「右脇腹肋骨の下が痛い」原因はご存知ですか?正しい対処法も医師が解説!
右脇腹肋骨の下が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
伊藤 陽子(医師)
「右脇腹肋骨の下が痛い」原因と対処法
右脇腹肋骨の下が痛い時は、いろいろな病気が考えられます。右脇腹肋骨の下にある臓器は、肝臓、胆のう、大腸などです。また、少し背部には右の腎臓や膵臓があります。また、少し下部には右の卵巣などもあるため、これらの臓器に病気が発生すると痛みが起こることが考えられます。
右脇腹肋骨の下が痛い原因と対処法
右脇腹肋骨の下が痛むときに、どのような病気が考えられるでしょうか?考えられる病気について解説します。
- ・消化器系:胆嚢炎、胆石症、膵炎、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、大腸憩室炎など
- ・泌尿器系:尿路結石など
- ・婦人科系:卵巣腫瘍、卵巣出血、卵巣茎捻転、クラミジア感染に伴う骨盤周囲炎など
- ・神経系:帯状疱疹など
- ・整形外科系:肋軟骨炎、肋骨骨折、筋肉痛など
それぞれの病気により対処法は異なりますが、痛みが強い時や、発熱を伴う場合には医療機関を受診しましょう。何科かわからない場合にはまず内科を受診すると良いでしょう。
ご飯を食べ過ぎると右脇腹肋骨の下が痛い原因と対処法
脂っぽい食事を食べすぎた後に右脇腹肋骨の下が痛む場合、胆石症の可能性が考えられます。胆石症では右肋骨の下やみぞおちの差し込むような痛みがみられます。この痛みは食後少ししてから症状が出ることが多いです。通常は腸管内に排泄される胆汁が、胆石によりせき止められることで症状が起こります。胆石で完全に胆汁の流れがせき止められると黄疸をきたしたり、吐き気や嘔吐がみられたり、細菌感染を起こすと高い熱が出ることもあります。黄疸や発熱がみられる場合には、早急に消化器内科を受診しましょう。
食後に右脇腹肋骨の下が痛い原因と対処法
食後に右脇腹肋骨の下が痛む場合、胆石症が最も考えられます。胆のうで生じた胆石が胆汁の流れに乗って動き、胆汁の流れをせき止めてしまうことで痛みが起こります。胆汁は脂肪の消化に関与しており、一旦胆のうにためられて濃縮されます。その後脂肪を含む食物が十二指腸を通過する際に、胆のうが収縮して胆汁が腸管に排出され消化を促します。そのため、胆石症では、脂っぽい食べ物を食べた後に痛みが出ることが多いです。胆石症は症状が無ければ経過をみますが、たびたび痛みなどの症状が生じる場合には手術を行います。胆嚢炎や胆管炎の原因となることもあり注意が必要です。
背中と右脇腹肋骨の下が痛い原因と対処法
背中と右脇腹肋骨の下が痛い場合、考えられる病気として膵炎が考えられます。アルコールや胆石が原因として起こる急性膵炎では、痛みの他に嘔吐、発熱なども起こります。また、重症化するとショック状態となることもあり注意が必要です。
慢性膵炎は男性では飲酒、女性では特発性が多くみられます。治療は禁酒、禁煙を行い腹痛に対して内服治療を行います。
また、このほかに尿路結石も背中や右脇腹肋骨の痛みが起こる可能性があります。腎臓で生じた結石が尿の流れに乗って尿管を下り、その途中で尿管に引っ掛かり痛みを生じさせます。尿管結石の場合には水分を多く摂り、痛み止めを内服して保存的に経過を見ることも多いですが、痛みが強い場合には泌尿器科を受診して相談するのが良いでしょう。
咳をすると右脇腹肋骨の下が痛い原因と対処法
咳をすると右脇腹肋骨の下が痛い場合、肋軟骨炎や肋骨骨折の可能性が考えられます。また、胸膜炎や胆嚢炎などの病気でも症状が強い時には咳をしたり深呼吸をすると、痛みが響くこともあります。肋軟骨炎や肋骨骨折では、痛み止めを内服して、保存的に経過を見ることが多いですが、他の痛みの可能性を鑑別する必要があります。痛みが強い場合には、内科もしくは整形外科で相談をしてみましょう。
すぐに病院へ行くべき「右脇腹肋骨の下が痛い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
発熱を伴う症状の場合は、消化器内科へ
右脇腹肋骨の下が痛い症状とともに発熱を伴う場合には注意が必要です。胆嚢炎や胆管炎、急性膵炎、憩室炎など重症化する病気の可能性が考えられます。発熱を伴う痛みの場合には消化器内科を受診しましょう。
受診・予防の目安となる「右脇腹肋骨の下が痛い」のセルフチェック法
- ・黄疸の症状がある場合
- ・持続する嘔吐の症状がある場合
- ・発熱の症状がある場合
- ・強い痛みの症状がある場合
