて安静にする、鎮痛剤や湿布を使うなどです。症状が強い場合には、炎症を抑えるステロイドを注射するという治療などが検討されます。整形外科を受診し相談してみて下さい。

体重をかけたり手をつくと手首が痛い症状の原因と治し方

体重をかけたり手をついたりすると手首が痛い、特にスポーツ中に手をついて受傷した（傷を負った）などの場合に考えられる病気としては、舟状骨骨折などがあります。

舟状骨骨折（しゅうじょうこつこっせつ）

舟状骨骨折とは、主にサッカーなどをプレー中に後ろ向きに転んで手をついたときに発症し、手の関節を構成する舟状骨と呼ばれる骨に骨折が生じたものです。
舟状骨骨折は、これまで転倒したことがあるというエピソードや、手首親指の付け根あたりを押すことで痛みがでた場合に疑います。
診断のためにレントゲン検査をしますが、受傷直後は骨折が明らかでなく捻挫といわれることも少なくありません。転倒後に手首の痛みが続く場合は、早めに整形外科を受診しましょう。

手首を反らせると痛い･手首を捻ると痛い症状の原因と治し方

手首を反らせたり捻ったりすると痛みが生じる場合に考えられる病気には、手関節の捻挫などがあります。

手関節の捻挫

主に、転倒し手をついた時、強くひねった時、テニスなどのスポーツで手関節に大きな力が加わったときなどに発症します。大きな力が関節に加わると、関節を支えている靱帯や軟骨・関節包などの組織が損傷するためです。
捻挫の可能性が考えられる場合は、すぐにRICEと呼ばれる応急処置を行いましょう。Rest（安静）、Ice（冷却）、Compression（圧迫）、Elevation（挙上）の頭文字をとったものですが、この応急処置で増悪（悪化）が防げます。
重症度により治療法は変わりますが、基本的には保存療法で治療します。重症の場合はギプスで患部を固定することも必要ですので、早めに整形外科を受診しましょう。

手首の小指側が痛い症状の原因と治し方

手首の小指側が痛い場合に考えられる病気には、TFCC（三角繊維軟骨複合体）損傷などがあります。

TFCC（三角繊維軟骨複合体）損傷

TFCC損傷は、テニスやゴルフといった手首をねじる動作が多いスポーツでよく発症します。ドアノブを回したり、車のキーを回したりするような、ねじる運動で痛みが現れて、手首の小指側の突起部分が特に痛みます。
TFCC損傷は、手関節の小指側の圧痛や、典型的なねじる動きで痛みが誘発されれば診断されます。MRI（磁気共鳴画像）の検査も必要になることがあります。
治療は保存療法が主で、ギプスで固定する、サポータを巻くなどし、局所の安静を保つようにします。手首の小指側の痛みが続く場合は、整形外科を受診しましょう。

手首の親指側が痛い･親指の付け根が痛い症状の原因と治し方

手首の親指側、親指の付け根が痛い場合に考えられる病気には、ドケルバン病があります。

ドケルバン病

ドケルバン病は、重い物を持ったり、絞ったり、手を着いた際に手首の親指側に痛みが出る病気です。この病気は、親指を伸展する２本の伸筋腱のうちの短母指伸筋腱の腱鞘炎で、妊娠出産期の女性や更年期の女性に多く生じます。
治療は局所の安静、痛み止めの内服、腱鞘内ステロイド注射などを行います。痛みで悩む方は整形外科を受診してください。

手首の真ん中が痛い･手の甲側が痛い症状の原因と治し方

手首の真ん中、特に手の甲側が痛い場合に考えられる病気には、キーンベック病があります。

キーンベック病

キーンベック病は手首の関節の中心に位置する月状骨の血行が悪くなり、骨壊死をきたし痛みが出現する病気です。
原因ははっきりわかっていませんが、手関節に繰り返しのストレスがかかることによって起こると推測されています。テニス、ゴルフ、バレーボールなど手首に衝撃がかかるスポーツが原因で発症することもあります。
治療は、ギプス固定や手術などの選択肢があります。専門的な判断が必要ですので、早めに整形外科を受診しましょう。

