「目の周りのかぶれ」の原因はご存知ですか?考えられる病気も医師が徹底解説!
目の周りのかぶれで、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
栗原 大智(医師)
「目の周りのかぶれ」の症状で考えられる病気と対処法
目の周りが突然かぶれて困った経験がある方は多いのではないでしょうか。
本来、人間の皮膚には細菌や刺激物といった異物が体内へ進入するのを阻むバリア機能が備わっています。しかし、目の周辺は皮膚が薄くバリア機能が弱いため、外部からの刺激を受け「かぶれ」といった症状が起こりがちです。
本記事では、なぜ目の周りはかぶれるのか、どのように対処すればよいのか解説していきます。
目の周りのかぶれの症状で考えられる原因と対処法
目の周りのかぶれがある時さまざまな病気が考えられます。目の周りのかぶれに加えてどんな症状があるかによって考える病気が変わります。例えば、まぶた(眼瞼)のかぶれが目立つ場合は「眼瞼皮膚炎」が考えられます。眼瞼皮膚炎の中でも細菌やウイルスに感染して生じる「感染性眼瞼皮膚炎」の場合は、かぶれだけでなく以下のような症状が見られます。
- 目の周りの腫れ
- まぶたのかゆみ
- まぶたの痛み
感染性眼瞼皮膚炎の原因となる細菌やウイルスはヘルペスウイルスや黄色ブドウ球菌などさまざまです。これらは珍しいものではなく、誰もが感染する可能性があります。原因となる細菌やウイルスに対する薬を使用した治療を行う必要があるので、眼科または皮膚科をご受診ください。
目の周りがかぶれて腫れている症状で考えられる原因と対処法
目の周辺の腫れや赤みは眼瞼皮膚炎だけでなく、麦粒腫や霰粒腫といった眼疾患でも起こる場合があります。
いわゆる「ものもらい」である麦粒腫は、初期ではまぶたの一部が赤く、その場所が痛いといった症状が見られ、進行するとまぶた全体が赤く腫れたり痛みが出たりします。
霰粒腫はまぶたにあるマイボーム腺と呼ばれる涙腺が詰まることで起こります。ステロイドの目薬や軟膏を使って小さくすることもあります。しかし、中には数ヶ月経っても治らないものもあり、注射や手術などによって治療する場合もあります。目の周りの腫れが長引いたり、痛みを伴ったりするようであれば眼科を受診しましょう。
目の周りがかぶれていてかゆい症状で考えられる原因と対処法
目の周りがかぶれて腫れている場合は、アレルギーによる眼瞼皮膚炎かもしれません。アレルギーによる眼瞼皮膚炎では、かぶれの他に目の周辺のかゆみや腫れ、赤みが見られます。
原因となるアレルギー物質の例は以下のとおりです。
- 洗剤や化粧品などの日用品
- 目薬や湿布などの医薬品
- 花粉やハウスダスト、ダニ
上記はほんの一例で、日常に存在するあらゆるものが原因となります。患部を冷やしたり、水で洗い流したりすると症状が和らぐこともありますが、それは一時的なものにすぎません。また、目薬や軟膏で症状が抑えられる場合もあります。根本的な解決を図る場合は皮膚科で「パッチテスト」という検査を受け、アレルギー反応の原因物質を特定します。原因物質を取り除くことで、症状が軽くなることがあります。症状がたびたび起こるようであれば、医療機関の受診を検討しましょう。
目の周りがかぶれていて赤い症状で考えられる原因と対処法
目の周りがかぶれて赤くなる病気は、前述の眼瞼炎でも見られる症状ですが、水膨れのようになっている場合は眼部帯状疱疹の可能性があります。眼瞼皮膚炎と同様にまぶたの腫れが見られますが、その症状が出る前にピリピリとした痛みが出ることが特徴的です。
帯状疱疹が目の周辺に発症すると、角膜炎や網膜炎といった合併症のほか、視力低下のおそれもあるので、できるだけ早めに眼科と皮膚科を受診しましょう。
目の周りのかぶれが繰り返す症状で考えられる原因と対処法
目の周りのかぶれを繰り返す場合は、アトピー性皮膚炎(特にアトピー性眼瞼炎)の可能性があります。まぶたはアトピー性皮膚炎の好発部位の一つであり、皮膚が赤くなったり、かゆみを伴うブツブツとした隆起が見られたりするのが特徴です。
