「横になると目が回る」時の対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!
横になると目が回るとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
中川 龍太郎(医師)
「横になると目が回る」症状で考えられる病気と対処法
「横になると目が回る」という症状は、比較的多く見られる症状です。横になった時に限定して目が回るのであれば、原因は耳鼻科系の病気がほとんどです。どんな場合に病院受診の必要があるか解説していきます。
横になると目が回る症状で考えられる原因と対処法
横になると目が回る症状の場合、良性発作性頭位めまい症が考えられます。この病気の症状の特徴は、姿勢を変えた時に景色がぐるぐる回るめまい(回転性めまい)を起こすことです。耳の奥、内耳という部分の耳石が原因とされています。そのメカニズムについて詳細は後述しますが、なぜ耳石が剥がれ落ちるのか詳しい原因は不明です。
ご自身で出来る対処法として、寝方の工夫があります。具体的には左か右のどちらかを下にして30分から1時間程度安静にすることです。それでもめまいが改善しない場合は医療機関を受診しましょう。受診するべき診療科は、耳鼻咽喉科もしくは内科です。治療はEpley法という耳石を正しい位置に戻す方法や、吐き気止め、めまい止めの内服薬を使うことが多いです。もし嘔吐を何度も繰り返してしまう場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
横になると目が回って吐き気がする症状で考えられる原因と対処法
横になると目が回って吐き気がする症状の場合、メニエール病の可能性が考えられます。先述の良性発作性頭位めまい症でもめまいが強いために吐き気を伴うことはありますが、耳鳴りや難聴、耳が詰まったような感覚(耳閉感)が伴った場合はメニエール病が疑われます。
鼓膜よりもさらに奥、側頭骨という頭蓋骨の側面に埋もれている部分を内耳と言い、この内耳を満たす内リンパ液が過剰になってしまった状態(内リンパ水腫)が症状の原因とされています。しかし、なぜこの内リンパ水腫が起こるのか詳しい機序は判明していません。
ご自身で出来る対処法は、出来るだけストレス要因を解消することです。ただし、症状が繰り返す場合は、医療機関を受診しましょう。何度もめまい発作を繰り返していると、聞こえづらさ(難聴)やバランスが取れない・ふらつく(平衡障害)といった症状は出現し、回復しづらくなります。
横になると一瞬だけ目が回る症状で考えられる原因と対処法
横になると一瞬だけ目が回る症状の場合、自律神経失調症の可能性が考えられます。自律神経失調症とは交感神経と副交感神経の働きの切り替えがうまくいかず、不要なタイミングで血圧や脈拍の変動が起こり、発汗、動悸、めまいなどを自覚する病気です。
ご自身で出来る対処法は、横になったまま出来るだけ安静にすることです。リラックスした状態で副交感神経が優位になるのを待ちましょう。
何度も症状を繰り返す場合は医療機関を受診しましょう。受診すべき診療科は内科や心療内科、精神科です。緊急性はないので、日中に受診してください。
すぐに病院へ行くべき「横になると目が回る」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
目眩と呂律が回らない症状も伴う場合は、脳神経内科・脳神経外科へ
めまいや吐き気に加えて、うまく話せない(呂律困難)、まっすぐ歩けない(歩行障害)といった症状が突然出現した場合は、小脳梗塞の可能性があります。この場合は一刻も早く治療を開始することが望まれます。
日中であれば脳神経内科・脳神経外科のある病院を受診してください。夜間ならば救急車も要請しましょう。
受診・予防の目安となる「横になると目が回る」ときのセルフチェック法
- ・横になると目が回る以外に吐き気ががある場合
- ・横になると目が回る以外に呂律が回らない場合
- ・横になると目が回る以外に耳鳴りがある場合
「横になると目が回る」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「横になると目が回る」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
良性発作性頭位めまい症
良性発作性頭位めまい症は、特定の体の動作(上体を起こす、寝返り、上を向いた時など)によって景色がぐるぐる回るようなめまい(回転性めまい)やぐらぐら揺れるようなめまい(動揺性めまい)を起こす病気のことを言います。この時に、難聴や耳鳴り、耳閉塞感などの聴覚の症状は見られないことが特徴です。
耳の奥、内耳という部分には耳石器(重力や体の向きを感じ取る器官)があり、ここから剥がれおちた耳石が、平衡感覚を司る三半規管に入り込んでしまうことが原因とされています。なぜ耳石が剥がれ落ちるのか詳しい原因はわかっていません。
すぐにご自身で出来る対処法としては、左か右のどちらかを下にして30分から1時間程度安静にすることです。改善がなければ反対側を下にして、同じ時間安静にしましょう。自然に耳石が三半規管から出る可能性があります。それでもめまいが改善しない場合は医療機関を受診しましょう。受診するべき診療科は、耳鼻咽喉科もしくは内科です。治療には耳石を正しい位置に戻す治療法(Epley法)や、吐き気止め、めまい止めの内服薬などが挙げられます。吐き気が強く嘔吐を繰り返す場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
「横になると目が回る」ときの正しい対処法は?
横になると目が回る場合、症状の落ち着かせ方は横向きでゆっくり休むことです。
その際の姿勢は左右どちらが下でも構いませんが、片方1時間で効果がなければ反転して左右両方試しましょう。
また予防策としては、急な体勢変化をしないことです。仰向けの状態から急に起き上がったりすると、良性発作性頭位めまい症を起こしやすいので、ゆっくり起き上がることが大事です。
目が回る症状を予防できる、効果的な市販薬はありません。症状が生じたらとにかく休むことが重要です。
「横になると目が回る」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「横になると目が回る」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
横になると目が回るのですが何科に行けばいいですか?
中川 龍太郎(医師)
耳鼻科受診を勧めます。
寝るときにめまいがするのはメニエール病なのでしょうか?
中川 龍太郎(医師)
メニエール病の可能性もありますが、良性発作性頭位めまい症の可能性も否定できません。一度、耳鼻科での精査を勧めます。
横になると目が回るのはストレスが原因でしょうか。
中川 龍太郎(医師)
ストレスが原因で起こることもありますが断言はできません。
横になると目が回るのですがどうしたら治りますか?
中川 龍太郎(医師)
まずは横向きでゆっくり休みましょう。その際の姿勢は左右どちらが下でも構いませんが、効果がなければ反転して左右両方試してください。
まとめ
横になると目が回る症状は、主に中高年以降に多く見られる症状です。ご紹介した耳鼻科疾患を中心にさまざまな原因があります。症状を繰り返す場合は、一度医療機関を受診しましょう。
「横になると目が回る」症状で考えられる病気
「横になると目が回る」症状から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
耳鼻科系の病気
脳神経系の病気
- 迷走神経反射
- 小脳出血、小脳梗塞
横になると目が回る症状は、中高年以降の方に多く見られます。
「横になると目が回る」に似ている症状・関連する症状
「横になると目が回る」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- めまい・吐き気
- ストレスで眩暈がする
- ふらつく
- 軽いめまいが続く
- ふわふわするめまい
- ストレスでめまいがする
「横になると目が回る」症状のほかに、これらの症状がある場合でも、「良性発作性頭位めまい症」「メニエール病」「小脳梗塞」「自律神経失調症」などの疾患の可能性が考えられます。
複数併発している場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。
・脳卒中治療ガイドライン(脳卒中治療ガイドライン2021)