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「頭が回らない」原因をご存じでしょうか?対処法や考えられる病気も医師が徹底解説!

「頭が回らない」原因をご存じでしょうか?対処法や考えられる病気も医師が徹底解説!
頭が回らない時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?MedicalDoc監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
船井 政希

監修医師
船井 政希(医師)

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精神科医
2019年 和歌山県立医科大学医学部卒業
2020年 安城更生病院 勤務
2021年 名古屋市立大学病院 勤務
2023年3月 名古屋市立大学病院 退職
現在精神科単科病院で勤務中
所属:日本精神神経学会

「頭が回らない」原因と対処法

みなさんは頭が回らない、うまく働かない経験はありますでしょうか?一度は経験がある方が多いのではないでしょうか?大体は一時的なものですぐに改善することが多いですが、長く続いて改善しない場合は病気によるものが考えられます。どんな病気が考えられて、どんな場合に病院受診を行う必要があるかを解説していきます。

頭が回らない原因と対処法

頭が回らない原因として多いのは、思考力や集中力が低下している状態です。何らかの原因で脳の機能が一時的に低下してしまっている状態が多いです。原因としては、「睡眠不足」「疲労」による影響が考えられます。後述しますが、言葉などの発語が問題ないかを確認しましょう。言葉が出にくい症状がある場合は別の原因が考えられますので下記を参考にしてください。 脳はエネルギーを多く消費します。1日のエネルギーの18%近くを脳が消費しています。また睡眠をしっかりとることによって、脳の休息や整理を行うことができます。睡眠や休息がうまくできないと脳の本来の働きができずに、脳の機能が低下して頭が回らない症状が出てきます。また勉強や仕事を休憩もなくやりすぎてしまったり、空腹時が長く続いたりすると脳のエネルギー消費が供給より一時的に多くなってしまうので頭が回らない症状が出てくる場合があります。 まずは食事を規則正しく摂取し、休息をしっかりと摂るようにしましょう。勉強や仕事も一度休憩時間を挟んだりして、脳を休める時間を作ってみましょう。上記を試してみて、症状が改善しない場合は病気の可能性があります。

頭が回らず、言葉が出てこない原因と対処法

頭が回らずに言葉が出にくい症状がある場合は、病気の可能性が高いです。前で解説した頭が回らない症状に加えて言葉が出てこない症状を伴います。言葉は言語野などの脳の特定の部位が機能して働きます。そこに関連した部分が何らかの影響で機能が低下したり、ダメージを負うことで言葉が出にくい症状が出ると考えられます。 考えられる原因は年齢や状況によって異なってきます。大きく分けると、精神疾患と神経の病気が考えられます。精神疾患としてはうつ病、適応障害、自律神経失調症などの抑うつ症状、統合失調症の陰性症状が考えられます。神経疾患としては、脳炎、脳梗塞、脳出血、認知症、癌の脳転移などの疾患が考えられます。近年ではコロナウイルス感染症の後遺症であるブレインフォグも同様の症状を伴います。またそれ以外の原因としては、低酸素脳症、貧血、低血糖などの症状が考えられます。 頭が回らずに言葉が出にくい症状が出た場合は、まずは内科に受診してください。夜間の場合は病院の救急外来に受診してください。脳が原因の場合は、すぐに受診して治療を行わないといけない病気の場合もあるので症状が出た場合は遠慮せずにすぐに受診してください。動けない症状が出たり、1人で受診が難しい場合は救急車を呼んでください。