アトピー性眼瞼炎が悪化すると皮膚の症状にとどまらず、白内障や網膜剥離といった目の内部に合併症が起こるおそれがあります。また、ステロイド軟膏などによって炎症を抑える治療が一般的ですが、眼圧が上昇する副作用も懸念されるため、眼科および皮膚科の定期受診をしましょう。
すぐに病院へ行くべき「目の周りのかぶれ」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
腫れや痛みを伴う場合は、眼科へ
目の周辺のかぶれだけでなく、腫れや痛みを伴う場合は、原因を特定して適切な治療が必要です。早めに医療機関をご受診ください。目の周りの症状の場合、皮膚トラブルであれば皮膚科で相談できますが、目の中に異常がないかもチェックが必要なケースもあるので眼科受診をお勧めします。
受診・予防の目安となる「目の周りのかぶれ」のセルフチェック法
- 目の周りのかぶれ以外にかゆみを伴う場合
- 目の周りのかぶれ以外に赤みが見られる場合
- 目の周りのかぶれ以外に腫れている場合
- 目の周りのかぶれ以外に痛みを伴う場合
- 目の周りのかぶれの症状を繰り返す場合
- 目の周りのかぶれの症状が長引く場合
「目の周りのかぶれ」の症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「目の周りのかぶれ」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎とは、花粉やハウスダスト、ペットの毛などが原因となって結膜がアレルギー反応を起こす病気です。具体的には以下のような症状が見られます。
- 目やまぶたのかゆみ
- 目の充血
- 白目がブヨブヨする(結膜浮腫)
アレルギー性結膜炎は洗眼や花粉防止用メガネを装着するといったセルフケアも可能ですが、症状が続く場合はアレルギー症状を抑える目薬で治療する必要があるので、眼科を受診しましょう。
眼瞼炎
眼瞼炎とは、まぶたに起こる炎症の総称であり、発症する部位によって以下の呼び名があります。
- まぶたの皮膚に発症:眼瞼皮膚炎
- まぶたの縁(まつげの付け根)に発症:前部眼瞼炎
- まつ毛の付け根よりも内側(マイボーム腺)に発症:後部眼瞼炎
原因は細菌やウイルスの感染やアレルギー反応などさまざまですが、発赤や腫れ、疼痛などが生じます。前述の霰粒腫は後部眼瞼炎のひとつです。
眼瞼炎は目薬や軟膏などといった症状に対応した治療が必要であり、放置すると悪化する可能性もあるので、眼科を受診しましょう。
「目の周りのかぶれ」の正しい対処法は?
目の周りがかぶれたときの対処法は、原因によってさまざまです。
かぶれの症状が軽い場合は市販薬で改善が見られる可能性もあります。市販薬はスプレータイプもありますが、目に入る危険性があるため、目の周辺への使用時は塗り薬・飲み薬タイプの使用をおすすめします。ただし、塗り薬は目に入らないよう注意が必要です。
また、かゆみを伴う場合は患部を冷やすと落ち着く場合があります。目の周辺は皮膚が薄く、掻くと皮膚や目を傷つけてしまうおそれがあるので、冷やしてかゆみを鎮めましょう。
加えて、セルフケアとして以下の対策も有効です。
- ワセリンを使用して肌を保護し、乾燥を防ぐ
- 汗をかいたらこまめに拭き取る
- 洗顔など肌を清潔に保つ
かぶれを含む肌トラブルは「皮膚のバリア機能の低下」によって起こる場合があります。目の周辺はもともと皮膚が薄くバリア機能が弱いので、保湿剤を使用した保護や、肌を清潔に保つといった「かぶれの予防」を心がけると良いでしょう。ただし、原因不明の時や市販薬を使用しても症状が改善しない場合は、医師の診察を受けてください。
なお、目の周辺のかぶれは感染やアレルギー反応といった外的要因がすべてではなく、睡眠不足やストレスといった内的要因が関わっている場合もあります。十分な休息や栄養を摂取し、リラックスすることも重要です。
「目の周りのかぶれ」の症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「目の周りのかぶれ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
目の周りのかぶれは何科の病院を受診すればいいですか?