「右脇腹肋骨の下が痛い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「右脇腹肋骨の下が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
胆のう炎、胆石症
胆のうが急に炎症を起こした状態が急性胆のう炎です。急性胆嚢炎の原因の約9割が胆石症です。急性胆嚢炎を起こすと、みぞおちから右脇腹にかけて痛みが起こります。また、炎症が強い場合には発熱がみられます。胆石症による胆石発作でも腹痛が一時的に起こることはありますが、多くは一時的です。しかし、胆のう炎では症状がしばらく持続します。軽い胆嚢炎では、抗生剤による治療で改善しますが、症状が強い場合には入院が必要となることもあります。また、場合により手術をしなければなりません。急な右脇腹の痛みと発熱を伴う場合には早めに消化器内科を受診しましょう。
尿路結石
尿路結石とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道の尿路に結石がみられる病気です。尿路に結石がつかえてしまい、尿の流れが悪くなるとこの部位での痛みが起こります。右腎臓であれば右背部に痛みが起こります。痛みは激痛であることが多いです。鎮痛剤で痛みを緩和し、水分を多く摂り排石を促しますが、石が自然に排石しない場合には体外衝撃波結石破砕術、経尿道的砕石術、経皮的砕石術などの手術療法を行います。背部中心の痛みや血尿を認めた場合には泌尿器科を受診しましょう。
憩室炎
憩室とは腸の壁の一部が外側へ袋状に飛びだしたものです。この憩室に炎症が起こったものが憩室炎です。症状は、腹痛や発熱、下痢などです。腹痛の場所は憩室炎を起こしている部位により異なります。右側の大腸に憩室炎を起こした場合には右側部を中心に痛みが起こります。多くは抗生剤を内服して安静にすると改善しますが、繰り返す場合もあり注意が必要です。腹痛が起こり、憩室炎を疑う場合には、消化器内科を受診しましょう。
帯状疱疹
水ぼうそうを発症した際に皮膚で出た発疹から神経をつたって後根神経節内に水痘・帯状疱疹ウイルス(HZV)が潜伏すると言われています。このウイルスが加齢やストレスなどで免疫が低下したときに再活性化して発症するのが帯状疱疹です。この時に神経に沿って痛みを伴う赤い発疹、水疱がみられます。水疱がみられる前に痛みの症状が先に起こることが多く、どの部位でも起こり得ます。痛みに続き水疱がみられる場合には帯状疱疹の可能性があります。皮膚症状が改善した後にも、神経痛が持続する場合もあり、早めに皮膚科を受診して適切な治療を受けることが大切です。50歳以降では帯状疱疹を予防するためのワクチン接種を検討することもできます。ワクチンについては、皮膚科や内科で相談してみましょう。
フィッツヒュー・カーティス症候群
フィッツヒュー・カーティス症候群は、骨盤内感染症に肝周囲炎を合併する症候群です。原因菌はクラミジアが多く、淋菌でもみられることがあります。クラミジア感染症は性感染症の中で増加しており、フィッツヒュー・カーティス症候群は若い女性の急性腹症の原因の一つです。症状は下腹部痛や右季肋部痛が起こることが多く、発熱や採血で炎症反応を認めます。症状が他の病気と区別がつかず、なかなか診断がつきづらいです。腹痛以外におりもの(帯下)の増加や不正性器出血がみられることもあります。右脇腹の痛みが持続する場合は早めに医療機関を受診しましょう。この病気を疑う場合には、婦人科で相談をしましょう。
卵巣腫瘍茎捻転
卵巣腫瘍は一般的に小さいものは症状がないことが多いです。しかし、卵巣腫瘍は直径が20cm以上と巨大になることもあります。腫瘍が大きくなると膀胱や直腸を圧迫して頻尿や便秘が起こります。また、卵巣腫瘍の付け根の部分がねじれることで卵巣腫瘍茎捻転を起こし、激しい痛みが起こるため注意が必要です。このように茎捻転を起こした場合には、緊急手術を要することもあります。
異所性妊娠(子宮外妊娠)
異所性妊娠とは、受精卵が子宮内膜以外の場所に着床することを言います。卵管や卵巣、腹腔などで着床する場合がありますが、最も頻度が高いものは卵管妊娠です。卵管妊娠は異所性妊娠の95%程度を占めます。異所性妊娠でも妊娠が成立しているため無月経となります。しかし、不正出血をきたすことがあり、これを月経と勘違いして気が付かない方も少なくありません。つわりのような吐き気が出ることもあります。卵管などの弱い部位では妊娠の進行により破裂が起こり、腹腔内に大量に出血をきたし命の危険がある場合もあるため非常に危険です。妊娠の可能性がある場合、婦人科で診察を受け正常な妊娠かを確認しましょう。
「右脇腹肋骨の下が痛い」症状の正しい対処法は?
