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「牛乳」を飲んで「下痢」をする原因はご存知ですか?考えられる病気を医師が解説!

「牛乳」を飲んで「下痢」をする原因はご存知ですか?考えられる病気を医師が解説!

牛乳を飲んで下痢をするのは何が原因でしょうか?身体はどんなサインを発している?メディカルドック監修医が考えられる病気や対処法について解説します。

関口 雅則

監修医師
関口 雅則(医師)

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浜松医科大学医学部を卒業後、初期臨床研修を終了。その後、大学病院や市中病院で消化器内科医としてのキャリアを積み、現在に至る。内視鏡治療、炎症性腸疾患診療、消化管がんの化学療法を専門としている。消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、総合内科専門医。

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牛乳を飲んで下痢をする症状で考えられる病気と対処法

牛乳を飲んだ後に下痢やお腹の不調を訴える人は少なくありません。主に「乳糖不耐症」と「牛乳アレルギー」が代表的な原因となります。他にも冷たい牛乳やコーヒー牛乳など、飲み方や他の成分が原因となるケースも考えられます。

大人になってから牛乳を飲むと下痢をする症状で考えられる原因と治し方

大人になってから 、つまり成人してから牛乳や乳製品を摂取した際に下痢、腹痛、ガス、膨満感といった症状が突如現れることがあります。
こうした場合、最初にとるべき対処法は牛乳や乳製品を一旦控えることです。また、一度に大量に飲まず少量から始めて温めて摂取することもよいでしょう。乳糖分解酵素が添加された牛乳やヨーグルト、チーズといった乳糖含有量が少ない食品へ切り替えることも効果的です。
主な原因としては「乳糖不耐症」があげられ、小腸で乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)の働きが加齢や遺伝、体質によって低下することで発症します。さらに、牛乳アレルギーが原因の場合には、下痢以外にも皮膚や呼吸器にも症状が出ることがあります。
強い症状が続いたり、皮膚症状や呼吸困難を伴ったりする場合には消化器内科やアレルギー科への受診を検討しましょう。特にアナフィラキシーのような重篤な症状が疑われる場合には、速やかな医療機関での対応が必要です。

牛乳を飲んで すぐに下痢になる症状で考えられる原因と対処法

牛乳を飲んでからわずか数分から1時間程度のうちに急に腹痛や下痢を起こすことがあり、体質によってはごく少量の摂取でも症状が始まる場合があります。
このような場合には、まず症状が落ち着くまで安静にし、水分補給をしっかり行うことが重要です。特に脱水や下痢が長引くときには、経口補水液などを活用して適切な水分と電解質の補給を心がけましょう。
原因として最も多いのは「乳糖不耐症」で、牛乳中の乳糖を分解できない体質によるものですが、まれに牛乳や含有添加物への即時性アレルギー反応や、過敏性腸症候群(IBS)が関与することもあります。
さらに、嘔吐や血便、強い腹痛、意識障害、呼吸症状などの重い症状を伴う場合には、消化器内科や一般内科、アレルギー科などの医療機関を早急に受診することが必要です。

冷たい牛乳を飲んで下痢になる症状で考えられる原因と対処法

冷たい牛乳を飲んだ後に下痢を起こしやすい一方で、温めた牛乳では同じ症状が出にくいという方も少なくありません。
そのようなときは、まず牛乳を常温または温めて飲むように調整し、一度に飲む量も少なめにして、体を少しずつ慣らしていくことでラクターゼ(乳糖分解酵素)の働きが高まり、下痢などの症状が和らぐことがあります。
主な原因は「乳糖不耐症」ですが、冷たいものによる腸の蠕動運動亢進や自律神経の刺激が影響することも考えられます。
もし繰り返し強い症状が続いたり、他の食べ物でも同様のトラブルが起こったりする場合は、早めに消化器内科や内科を受診し、医師に相談することをおすすめします。

コーヒー牛乳を飲んで下痢になる症状で考えられる原因と対処法

コーヒー牛乳を飲んだ後に下痢を起こす場合、腹痛やガスが同時に生じることも多く、特に冷たい飲み物で症状が誘発されやすい傾向があります。対処法としては、まずコーヒーや牛乳を単独で飲んだ場合と、コーヒー牛乳のように組み合わせて飲んだ場合とで症状の出方に違いがあるかをよく観察しましょう。そのうえで、コーヒーまたは牛乳の量を控えたり、乳糖フリーの牛乳などに切り替えたりする方法が有効です。また、脱水を防ぐために十分な水分補給を心がけることも大切です。
考えられる原因としては、乳糖不耐症だけでなく、コーヒーに含まれるカフェインやポリフェノール(クロロゲン酸・タンニンなど)、さらにはコーヒーミルクや砂糖などの添加物、コーヒーそのものの胃腸刺激などが挙げられます。ごく稀にアレルギーが関与することもあります。
繰り返し症状がみられる場合や、全身症状・発疹・息苦しさといったアレルギー反応がある場合には、消化器内科やアレルギー科の受診が望ましいです。特に下血や激しい腹痛をともなう場合には、早めに医療機関を受診してください。

牛乳を飲むと何時間後に下痢をしやすい?