20代で頭が回らず、言葉が出てこない原因と対処法

20代の方で頭が回らず、言葉が出てこない場合に関しては、脳の疾患は頻度としては考えにくいです。脳梗塞や脳出血も基本的に血管のダメージなどが関連することが多いため、若年の段階では頻度としては低いです。脳腫瘍に関しても好発年齢が60代が最も多いとされています。ただし、稀ですが胚細胞腫瘍のように若年に好発の癌もありますので注意が必要です。強い頭痛が生じたり、症状が長く続く場合は一度内科で頭のMRIなどの検査を行いましょう。 また性感染症も確認しましょう。梅毒やHIV感染によって、神経梅毒やHIV脳症といった脳に影響が生じる場合もあります。2023年の梅毒感染者は1万3000人と過去最多を更新しております。不特定多数の性行為が多い方は特に注意して、検査を行なってみてください。 20代などの若い方で考えやすい原因としては、睡眠不足と抑うつ症状によるものが挙げられます。恐らく言葉が出にくい症状まで生じているということは、抑うつ症状に伴う思考力低下や集中力低下を伴っていることが多いです。会社の激務で残業が多かったり、子育てなどでうまく睡眠が取れなかったり休養が取れなかったりすることが原因のことが多いです。まずは睡眠をしっかりとって、休養をとり規則正しく生活を行うことが重要です。会社の残業でうまく休めない方は一度上司や会社の産業医の方に相談することをお勧めします。2週間程度しっかりと休んでも改善しない場合はうつ病である可能性があります。うつ病の場合は症状にもよりますが、症状が中等度以上の場合は抗うつ薬を開始しないと改善しない可能性が高いです。うつ病に関しては下記で詳しく解説しますが、一度メンタルクリニックや精神科を早めに受診をすることをお勧めします。

40代で頭が回らず、言葉が出てこない原因と対処法

40代で頭が回らず、言葉が出てこない場合に関しては20代の場合と少し異なってきます。40代は、20代で考えられる原因と年齢が上がったことで出てくる原因の両方の可能性がある世代です。20代で考えられる原因に関しては上記の記事を参考にしていただいて、ここでは加齢によって新たに疑わなければいけない疾患について解説していきます。神経の病気が加齢に伴って多くなっていきます。代表的な神経の病気として頻度が多いのは脳出血や脳梗塞が挙げられます。基本的に加齢によって生じてくるために40代の方に関しては、60歳以上の高齢の方と比べれば頻度は少ないです。しかし、不摂生や運動不足などの影響で40代でも生じる方はいます。頭が回らない症状に加えて、頭痛が生じたり、言葉が出てこない症状が出たりした場合は、すぐに病院で検査した方がいいと思います。夜間で病院がやっていない場合は大きな病院の救急外来等に受診して精査をしてもらってください。また物忘れも伴う場合は注意が必要です。その場合は若年性認知症の可能性もあります。一度内科に受診して、画像や心理検査を行って精査した方がいいでしょう。

すぐに病院へ行くべき「頭が回らない」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。 応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。 以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

手足が動かしにくい場合は、救急科へ

頭が回らない、言葉が出てくない症状に加えて手足が動かしにくい症状が出現した場合は前述しましたが、脳梗塞や脳出血などの脳の疾患の可能性がさらに高いです。緊急性が高い疾患のためにすぐに救急車を呼んで総合病院に搬送して精査をしてもらってください。何時何分からその症状が生じたのかが重要となってくるので可能であるならば、症状が出た時間や様子がわかる方も同伴してもらい受診してください。

受診・予防の目安となる「頭が回らない」のセルフチェック法

・頭痛がある場合
・空腹がある場合
・睡眠不足がある場合

「頭が回らない」症状の特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「頭が回らない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

うつ病

まずはうつ病についてです。原因ははっきりとは分かっておりませんが、遺伝的な要素と環境的な要素がどちらも関連していると言われています。症状としては気分の落ち込み、集中力困難、思考力低下、食欲低下、焦燥感、無価値感、疲労感、興味や喜びの喪失が生じます。こういった症状が2週間持続した場合はうつ病と診断されます。中等度以上のうつ症の場合は抗うつ薬の絶対適応となっているために治療が必要です。受診の目安としては、2週間程度症状が持続した場合はうつ病の可能性があるために精神科か心療内科に受診をしてください。

適応障害

適応障害とは、はっきりと確認できるストレス因に反応して、そのストレス因の始まりから3ヶ月以内に情動面、行動面の症状が出てくる疾患で、ストレス因が除去されてから6ヶ月以内に改善します。基本的に初期の症状はうつ病と区別が困難な場合が多いです。経過を見ていく過程で適応障害と診断されることが多いと思います。そのためうつ病と同じように症状が2週間程度続くような場合は、一度精神科や心療内科で精査を行ってください。治療は基本的にストレス因から離れることです。睡眠薬などの対症療法で行っていくことが多いです。