右脇腹肋骨の下が痛い場合、さまざまな病気が考えられます。胆嚢炎や膵炎、尿路結石など痛みの症状のみでは区別がつきづらいです。1、2回鎮痛剤を内服して様子を見ても良いですが、症状が持続する場合には内科・消化器内科を受診しましょう。また、黄疸や発熱、吐き気の症状、痛みが強い場合には早めの受診をお勧めします。
また、強い痛みでなくとも症状が持続する場合には内科で相談をしてみましょう。
「右脇腹肋骨の下が痛い」ときに飲んでも良い市販薬は?
右脇腹肋骨の下が痛い場合、すぐに病院に行けなくて痛みが強い時には市販の消炎鎮痛剤を1、2回内服しても良いです。しかし、痛み止めでも症状が良くならないような強い痛みや、症状が持続する場合には必ず医療機関を受診しましょう。
右脇腹肋骨の下が痛い」症状についてよくある質
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「右脇腹肋骨の下が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
右脇腹肋骨の下にある臓器を教えてください。
伊藤 陽子(医師)
右脇腹肋骨の下にある臓器は、肝臓、胆のう、大腸などです。やや背部に右の腎臓、膵臓もあります。
右脇腹肋骨の下が痛いのはストレスが原因ですか?
伊藤 陽子(医師)
ストレスが原因となり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍をきたす場合にもみぞおちから右脇腹の痛みが出ることもあります。また、ストレスなどで体調が悪い時に帯状疱疹を発症することもあります。ストレスのみが原因となるわけではありませんが、ストレスに伴う病気の可能性もあります。
右脇腹肋骨の下がズキズキと痛む原因を教えてください。
伊藤 陽子(医師)
右脇腹肋骨の下が痛む場合、胆嚢炎、胆石症、帯状疱疹、尿路結石などの原因が考えられます。また、女性の場合卵巣腫瘍茎捻転やフィッツヒュー・カーティス症候群などの可能性もあります。症状のみでは原因の区別がつきません。医療機関を受診しましょう。
右脇腹肋骨の下が痛い時、何科を受診すればいいのでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
右脇腹肋骨の下が痛むときには、さまざまな病気が考えられます。病気により専門の診療科が異なりますが、多くの場合は消化器疾患が原因であるため内科・消化器内科をまず受診することがお勧めです。
まとめ 右脇腹肋骨の下が痛む場合、重大な病気の可能性も。
右脇腹肋骨の下が痛む場合、さまざまな病気の可能性があり、一つの病気には絞れません。痛み以外にどのような症状があるかにより受診すべき診療科が異なります。吐き気や黄疸が認めれば消化器内科、血尿があれば泌尿器科、女性で妊娠の可能性がある場合や帯下などの異常や不正出血を伴う場合には婦人科を受診することを検討しましょう。発熱や黄疸、強い痛みがある場合には早急に受診することをお勧めします。中には重大な病気もあり、命の危険を伴う場合もあります。早めに医療機関で相談しましょう。
「右脇腹肋骨の下が痛い」で考えられる病気
「右脇腹肋骨の下が痛い」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
消化器科の病気
- 胆石・胆のう炎
- 膵炎
- 胃・十二指腸潰瘍
- 憩室炎
泌尿器科の病気
婦人科の病気
- 異所性妊娠
- 卵巣腫瘍茎捻転
- フィッツヒュー・カーティス症候群
右脇腹肋骨の下が痛いというだけでは病気が絞り切れません。痛みが強い時、痛みが持続する時、発熱や黄疸などほかの症状を伴う時には医療機関を受診して相談しましょう。
「右脇腹肋骨の下が痛い」に似ている症状・関連する症状
「右脇腹肋骨の下が痛い」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
右脇腹の痛み以外にも上記の様な症状が伴う場合には注意が必要です。痛みが強い、発熱、黄疸などの症状が伴う場合には早めに消化器内科を受診しましょう。