『食べても食べてもお腹が空く』時の原因・対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!
食べても食べてもお腹が空くのを治すには?Medical DOC監修医が対処法や考えられる原因・病気・何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
「食べても食べてもお腹が空く」症状で考えられる病気と対処法
普段の生活で食べても食べても空腹感を感じることはありませんか。
今回は、いくら食べてもお腹が空く症状で考えられる病気とその対処法を中心に解説していきます。
食べても食べてもお腹が空く症状で考えられる原因と対処法
食べても食べてもお腹が空く症状で考えられる原因疾患として、「糖尿病」が挙げられます。
日本では1,000万人ほどが糖尿病に罹患していると推定されており、生活習慣病とも関連していると言われている注意すべき病気のひとつです。
糖尿病にはいくつかのタイプがあり、免疫の異常による1型糖尿病を予防する方法は現時点では残念ながら存在しません。
一方で、生活習慣が関わっている2型糖尿病や妊娠糖尿病は問題となる生活を改善することで発症や悪化をある程度事前に予防することができます。
これらのことを踏まえて、普段から規則正しい食生活、運動を心がけて、生活スタイルに注意するようにしましょう。
心配であれば、糖尿病内科など専門医療機関を受診して相談しましょう。
中学生や高校生で食べても食べてもお腹が空く症状で考えられる主な原因と対処法
中学生や高校生で食べても食べてもお腹が空く症状で考えられる原因として、「睡眠不足」が挙げられます。
日本人、特に子供たちや就労者の睡眠時間は世界で最も短いと言われています。
慢性的な睡眠不足は体内のホルモン分泌や自律神経機能にも大きな影響を及ぼすことが知られており、それはメタボリックシンドロームなどを含めて生活習慣病の発症につながります。
一般的に、睡眠不足になると食欲を抑えるホルモン(レプチン)の分泌は減少し、食欲を高めるホルモン(グレリン)の分泌が亢進するため、食欲が増大することが分かっています。
中学生や高校生が夜更かしする日が続くと、食べても食べてもお腹が空いて、ついつい無意識に食べてしまうということが見受けられます。
睡眠不足の症状があって、心配であれば、心療内科・精神科など専門医療機関を受診して相談しましょう。
女性で食べても食べてもお腹が空く症状で考えられる主な原因と対処法
女性で食べても食べてもお腹が空く症状で考えられる原因として、「エモーショナルイーティング」が挙げられます。
「エモーショナルイーティング」は自分の心身を満たすための食事ではなく、心を一時的に慰める食事であり、食べる行為は手軽にストレスを解消できるため、エモーショナルイーティングを繰り返してしまいがちです。
「ストレス食い」をしてもストレスが解消されず、大量に食べることで悲しさ、怒り、孤独などの感情やストレスの解消になっている「エモーショナルイーティング」が継続する際には、一定の注意を払うことが重要です。
「エモーショナルイーティング」は習慣化すると、自分ではコントロールができなくなって症状が悪化する場合もあるため、心配であれば心療内科・精神科など専門医療機関を受診することをお勧めします。
生理前や生理中に食べても食べてもお腹が空く症状で考えられる主な原因と対処法
生理前や生理中に食べても食べてもお腹が空く症状で考えられる原因として、「女性ホルモンの変動」が挙げられます。
食べてもお腹が空いて食欲が増す主な原因のひとつとして、月経前や月経中における女性ホルモンの変動だと考えられています。
生理前にはプロゲステロンというホルモンが高まり、それが食欲を増加させ、むくみや眠気を起こします。また生理中は女性の元気の源であるエストロゲンの分泌が最も少ない時期のため、活力が湧かずに、それをカバーするように食欲が相対的に増加している可能性も考えられます。
心配であれば、産婦人科など専門医療機関を受診して相談してみましょう。
妊娠中に食べても食べてもお腹が空く症状で考えられる原因と対処法
妊娠中に食べても食べてもお腹が空く症状で考えられる原因として、「妊娠糖尿病」が挙げられます。
妊娠糖尿病という病気は普段聞き慣れない疾患かもしれませんが、「妊娠中に初めて診断された糖代謝異常」のことを指します。
妊娠糖尿病とよく類似していて異なる病気として、妊娠前から糖尿病と診断されている方が妊娠した場合には、糖尿病合併妊娠と呼んでおります。
