「無月経」の原因・放置するリスクはご存知ですか?医師が監修!

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監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)
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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。
無月経とは

- 思春期以前
- 妊娠中
- 授乳中
- 閉経後
無月経の種類

原発性無月経
原発性無月経とは、18歳以上となっても月経が一度も来ない状態のことです。この病気が発生する頻度としては、0.3~0.5%といわれており、非常に稀です。98%の女性が15歳までに初めての月経を迎えるといわれています。そのため、18歳を過ぎるまで待つのではなく、16歳を過ぎても月経が来ない場合には、一度婦人科に相談した方が良いといわれています。続発性無月経
続発性無月経とは、これまでは来ていた月経が、妊娠以外の理由で3カ月以上止まっている状態です。先述した原発性タイプよりも、発生率が高い点が特徴に挙げられます。これは、女性ホルモンのバランスが崩れることで発症する可能性があるためです。また、幅広い年齢の女性で発症します。無月経の症状

- 思春期の遅れ
- 男性的な特徴が表れる
- 視覚障害
- 性欲の低下
- 妊娠が難しくなる
その他にもホルモンバランスの乱れから性欲低下、脳腫瘍が原因の場合視覚障害などを引き起こす可能性があります。(脳腫瘍→ホルモン乱れ→無月経。脳腫瘍による視神経の圧迫によって視覚障害出ることがあります) さらに、この病気の女性のほとんどのケースで排卵が行われていないため、妊娠も難しいです。
無月経の原因

ストレス
原因の1つとして考えられるのがストレスです。疲労などの精神的なストレスから、視床下部機能不全を引き起こしてこの病気を発症してしまいます。続発性の代表的な原因であり、さまざまな要因からストレスを感じていることで発症すると考えられています。無理なダイエット
無理なダイエットも原因の1つです。急激なダイエットなどを行うと、激しい体重の増減がおきてストレスがかかり、ホルモンバランスが崩れてしまいます。また、身体に必要な栄養が摂取できないこともホルモンバランスを崩す要因です。過度な運動
過度な運動も原因の1つに挙げられます。これは、過度な運動を続けると女性ホルモンの分泌をなくしてしまうためです。主に続発性タイプと関係が深く、運動量の多い競技選手などに見られます。特に低体重の維持が必要な若い世代のスポーツ選手が過度な運動に当てはまる傾向があり、視床下部の機能不全を起こして発症するケースが多いです。病気
病気も、無月経を引き起こす原因です。原発性タイプを引き起こす病気としては、次のようなものが考えられます。- 遺伝性疾患
- 生殖器の先天異常
生殖器の先天異常は、経血の流れを妨げることがあるため、この病気を引き起こします。続発性タイプを引き起こす病気としては、次のようなものが挙げられます。
- 精神障害
- 多嚢胞性卵巣症候群
- 早発閉経
- 下垂体や甲状腺の機能不全を引き起こす病気
40歳未満で卵巣機能が低下する早発閉経も病気に挙げられます。下垂体や甲状腺の機能不全を引き起こす病気とは、下垂体腫瘍や甲状腺機能低下症などです。このように、さまざまな病気からも無月経を引き起こすケースがあるため、異変を感じた場合には早期に医師への相談が大切です。
無月経の治療方法

この治療でも二次性徴が見込めないようであれば、医師が状態を確認しながら、その時々の症状に合わせた治療を進めます。原因がその他の病気によるものであれば、その病気の改善を行いながら治療を進めることとなるでしょう。続発性の場合は、原因となる病気などの治療や改善を行います。
例えば、原因が無理なダイエットなどであれば食事指導やカウンセリングの対応、ストレスの場合はストレス解消に向けた取り組みなどの指導です。その他の病気が原因で無月経となっているのであれば、その病気を改善しながらホルモン投与などを組み合わせて治療します。この病気の治療方法は、1つだけで対応するのではなく、さまざまな治療方法を組み合わせて対応するのです。
無月経を放置するリスク

- 膣の乾燥
- 骨粗しょう症
- 将来的な不妊
そのため、ホルモンが低下する無月経を放置すると、骨粗しょう症のリスクも高まるのでしょう。さらに長期にわたってこの病気が続くと将来的に不妊にもつながるリスクがあります。
無月経を放置すると子宮内膜に異常細胞が出現し、子宮体がんを引き起こすリスクがあるのです。また、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが不足することで、動脈硬化につながる可能性もあります。こういったリスクを回避するためにも、医師に相談することが大切です。
すぐに病院に行った方が良い「無月経」症状は?
無月経だけでは緊急性はありませんが、妊娠している可能性がある場合、不妊で悩んでいる場合には、早めに病院受診を検討しましょう。行くならどの診療科が良い?
主な受診科目は、産婦人科です。 問診、診察、尿検査、妊娠反応検査、血液検査、経膣超音波検査、画像検査(CT、MRIなど)などが実施される可能性がます。病院を受診する際の注意点は?
持病があって内服している薬がある際には、医師へ申告しましょう。 いつから無月経であるのか、月経周期や妊娠・出産歴、他に症状はあるのかなどを医師へ伝えましょう。治療する場合の費用や注意事項は?
保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。まとめ

無月経症状の病気
関連する病気
- 処女膜閉鎖症
- 膣閉鎖・膣欠損症
- 膣中隔症(膣横中隔)
- 頚管閉鎖症
- 先天性子宮欠損症
- 結核性子宮内膜炎
- 幼児期Asherman症候群
- 純型性腺形成異常(46XO)
- Turner症候群
- 卵巣形成異常
- 原発性FSH不応症候群
- 真性半陰陽
- 仮性半陰陽
- 副腎性器症候群
- 精巣女性化症候群
- 視床下部性原発性無月経
- Kallmana症候群
- frohlich症候群
- Laurence-Moon-Biedl症候群
- 間脳性腫瘍
- 頭蓋咽頭腫
- 脳底動脈瘤
- Chiari−Frommel症候群
- Argonz−del−Castillo症候群
- 薬剤性(ドパミン拮抗薬、セロトニン増加薬など)
- 心因性
- 摂食障害
- GnRH欠損症
- Sheehan症候群
- 下垂体腫瘍
- 早発卵巣機能不全
- 多嚢胞性卵巣症候群
- 異所性ホルモン分泌腫瘍