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「二日酔い」で「頭痛」がする原因はご存知ですか?医師が「食べ物」についても解説!

二日酔い

二日酔い解消のための対処法と原因・対策・考えられる病気や何科へ受診すべきかをMedical DOC監修医が解説します。つらい二日酔いなど、気になる症状が続く場合は病院を受診してください。

マイマイテイリ イマム

監修医師
マイマイテイリ イマム(新宿アイランド内科クリニック 院長)

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医師、医学博士。2009年新疆医科大学を卒業し、中国医師免許取得。2014年10月に血液悪性腫瘍の研究を志して、神戸大学大学院に入学。2019年3月に医学博士号と日本医師免許を取得。赤穂市民病院、亀田総合病院などを歴任後、2022年2月新宿アイランド内科クリニック院長に就任。内科全般の疾患を幅広く診療している。

「二日酔い」で考えられる病気と対処法

二日酔いは、アルコールの代謝物質であるアセトアルデヒドという物質を、うまく分解できないために起こると考えられていました。しかし、最近の研究では、それ以外にも数多くの原因が重なって、「二日酔い」の症状になってしまうという考え方になっています。そのため、「二日酔い」の症状ごとに、原因と対処法が異なります。どんな場合に自分で対処ができて、どんな時に病院を受診する必要があるのか解説していきます。

二日酔いの症状で考えられる原因と治し方

お酒を飲み過ぎた翌日に起こる一連の症状を二日酔いといいます。典型的な症状は、疲労感、脱力感、喉の渇き、頭痛、筋肉痛、吐き気、胃痛、めまい、光や音への過敏、不安、発汗、血圧上昇などがあります。多くの場合は、時間経過とともに症状は改善し、24時間あればアルコールは代謝され、症状も治ります。しかし、ただ症状に耐え続けるのは辛いですよね。
辛いと感じる症状の中には、すぐに対処ができる場合もあります。そのうちの一つで考えられる病気として、脱水症があります。お酒をたくさん飲むと、抗利尿ホルモン(水分を体に溜めようとするホルモン)の分泌が低下します。お酒を飲まれる方は誰しも経験があると思いますが、尿がたくさん出ることになり、身体は脱水状態になります。例えば、喉の渇きや脱力感は、脱水が原因で起こると考えられます。
すぐにできる対処法は、気持ち悪くてもしっかりと水分を摂取することです。可能であれば、電解質を含んだ経口補水液を摂取するのが良いでしょう。この対処法を行ってもめまいがして立てなかったり、意識を失ってしまうような場合は病院を受診しましょう。
治療法は、脱水を補正するために、点滴治療を実施することが多いです。緊急性はないため、日中に内科を受診しましょう。

二日酔いと頭痛の症状で考えられる原因と治し方

お酒を飲み過ぎた翌日に、疲労感や脱力感、喉の渇き、吐き気、めまいと同時に頭痛を自覚する状態を指します。アルコールには体内の炎症反応を引き起こす作用があり、その炎症が原因で頭痛が起きている可能性があります。またお酒の利尿作用による軽度の脱水状態も頭痛を引き起こします。すぐにできる対処法は、抗炎症作用のある鎮痛薬を内服することや、水分摂取を心がけて脱水を治すことです。
ほとんどの人は、時間が経つにつれて症状が良くなります。しかし頭痛が強すぎるせいで嘔吐してしまったり、全く水分摂取ができない場合は、さらに脱水状態が進んでしまうため、内科への受診を検討してください。

二日酔いで吐き気を催す症状で考えられる原因と治し方

お酒を飲み過ぎた翌日に、疲労感や脱力感、喉の渇き、頭痛、筋肉痛、胃痛、めまいと同時に、吐き気が出てくる症状を指します。
このような場合、アルコールで引き起こされた胃食道逆流症の可能性があります。アルコールは胃の粘膜を直接刺激し、酸の放出を増加させます。この増加した胃酸が、吐き気や胃の不快感につながる可能性があります。
対処法は、やや上半身を起こした状態で休息を取ることや、消化しやすい食事を摂ること、寝る3時間前からは食事を避けることなどです。二日酔いのしんどさから、すぐに横たわってしまうと胃酸が逆流しやすくなり、症状がさらに強くなってしまいますので注意してください。

すぐに病院へ行くべき「二日酔い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

みぞおちあたりに急激な腹痛や、背中への激痛、嘔吐の場合は、消化器内科へ

お酒の飲み過ぎた翌日に、疲労感、脱力感、喉の渇き、頭痛といった典型的な「二日酔い」の症状に加えて、みぞおちあたりに急激な腹痛や、背中への激痛、嘔吐が見られた場合は注意が必要です。この場合、アルコール多飲による急性膵炎という病気が疑われます。急性膵炎は、膵臓という消化に重要な臓器に、突然起こる炎症を指します。軽症から重症まで程度はさまざまですが、基本的には入院で治療を行う疾患になります。
緊急性の高い疾患ですので、できるだけ早く消化器内科を受診しましょう。歩いたり咳をするだけで激痛が生じるようであれば、腹膜にも炎症が広がっている可能性があり非常に危険な状態です。迷わず救急要請をしてください。