日本産科婦人科学会によると、統計学的に妊婦さん全体の約10%程度は妊娠糖尿病と診断されると伝えられています。
妊娠糖尿病を放置すれば、妊娠中に食べてもすぐにお腹が空いて血糖値異常が起こり、母体のみならず胎児にも悪い影響が出現しやすいと言われており、こまめに妊婦健診を定期的にチェックしてもらうことが重要な視点となります。
心配であれば、産婦人科など専門医療機関を受診して相談しましょう。
すぐに病院へ行くべき「食べても食べてもお腹が空く」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
やけ食い症状がある場合は、心療内・精神科へ
食べてもお腹が空く症状以外にも、やけ食いや大食いの傾向がある際には、「エモーショナルイーティング」を発症している可能性があります。
この病気は、自分の栄養状態を満たすための食事摂取ではなく、心を一時的に慰める一種の行為であり、手軽にストレスを解消できる方法となるため、知らず知らずのうちに症状を繰り返して引き起こしてしまいがちです。
心配であれば、心療内科・精神科など専門医療機関を受診して相談しましょう。
受診・予防の目安となる「食べても食べてもお腹が空く」ときのセルフチェック法
- ・食べても食べてもお腹が空く以外に不眠症状がある場合
- ・食べても食べてもお腹が空く以外にむくみ症状がある場合
- ・食べても食べてもお腹が空く以外に肥満症状がある場合
「食べても食べてもお腹が空く」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「食べても食べてもお腹が空く」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
糖尿病
糖尿病は現代の疫病ともいわれ、糖尿病予備軍まで含めると全人口のおおむね30%程度が発症していると考えられています。
糖尿病とは、血糖値(血液中に含まれるブドウ糖)が慢性的に高くなる病気を指します。
初期段階では、多くの人は自覚症状がないとされていますが、中には糖尿病を発症すると、喉の渇き、尿量の増加、倦怠感、あるいは食べても食べてもお腹が空いて体重が減少するなどの兆候が現れるケースもあります。
糖尿病は、治療の継続により良好な血糖コントロールさえ適切にできていれば、普通の人と変わらない健康な生活を送ることができます。
糖尿病の治療には周囲の病気や治療への正しい理解やサポートが得られる環境づくりも重要な視点となりますので、気になる症状がある際には糖尿病内科など専門医療機関を受診して相談しましょう。
睡眠不足
平均的に一日の睡眠時間が4時間前後の人は、満腹中枢に働くレプチンという脂肪細胞から分泌される物質の分泌が少なくなり、空腹感を強くするグレリンという胃壁細胞から分泌される物質の分泌が多くなるため、食べても食べても空腹を感じやすいと言われています。
食事をしても、満腹感を感じにくいためについつい食べ過ぎてしまう傾向が見受けられます。
睡眠不足自体はそれ以外にも、ストレスを感じやすくなって暴飲暴食に走りがちになる、活動量が減り代謝も低下して太りやすくなる、などのリスク要因をたくさん含んでいます。
規則正しい生活を送ることを意識しながら、睡眠不足のうえで気になる症状があれば、心療内科・精神科など専門医療機関を受診して相談しましょう。
食事の組み合わせ
食後2時間ぐらいで食べてもお腹が空いて空腹感を感じるという人は、食べているものの組み合わせに原因があるかも知れません。
食後すぐにお腹が空いてしまうのは、血糖値が急降下するためであり、特に糖質の多い食事は血糖値が急上昇して、その後一気に下がり、脳が「空腹になった」と判断し、強い空腹感を感じてしまうことに繋がります。
例えば、ラーメンとライス、うどんといなり寿司など炭水化物の重ね食いは、食後直ぐに空腹感を感じやすく、高血糖につながる可能性が大きいと考えられますので、お勧めできません。
また、「高カロリー」「高脂質」「高塩分」の代表例であるジャンクフードは、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素が不足傾向になりますので、血糖値が急上昇、あるいは急降下しやすく、噛む回数も少なくてすむため満腹感を得られるのが遅く、つい食べ過ぎてしまいます。
普段から食事内容を見直してみましょう。
「食べても食べてもお腹が空く」の正しい対処法は?