牛乳や乳製品を摂取したあとの下痢や腹痛は、一般的に飲用から30分から2時間後に症状が出ることが多いとされています。ただし、個人差が大きく、すぐに現れる人もいれば、摂取から数時間後になることもあります。

牛乳中の乳糖が消化吸収されずに大腸まで達した場合、大腸で発酵してガスや下痢が起こるため、その速度や症状の強さは体質や消化機能の個人差によります。

牛乳を飲んで下痢をするのは、アレルギーが原因?

牛乳を飲んで下痢をする主な原因は「乳糖不耐症」と「牛乳アレルギー」の2つが考えられます。乳糖不耐症は乳糖分解酵素の不足により下痢や腹痛を生じますが、一方で牛乳アレルギーの場合は牛乳タンパク質に対する免疫反応で発疹や呼吸器症状、嘔吐など多彩な症状もみられます。

牛乳摂取後に「下痢だけ」でなく、皮膚、呼吸器、全身症状を伴う場合はアレルギーも強く疑うべきです。繰り返す不調や、粘膜・皮膚症状などがあれば必ず医療機関で相談してください。

すぐに病院へ行くべき「牛乳を飲んで下痢をする」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

牛乳を飲んだ後に下痢と特定の症状がみられる場合は専門科へ

牛乳を飲んだ直後や数時間以内に、下痢とともに蕁麻疹や湿疹、呼吸苦、嘔吐、激しい腹痛、血便、意識障害などが起きた場合は、消化器内科・内科・アレルギー科などに早めの受診を推奨します。特に息苦しさや顔色不良、ぐったりしている、意識がもうろうとする、といった状態はアナフィラキシーと呼ばれる重篤なアレルギー反応の可能性もあり、一刻も早く救急車や医療機関を利用してください。軽い下痢だけであっても、症状が繰り返す、長引く場合は専門医への早めの相談をおすすめします。

「牛乳を飲んで下痢をする」症状が特徴的な病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「牛乳を飲んで下痢をする」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

乳糖不耐症

乳糖不耐症は、牛乳や乳製品に含まれる乳糖を分解できず、大腸でガスや酸が発生し、お腹の膨満感、腹痛、下痢、張りなどが現れる体質です。特に日本人は発症頻度が高く、年齢とともに症状が出やすくなる場合も見られます。

治療・対策は基本的に乳糖の摂取を控えることで、特に症状が出る食品(牛乳、アイス、特定乳製品)を避けることが中心になります。乳糖を分解した製品(乳糖フリー牛乳やヨーグルト、チーズなど)は比較的症状が出にくいため代用が推奨されます。

生活に支障をきたす頻度・程度なら、消化器内科での相談が望ましく、専門施設では乳糖負荷試験などの検査も行われることがあります。

牛乳アレルギー・乳製品アレルギー

牛乳アレルギーは、乳タンパクに対する免疫反応であり、下痢のみならず蕁麻疹や湿疹、呼吸困難、咳、喘鳴、嘔吐などの全身症状を呈することが特徴的です。発症頻度は乳幼児に多いものの、成人でも生じる場合があります。
治療は医師の診断のもとで「原因食材の除去」が第一です。勝手に自己判断で除去せず、医師に相談し最適な生活指導や必要に応じた緊急薬(抗ヒスタミン薬等)を準備する事が重要です。全身症状や強い反応があれば、早急にアレルギー科または内科・小児科を受診してください。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群は、ストレスや自律神経の乱れ、食生活の影響などで腸が過敏に反応し、慢性的に下痢や腹痛、便秘、ガス症状などが繰り返される病気です。乳製品や冷たい飲み物などの摂取が誘因となることもあります。治療は主に日常生活・食事内容の見直し、消化管の運動やストレスを改善する薬物療法が一般的です。症状が長引く場合や生活支障が大きい場合は、消化器内科や心療内科での相談を勧めます。

吸収不良症候群

吸収不良症候群は、小腸の機能障害によって栄養素が吸収されず、下痢や体重減少、腹部の膨満感、倦怠感、貧血などが現れる疾患群です。乳糖不耐症やセリアック病などもこの枠組みに含まれることがあります。治療は原因疾患ごとに異なりますが、不足する栄養素の補給や原因食材の除去がメインです。体重減少など中等度以上の場合は消化器内科受診が必須です。

慢性下痢

慢性下痢は、1ヶ月以上持続する下痢であり、特定の食材摂取でのみ起こる場合や、日常的に繰り返す場合もあります。腸の炎症、感染、機能障害、アレルギー、ストレス、薬剤性など様々な原因があります。乳製品摂取で問題が続く場合や、他の症状(体重減少、血便など)を伴う場合は軽視せず消化器内科受診を考えましょう。

「牛乳を飲んで下痢をしやすい」ときの正しい対処法は?