栗原 大智 医師
かぶれの原因が不明であれば、眼科をご受診ください。
かぶれは皮膚の症状なので皮膚科でももちろん診察可能ですが、眼瞼のトラブルであれば眼科で目の中も問題がないかチェックしてもらえます。何科にかかるか迷われたら眼科を選択すると良いでしょう。
目の周りのかぶれに効果的な市販薬はありますか?
栗原 大智 医師
症状が軽度であれば市販薬で改善が見られる場合もあります。使用する際は「顔面や目の周辺にも使えるかどうか」や対象年齢をよく確認のうえで使うようにしましょう。また、市販薬を使用しても治らない場合や、腫れや痛みがある場合は医師の診察を受けてください。
なお、万能薬のイメージがある「オロナイン」は、クロルヘキシジンと呼ばれる消毒薬が入っている塗り薬です。感染している部分やこれから細菌が入りそうな部分に使用すれば有効な場合がありますが、湿疹や虫刺されには使用できないので、避けるようにしましょう。
花粉症が原因で目の周りがかぶれることはありますか?
栗原 大智 医師
花粉症はアレルギー性結膜炎を起こし、痒みを引き起こします。知らないうちに目を頻繁にかいてしまい、目の周りがかぶれてしまうことはしばしばあります。また、花粉そのものが顔面の接触皮膚炎の原因となることもあります。花粉症の塗り薬と点眼薬をしっかり使用して、かゆみのコントロールをすることが重要です。
目の周りがかぶれているのですが目薬をしても問題ないですか?
栗原 大智 医師
ご使用されている目薬がかぶれの原因となっている可能性があるので、医師に相談をしましょう。
まとめ 目の周りのかぶれが気になる時は眼科を受診
目の周辺がかぶれる原因は多数あり、それぞれの原因に応じた治し方の検討が必要です。放置すると悪化したり、皮膚にとどまらず目の内部に影響を及ぼしたりする可能性があります。
症状が長引いたり繰り返したりするようであれば、医療機関への受診をご検討ください。目以外の顔面の皮膚トラブルであれば皮膚科受診をお勧めします。眼瞼など目に非常に近い部分のトラブルであれば、目の中のチェックもできる眼科を受診すると良いでしょう。
「目の周りのかぶれ」症状で考えられる病気
「目の周りのかぶれ」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
皮膚科系の病気
- 感染性眼瞼皮膚炎
- 非感染性眼瞼皮膚炎
- 帯状疱疹
「目の周りのかぶれ」の多くは目や皮膚の疾患ですが、甲状腺の病気でもまぶたが腫れることがあります。
「目の周りのかぶれ」に似ている症状・関連する症状
「目の周りのかぶれ」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 目の周りの腫れ
- 目の周りのかゆみ
- 目の周りがカサカサする
- 目の周りにブツブツとした発疹ができる
- 目の周りが痛む
- 目の周りに膿やしこりが見られる
- 目が充血する
目の周りのかぶれの他に、これらの症状がある場合でも「感染性眼瞼皮膚炎」「非感染性眼瞼皮膚炎」「眼瞼炎」「アトピー性眼瞼炎」「麦粒腫」「霰粒腫」「アレルギー性結膜炎」「眼部帯状疱疹」といった疾患の可能性が考えられます。腫れや痛みといった症状が見られる場合は早めに医療機関への受診を検討しましょう。