「二日酔い」が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「二日酔い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

アルコール性肝障害

アルコール性肝障害とは、アルコール多量摂取が原因となって、肝臓の機能がダメージを受ける病気のことを指します。初期は肝臓の機能が保たれ、自覚症状はほとんどないことが多いです(代償期)。しかし肝臓へのダメージがどんどん蓄積すると、やがて肝臓は機能不全に陥ります(非代償期)。そうなれば肝臓は肝硬変という状態になり、浮腫や黄疸(肌や白目部分が黄色いこと)、腹水、出血傾向、意識障害(肝性脳症)といった症状が出現します。
長年にわたってアルコールを大量摂取していて、「二日酔い」の症状が以前よりも持続するようになった方や、浮腫や腹水、黄疸が認められた方はアルコール性肝障害を起こしている可能性が高いです。できるだけ早い日程で、消化器内科を受診しましょう。

慢性膵炎

慢性膵炎とは、長年にわたりアルコールを大量に飲むことによって、長期間膵臓の炎症が持続する病気のことを言います。症状はお腹や背中が痛い、お腹の上のほうを押されると痛い、体がだるいなどの症状があります。お腹の痛みはお酒を飲んだあと、食べすぎや脂肪分のとりすぎなどにより引き起こされます。慢性膵炎を発症すると、腹痛の発作が5~10年にわたり繰り返されます。その間に膵臓の中では炎症が進行し、食べ物がうまく消化できなくなり、糖尿病を発症するようになってきます。
慢性膵炎になると、基本的に治ることはありません。そうなる前にアルコール摂取を断つ必要があります。
アルコール摂取のたびに、二日酔いの症状に加えてお腹や背中の痛みを感じた時は、消化器内科を受診してください。

不眠症

不眠症とは、十分な睡眠が摂れないことによって、日中の生活に支障をきたす状態のことを指します。不眠症の原因はさまざまですが、今回はアルコール性不眠症について解説します。
アルコールを多量に飲んだ後は、一時的に寝つきが良くなり睡眠が取りやすくなったように感じる効果があります。しかし実際は、その効果は⼀晩の前半だけで、後半になると逆に眠りが浅くなって頻繁に⽬が覚めるなど、睡眠の質が低下しており、より早く目覚める傾向にあります。これが身体の回復不足に繋がり、「二日酔い」の典型的な症状や、特に疲労感に大きく影響します。その結果、日中の活動力と生産性も大きく低下してしまいます。また、睡眠をとるためにアルコールを毎⽇飲んでいると、徐々に体が慣れてしまって効かなくなります。それに加えてアルコール依存症に陥ってしまう危険性もあります。
不眠が続く場合は、精神科や心療内科への受診をおすすめします。

「二日酔い」解消のための正しい対処法は?

二日酔いの症状は、疲労感、脱力感、喉の渇き、頭痛、筋肉痛、吐き気、胃痛、めまいと幅広く、そしてその原因も様々です。そのため、唯一これをすれば二日酔いが消えるという方法はありません。症状と原因に合わせて対応していく必要があります。

「二日酔い」で頭痛がするときの対処法は?

例えば、二日酔いの症状の中で頭痛が一番辛い時は、市販の鎮痛薬(ロキソニン)を飲むことで緩和できるかもしれません。二日酔いの症状のうち、頭痛に対してロキソプロフェンが有効という研究報告もあります。一方で全身倦怠感や吐き気、みぞおちあたりの不快感といった症状は改善しないことも判明しています。ロキソニンには胃粘膜に負担がかかるリスクがあるため、頭痛よりも胃痛や吐き気、みぞおちあたりの不快感が強い場合は、飲まない方が良いでしょう。また別の種類の痛み止めでカロナールという薬がありますが、これは肝臓への負担がかかるため、二日酔いの時にはさらに肝臓に負担をかけてしまうことになります。

「二日酔い」のときに迎え酒をしてもいいの?

次にいわゆる迎え酒、二日酔いのときにお酒を飲むという対処法について解説します。これは一時的に症状を緩和するかもしれませんが、倦怠感やその他の症状の一因となり、長引かせる可能性があります。根本的な解決法とは言えません。また、「二日酔い」が少量のアルコール離脱症状であるという説もあります。その場合では一時的な症状緩和は、離脱症状が満たされたことで緩和しただけであり、アルコール依存症へつながる可能性がありますのでお薦めしません。
唯一、二日酔いの解消に重要であるとわかっていることは「時間」です。時間さえ経てば症状は治ります。その時間をできるだけ苦痛なく過ごすことが重要です。

「二日酔い」解消に医師が薦める食べ物・飲み物は?