手首の骨にしこりがあって押すと痛い症状の原因と治し方

手首の骨やその周囲にやわらかいしこりがあり、押すと痛い症状を指します。このような場合、ガングリオンなどが疑われます。

ガングリオン

ガングリオンは、ゼリー状の物質の詰まった腫瘤で、典型的なものは手関節背側（甲側）に生じます。無症状のことが多いのですが、神経のそばにできると神経を圧迫して、痛みなどを起こします。
良性疾患なので過度な心配は不要ですが、診断をしてもらうために整形外科を受診しましょう。自然と治ることもありますが、内部のゼリーを穿刺して抜くなどの治療があります。

すぐに病院へ行くべき「手首の痛み」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

手首が痛く腫れが続くような症状の場合は、整形外科・リウマチ科へ

手首に痛みと腫れが続いている場合には、関節リウマチの可能性があります。

関節リウマチ

関節リウマチは手指関節の痛みが有名ですが、最初に痛くなる関節で2番目に多いのが手首の関節になります。関節リウマチは、どの年代でもおこりますが、特に30～40歳代の女性に多く発症します。全身対称的な関節に痛みが出現し、痛みのある関節を押すと腫れていて、朝にこわばりを自覚するようになります。
関節リウマチでは早期の治療が大切ですので、気になる症状があれば早めに整形外科やリウマチ科を受診しましょう。

「手首の痛み」が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「手首が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

偽痛風

偽痛風も手首の痛みが出現する病気として挙げられます。特に高齢者で、急に手首が痛くなった場合に疑われます。痛み以外にも炎症がつよく発熱する場合もあります。
痛風は尿酸が足の親指の関節に貯まって痛みが生じる病気ですが、偽痛風もそれに似ていて、尿酸ではなくピロリン酸が関節に溜まり痛みを生じます。
高齢者に多く、手首・肩・首・膝など比較的大きな関節に起きやすいのが特徴です。
腫脹した内用液の検査で診断ができ、痛み止めの内服などで軽快します。関節に強い痛みが生じたときは、早めに整形外科を受診しましょう。

「手首の痛み」を和らげるストレッチを紹介！

簡単にできる手首のストレッチを紹介します。
ストレッチする側の腕を前に伸ばし、手のひらを前へ向けます。もう片方の手で指をつかみ身体のほうに曲げます。気持ちいいと感じるところで5秒間、止めてください。
次に手のひらを身体へ向けるように倒します。手の甲をもう片方の手で、ゆっくりと押します。気持ちいいと感じるところで5秒間、止めてください。
自宅で道具も使わずにできる手首ストレッチですので、ぜひやってみてください。

日常生活でできる「手首の痛み」の予防

日常生活で起きる手首の痛みを予防するためには、使いすぎを避けましょう。
仕事でどうしても長時間パソコンを使用しなければいけない場合は、休憩をはさみストレッチをするなど、長時間同じ姿勢で作業することを避ける工夫を行いましょう。
手首の負担を軽減するクッション、手首を固定するサポーターなどを活用して同じ場所に負荷がかからないように工夫しましょう。
スポーツなどで手首の痛みを予防するためには、正しい姿勢やフォームを身に着けることが大切です。

「手首が痛い」ときに飲んでも良い市販薬やサプリメントは？

手首が痛いときに、ロキソプロフェンやアセトアミノフェンなどを有効成分とする市販の湿布薬や、痛み止めを服用することは効果的です。ただし、長引く場合には早めに整形外科を受診し、正確な診断をつけてもらうことが必要です。

まとめ

手首に痛みが生じると、大きな病気でなくても痛みを頻回に自覚し早く何とかしたいと思うはずです。痛みの原因は様々ですが、早めに痛い動作をさけて安静にすることや、治療を開始することが大切です。我慢し過ぎないよう注意してくださいね。

「手首が痛い」症状で考えられる病気と特徴

関節の症状なので、まずは整形外科で相談するのが良いと思います。

「手首が痛い」と関連のある症状

「手首が痛い」症状の他に、これらの症状がある場合も「橈骨遠位端骨折」「ドケルバン病」「舟状骨骨折」「腱鞘炎」「TFCC損傷」「関節リウマチ」などの疾患の可能性が考えられます。
痛みが続く場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。