睡眠不足で食べても食べてもお腹が空く場合には、寝る前に、刺激物の摂取は避けて、夕方以降のカフェイン飲料(コーヒー、紅茶、緑茶など)を控えましょう。
そして、軽い読書、静かな音楽、40℃くらいのぬるめの入浴、アロマテラピー、軽いストレッチなどで心身をリラックスさせましょう。
また、寝る前の飲酒は中途覚醒を増やして、一時的に寝つきはよくなっても、夜中に目を覚ましやすくなったり、眠りが浅い状態になったりしますので回避しましょう。
日々の生活において、毎日決まった時間に朝に起床することで、体に一定の睡眠と覚醒のリズムが身に付いて、自然に早寝早起きへの習慣へとつながります。
日々の生活の中で睡眠時間はともすれば犠牲になりがちですが、睡眠障害を放置すると健康を大きく害してしまいますので、心配であれば睡眠専門医や心療内科医に相談してみましょう。
また、妊娠糖尿病を発症した妊婦さんは産後に糖尿病が改善したとしても、その先にインスリン抵抗性を主病態とする2型糖尿病を発症する可能性があるために出産後も食事や運動などの生活習慣スタイルに注意すべきであると考えられています。
食べても食べてもお腹が空く症状を早く治したい時やセルフケアを実施しても症状が収まらない場合は、出来るだけ早く専門医療機関を受診して相談しましょう。
「食べても食べてもお腹が空く」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「食べても食べてもお腹が空く」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
食後すぐに空腹を感じるのですがなぜなのでしょうか?
甲斐沼 孟(医師)
食後直ぐに空腹感を感じる原因の一つは、日々の食事内容の悪い組み合わせが考えられます。炭水化物やジャンクフードを重複して摂取すれば、満腹感を得られにくいとも言われていますので、食事メニューに留意しておきましょう。
食べても食べてもお腹が空くときにおすすめの食事はありますか?
甲斐沼 孟(医師)
たんぱく質豊富な豆類など高たんぱく質で低糖質、さらに食物繊維を多く含む食品は満腹感が長続きしますし、摂取量に対してカロリーが低いのでお勧めできます。
食べても食べてもお腹が空くのですが我慢する方法はありますか?
甲斐沼 孟(医師)
食べてもどうしてもお腹が空く場合には、一時的に軽めの運動やストレッチを行うことによって、空腹ホルモンを抑えて、食欲を抑えて我慢することができます。
食べても食べてもお腹が空くのはストレスが原因でしょうか?
甲斐沼 孟(医師)
ストレスが原因となっている可能性はあります。ストレスが溜まると、神経物質の「ノルアドレナリン」が増加して、自然と食欲が増加して食べても食べてもお腹が空くと考えられています。自分なりにストレス発散できる方法を探してみましょう。
まとめ 食べても食べてもお腹が空くときはエモーショナルイーティングなどの可能性あり
日々の生活で、食べてもお腹が空く症状が続く、あるいはお腹がいっぱいになったはずなのにどうしても食べてしまうという経験をしたことがある場合には、もしかするとエモーショナルイーティングになっているかもしれません。
それ以外にも、妊娠に伴う糖尿病、月経前後や月経中の女性ホルモンの変動、慢性的な睡眠不足、あるいは食事内容の悪い組み合わせなどが影響して食べてもお腹が空く症状が出現している可能性も考えられます。
セルフケアを実施して、症状が長引く際には専門医療機関を受診して相談しましょう。
今回の情報が参考になれば幸いです。
「食べても食べてもお腹が空く」症状で考えられる病気
「食べても食べてもお腹が空く」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
糖尿病内科の病気
心療内科の病気
- エモーショナルイーティング
- 睡眠不足
産婦人科の病気
- 女性ホルモンの変動
- 妊娠糖尿病
「食べても食べてもお腹が空く」場合、糖尿病以外にも心療内科の病気や産婦人科の病気が原因になっている場合もあります。生活習慣の乱れや睡眠不足に対してのセルフケアを行っても症状が改善しない場合は、これらの疾患の可能性が考えられますので、一度医療機関を受診してください。
「食べても食べてもお腹が空く」に似ている症状・関連する症状
「食べても食べてもお腹が空く」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 不眠になる
- 身体がむくむ
- 肥満になる
「食べても食べてもお腹がすく」症状以外に、上記の症状が見られる際にも「糖尿病」「睡眠不足」「女性ホルモンの変動」などの可能性が考えられます。症状を複数認める場合は、一度医療機関を受診してみましょう。
・産科編2020(産婦人科診療ガイドライン)