しじみの味噌汁やグレープフルーツ、ウコン配合成分、ハイチオールCなど、「二日酔い」に良いとされる食品は数多くありますが、科学的に有効であると立証されたものはありません。これらの食品は、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドを分解するのに役立つ、肝機能をサポートするといった効果はあります。しかし「二日酔い」はアセトアルデヒド以外に、脱水状態・炎症反応・軽度の離脱症状という多数の要因が重なっているため、一つの要因を解決しても「二日酔い」全てには効きにくいというわけです。
一方で避けたほうが良いものは、香辛料の強い刺激物になります。アルコール自体に胃粘膜を刺激する作用があるため、刺激の強い食べ物はさらに状況を悪化させることが考えられます。
うどんやお粥、プリン・ゼリーなど刺激が少なくとろみがあり、消化に良いものを食べると良いでしょう。

医師が薦める「二日酔い」予防法は?

「二日酔い」が出るかどうかは、アルコールの量によって決まります。しかし、どれくらいの量で出るかは個人差があるため、一概に決めることは出来ません。
市販のヘパリーゼなどは、飲むことで肝機能を向上させる可能性はありますが、二日酔いを起こさない訳ではないので注意してください。
また、色々な種類のお酒を飲むのは悪酔い、二日酔いしやすいという説がありますが、これは科学的に証明されていません。単純にアルコール摂取量が多ければ、二日酔いはしやすくなることがわかっています。お酒の種類や飲む順番にも差はありません。
確実な予防法は、飲み過ぎないこと、飲んだとしても水分を多く摂ることです。

「二日酔い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「二日酔い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

二日酔いの吐き気や頭痛の症状をすぐに治す方法はありますか?

マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

吐き気止めや頭痛薬を飲み、やや上半身を起こしてゆっくり休むことが、確実かつ迅速な対処法になります。ただし頭痛薬を飲みすぎると、胃粘膜が刺激され吐き気が悪化する場合があるので、使い過ぎには注意してください。

悪酔い・二日酔いはなぜ起きるのでしょうか?

マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

これまで二日酔いは、アルコールの代謝物質であるアセトアルデヒドという物質をうまく分解できないために起こると考えられていましたが、現在は他にもいろいろな要素が関係していると考えられています。悪酔い・二日酔いが出るかどうかは、アルコールの量によって決まりますが、どれくらいの量で出るかは個人差があるため、体質も影響があるでしょうし、その日の体調などにもよると思われます。

二日酔いで頭痛が起きやすいのはお酒に弱いからでしょうか?

マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

これまで説明してきたように二日酔いの起こる理由は、さまざまな要素があります。二日酔いの症状の一つで頭痛が起きやすいのは、お酒に弱いという体質という理由だけではないと思われます。

二日酔いの症状で病院を受診してもよいのでしょうか?

マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

「二日酔い」の症状を確実に改善するのは時間だけです。基本的には受診しなくても自然に治っていきます。しかし全く食事や水分が摂れない場合は、脱水症がさらに進行する可能性があり、受診を検討してください。また激しいお腹の痛み・背中の痛み・嘔吐などが見られた場合は、急性膵炎など緊急疾患の可能性があるため、すぐに病院を受診してください。

二日酔いは体質改善で予防できますか?

マイマイテイリ イマムマイマイテイリ イマム 医師

アルコール分解能力は生まれつき遺伝で決まっており、体質改善で変わるものではありません。飲酒量を抑えて、飲む前後での水分摂取量を増やして脱水を予防する方が良いです。体質ではなく、アルコールを摂取する際の行動を改善しましょう。

まとめ

二日酔いは、お酒を飲む方は比較的経験することの多い症状だと思います。基本的には安静にしていれば回復しますが、しんどさを和らげる方法はあります。また急激なお腹の痛み、背中の痛みなどが伴うと、ただの二日酔いとは言えませんので、すぐに医療機関を受診してください。

「二日酔い」で考えられる病気と特徴

「二日酔い」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

精神科の病気

アルコールは少量を楽しむには問題ありませんが、大量に飲むと二日酔いだけではなく体への負担が多く病気を引き起こすきっかけになるため注意が必要です。

「二日酔い」と関連のある症状

「二日酔い」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「二日酔い」の症状の他に、これらの症状がある場合は「急性膵炎」「慢性膵炎」「胃食道逆流症」「アルコール性肝障害」などの疾患の可能性が考えられます。複数併発している場合は、なるべく早く医療機関への受診をお薦めします。