牛乳や乳製品を摂取した後に下痢や腹痛などの症状が出た場合は、まず無理に我慢して飲み続けず、一度摂取を控えて安静にしましょう。症状が軽い場合は水分補給で体力の消耗を防ぐことが大切です。乳糖不耐症が疑われる場合、乳糖フリーの製品やヨーグルト・チーズなど乳糖含有量が少ない乳製品への切り替えが有効で、少量ずつ試しながら自身の体質を確かめていくのがポイントです。また温めて飲むことで腸への刺激を抑え、症状の改善が期待できることもあります。
症状が繰り返し起こる場合や、牛乳を控えても下痢が改善しない場合、また強い腹痛・血便・体重減少がみられるときは、消化器内科など専門医の受診をおすすめします。牛乳や乳製品を摂取するたびに毎回同じような症状が出る場合は、乳糖不耐症やアレルギー体質の可能性が高いですが、皮膚や呼吸器症状をともなうときはアレルギーも疑われますので速やかに医療機関へ相談してください。

「牛乳を飲んで下痢をする」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「牛乳を飲んで下痢をする」症状についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

牛乳を飲んで下痢になった場合の対処法を教えてください。

関口 雅則医師関口 雅則医師

まずは牛乳や乳製品の摂取を中止し、安静にして水分をしっかり補給してください。症状が軽い場合は様子を見ますが、腹痛や下痢が長く続くときや、嘔吐・血便・脱水症状がある場合は速やかに受診を検討しましょう。

牛乳が原因で下痢になった場合、何時間後に症状は出ますか?

関口 雅則医師関口 雅則医師

乳糖不耐症や牛乳アレルギーでは、牛乳摂取後およそ30分~2時間以内に下痢・腹部膨満感・腹痛などの症状が出ることが一般的ですが、体質や摂取量によっても変化します。

日本人で牛乳を飲んでお腹を壊す人は何%の割合でいるのでしょうか?

関口 雅則医師関口 雅則医師

日本人成人の約70~90%がラクターゼ活性の低下、つまり乳糖不耐症の体質を持っているとされています。ただ症状が表れる割合はやや低めで、25%前後の成人が実際に症状を自覚したとの報告もあります。

乳糖不耐症が原因で下痢をした場合、どのように対応すれば良いでしょうか?

関口 雅則医師関口 雅則医師

乳糖を多く含む牛乳や乳製品の摂取を控え、乳糖分解酵素を含むサプリメントや、乳糖分解済みの牛乳、ヨーグルト・チーズなどへの切り替えが有効です。経過観察のうえで症状が改善しない場合や生活に支障があるときは、消化器内科で相談するとよいでしょう。

お腹が弱い体質の場合、牛乳は控えたほうがよいのでしょうか?

関口 雅則医師関口 雅則医師

お腹が弱い、もしくは繰り返し下痢症状が出る方は、無理に牛乳や乳製品を摂ることは控えるのが安心です。体質に合った量や製品を見極める、もしくは他の食品から必要な栄養素を補うことも十分可能ですので、不安な場合は医師や管理栄養士に相談するとよいでしょう。

まとめ 牛乳を飲んで下痢した時は体質を見極め正しく対処

今回の記事では、牛乳を飲むとなぜ下痢が起こるのか、また、何時間後くらいに症状が出やすいのかについて解説しました。
牛乳を飲んだ後に下痢やお腹の不調が起こる場合、それは「乳糖不耐症」や「牛乳アレルギー」など、一人ひとりの体質や消化機能、免疫反応が原因であることが多いと考えられます。不快な症状が繰り返し出る場合は、無理に飲み続けたり我慢したりせず、まず一度摂取を控え、自身の体質を見極めることが重要です。

乳糖不耐症の場合、乳糖を含む食品や冷たい牛乳を避ける、摂取する量を減らす、温めて少しずつ飲む、乳糖分解酵素入り製品やヨーグルト・チーズなど乳糖の少ない乳製品を選ぶなどの工夫で多くの方が改善を実感できます。
一方、皮膚症状・呼吸症状を伴う場合や、下痢以外の強い不調が出る場合は牛乳アレルギーの可能性もあるため、必ず医療機関に相談してください。

牛乳はカルシウムや良質なたんぱく質を含む健康的な飲み物ですが、合わないときは他の食品で栄養を補うことも十分可能です。繰り返す下痢や体調不良がある場合は遠慮なく専門医の診断を受け、自分に合った取り入れ方や注意点を知るようにしましょう。

「牛乳を飲んで下痢をする」症状で考えられる病気

「牛乳を飲んで下痢をする」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

消化器系の病気

  • 乳糖不耐症
  • 牛乳アレルギー.乳製品アレルギー.過敏性腸症候群.吸収不良症候群.慢性下痢

その他の病気

  • 胃腸炎後の二次性乳糖不耐症
  • 食物不耐症やアレルギー性胃腸炎

「牛乳による下痢」と一言で言っても、その背景には体質・消化酵素の減弱・アレルギー・腸や胃の病気など多様な要因があります。症状が繰り返す、人と同じ量で異なる症状が出る、他の食品でも不調が出る場合は、必ず消化器内科やアレルギー科で適切な診断・対処を受けるようにしましょう。

この記事の監修医師