自律神経失調症

自律神経失調症についても原因は不明です。精神科医はあまりこの病名を診断することは稀だと思います。内科や他科の先生が使われることが多い病名です。原因不明の自律神経症状の場合この診断名を使うことが多いです。一度大きな総合病院などで精査を行うことをお勧めします。そこで内科や他の科で原因を精査してもらいそれでも原因が見つからない場合は一度精神科や心療内科で精査を行うことをお勧めします。

統合失調症

統合失調症に関しても原因は明らかでありません。統合失調症の好発年齢は10代後半〜30代半ばとなります。妄想、幻覚、まとまりのない発語、ひどくまとまりのない行動、情動表出の減少(陰性症状)が生じる病気です。本人にとっては大きな病的体験をしているのですが、外から見る人には頭が回っていないように見えるかもしれません。本人が自ら気づくというよりかは周りの方が気づいて受診されるケースが多いです。もし幻聴や妄想などが生じている場合は、精神科を早期に受診してください。統合失調症は人格水準が低下する病気です。そのため早期の治療が大切です。治療は抗精神病薬を用いて治療を行います。病状にもよりますが入院が必要なケースもあります。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は認知症の60%以上を占めます。正確な原因は分かってはいませんが、何らかの原因でアミロイドβというタンパク質が蓄積し脳の神経細胞を破壊することが[政船1] 原因であると言われています。アルツハイマー型認知症の特徴としては、物忘れがゆっくりと進行していき最近の内容から忘れていきます。症状がゆっくりと進行していくために軽度認知機能障害(MCI)と言って、認知症とは診断できないが物忘れが少し進んだ状態を経て認知症になっていきます。最近ではMCIに対する治療薬であるレカネマブが承認されて進行を遅らせることができるようになりました。そのため物忘れを自覚したり、他の方から指摘されたりするようになった場合は早めに神経内科に相談にいくと良いでしょう。

「頭が回らない」ときの正しい対処法

頭が回らない症状を緩和するような市販薬はありません。基本的にまずは睡眠と栄養をとってしっかりとって休んでください。2−3日経ってもなかなか症状が改善しない場合は何らかの病気の可能性があります。頭の疾患の場合は早めに治療が必要な場合がありますので、一度内科に相談をして検査などをして調べてもらうのがいいでしょう。内科で原因がはっきりしない場合は精神科に受診をして治療を受けることになる場合もあると思います。

「頭が回らない」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「頭が回らない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

頭が回らないのは発達障害でしょうか?

船井 政希医師船井 政希(医師)

幼少期から頭が回らない症状がある場合は発達障害も考えられます。大人になってから症状を自覚するようになった場合は可能性としては高くないと考えます。ただし発達障害が発見されず大人になってから見つかる方もいます。発達障害からの二次性の抑うつ症状を伴う方はいますので、そういった方だと頭が回らない症状を自覚される方はいると思います。 気になる方は一度精神科や心療内科に受診して相談されるといいと思います。

栄養不足で頭が回らないことはありますか?

船井 政希医師船井 政希(医師)

空腹が長く続くと頭に十分に栄養が渡らないために、頭が回らない症状が出てくる可能性があります。糖尿病の方の場合は低血糖症状で生じる場合があります。また高齢の方だとビタミンB1やB12が欠乏すると、認知症に似た症状が出てくる場合があります。

まとめ

頭が回らない症状について解説してきました。頭が回らない症状の場合、脳の病気と精神の病気の両方の可能性が考えられるために、自己判断は禁物です。症状が長く続いたり、頭痛など他の症状も伴っている場合は特に要注意です。症状を放置せず、早めに病院に受診しましょう。精神科か内科か受診に迷うような症状の時は、先に内科に相談をして原因を精査してもらうといいでしょう。

「頭が回らない」で考えられる病気

「頭が回らない」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

内科系の病気

脳神経系の病気

耳鼻科系の病気

脳そのものの病気と考えがちな症状ですが、頭がまわない症状の原因にはいろいろな病気が考えられます。

「頭が回らない」に似ている症状・関連する症状

「頭が回らない」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

上記のような症状が見られる場合には、早めに医療機関を受診することをお勧めします。