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「歯ぎしり」の原因・対策はご存知ですか?医師が徹底解説!

気になる歯ぎしりの治し方・対策は?Medical DOC監修医が歯ぎしりで考えられる原因や病気・日常でできる予防法や対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院に相談してください。

関口 一樹 歯科医師

監修歯科医師
関口 一樹 歯科医師(関口歯科医院)

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東京歯科大学卒業。2014年に関口歯科医院開院。マイクロスコープを用いた治療を基本とし、かみ合わせも含む総合的な治療を心掛けている。現在では、小児期における不正咬合治療、乳幼児期での発達発育に対しても積極的に取り組んでいる。

「歯ぎしり」症状の対処法と考えられる原因・病気

私は歯ぎしりしているかも!?と思ったことはありませんか?また、家族から指摘されたことはありませんか?
一言で「歯ぎしり」といっても、その裏には重大な問題が隠れていることもあります。
歯ぎしりという概念が一般的になり始めたのは約100年ほど前と言われております。その長い年月の間でも考え方は二転三転しており、21世紀に入ってから少しずつ歯ぎしりが何であるかわかってきました。そもそも歯ぎしりというのは生理現象であり、止めなくても良いとも言われるようになりました。ですが、その生理現象が歯を壊してしまうと話は別です。
近年、原因として考えられものとして、

  • ・歯に有害な歯ぎしりはストレス発散機構から生じる
  • ・歯ぎしりは狭くなってしまった気道(空気の通り道)を広げるために行われる
  •  

などと考えられるようになってきました。そのため、生理現象を正常に行うためのお口の中の状態にすること、マウスピースを装着し歯を守ること、気道を確保・広げるための治療をすることなどが主な対処法と考えられております。

歯ぎしり・食いしばりで考えられる原因と対処法

「歯ぎしり」と「食いしばり」の違いはご存知でしょうか。
歯ぎしりにも色々と種類があります。日中起きているときに行われるのが「食いしばり」で、その名の通り上下の歯をかみ合わせて力を入れている状態です。それに対し、夜間寝ているときに行われるのが「歯ぎしり」で、上下の歯をガリガリとこすり合わせている状態です。
日中、無意識に食いしばってしまっていることがあります。歯を壊すほどの力は発揮できないながらも、緊張状態にあることで疲れてしまうことにつながります。もし食いしばっていることを自覚しているなら、なるべくリラックスし力を入れないように心がけると良いと思います。自力でも改善しない、噛み合わせがおかしいなどの問題を感じた場合には、歯科でご相談ください。

寝ている間の歯ぎしりで考えられる原因と対処法

夜寝てるときに歯ぎしりがあり、いびきをかいている場合には、気道(空気の通り道)が狭い状態である可能性があります。
なぜ気道が狭くなるのかというと、頭蓋骨、特に上顎と下顎の正常な発達がなされなかったため、本来備わっているべき気道の容積を獲得できなかったためと言われています。扁桃腺が大きいことや、鼻腔が狭いといった体の特徴も気道が狭くなる原因になります。いびきや睡眠時無呼吸症とも関連すると言われ、近年、気道が狭いために歯ぎしりが起こるという説も有力になりつつあります。

ストレスによる歯ぎしりで考えられる原因と対処法

歯ぎしりは主に夜間に行われますが、自覚しにくいのが特徴です。家族に指摘されたり起床時に顎の筋肉が疲れていることで発見することがあります。夜間の歯ぎしりは自律神経と関わっていると言われ、日常生活で緊張状態にあったり、疲れたりしていると頻度が増すと言われております。歯ぎしりが続いている場合には、放置していると歯がすり減ったり、歯がかけたりすることがあります。歯の状態を確認する目的でも良いので、歯科で相談することも検討しましょう。

すぐに病院へ行くべき「歯ぎしり」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

家族から歯ぎしりを指摘される、朝起きると顎の筋肉が疲れている、歯が欠けることが多い、歯がすり減っている、歯がしみる場合は、歯科へ

上記のような症状がある場合には、歯科での対応を考えるべきです。歯ぎしりによって、よく眠れない、頭痛・肩こり・腰痛などの症状も出現してしまい、生活の質が落ちているケースが見受けられます。歯ぎしりに対して詳しい歯科をお探しください。主にかみ合わせ治療を得意としているクリニックや、睡眠時無呼吸症の治療を得意としているクリニックに行くと良いと思います。

受診・予防の目安となる「歯ぎしり」のセルフチェック法

  • ・家族から歯ぎしりを指摘される場合
  • ・朝起きると顎の筋肉が疲れている場合
  • ・歯が欠けることが多い場合
  • ・歯がすり減っている場合
  • ・よく眠れない場合
  • ・頭痛・肩こり・腰痛がある場合
  • ・歯がしみる場合

「歯ぎしり」に関する症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「歯ぎしり」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

アブフラクション

アブフラクションとは、主に奥歯の、歯の根元(歯茎に近い部分)が削れてくる状態です。初期は無症状で経過しますが、時には冷たいものがしみたりすることもあります。
治療法としては、無症状の場合は歯ぎしりから歯を守るためのマウスピースを装着するべきことが多いです。また、冷たいものがしみる場合は、応急処置として表面をコーティングする薬を塗ることもあります。
歯の根元が削れている現象が顕著であったり、しみる症状が進行してくる場合は歯科を受診しましょう。

顎関節症

歯ぎしりによって全体的に歯が削れている場合、顎にも負担がかかり顎関節症を発症することがあります。顎の関節の部分がカクカク音が鳴ったり、開けるときに顎が痛い、口を開けられないなどの症状がある場合は顎関節症の可能性があります。
状況によって対応は異なります。マウスピースのみで対応することもあれば、かみ合わせの治療を行うこともあります。
上記症状がある場合、一度歯科医院で評価してもらうと良いと思います。

いびき・睡眠時無呼吸症候群

小さい顎や肥満などにより気道が狭くなり、いびきや睡眠時無呼吸症が引き起こされます。この場合、睡眠中に気道確保するため歯ぎしりをすると言われております。
睡眠時無呼吸症の問題があるかどうか評価をする必要がありますので、まずは耳鼻科などで検査を行い、それに基づき指導を受けたり治療を行っていく事になります。
いびきの問題を指摘されたり、睡眠時無呼吸症の症状(日中の眠気など)がある場合、耳鼻科や歯科を受診するべきです。

「歯ぎしり」の正しい対策・予防法は?

日中、無意識に食いしばってしまっている場合、自分では気づきにくいというものです。なるべく食いしばらないように気を付けること、食いしばってしまう習慣をやめようという意識付けをすることと、食いしばってしまう原因としてのストレスを軽減することを検討していくと良いでしょう。
日本人の成人における平均睡眠時間は6時間と言われますが、この時間は実は非常に短いと言われています。30代〜60代の必要な睡眠時間は7〜9時間と言われており、それに満たないと睡眠不足で色々な問題が生じます。また、飲酒は睡眠に対して悪影響なので、睡眠の問題がある方は飲酒を控えることをお勧めします。
睡眠時の歯ぎしりへの対策として、マウスピースを装着し歯を守ることをお勧めします。マウスピースにもいくつかの種類があり、うまく顎を動かせるようになっているタイプや、力が加わっても負担がかかりにくくなるような柔らかいタイプなどがあります。
食いしばりによる筋肉の疲れや頭痛などを和らげるマッサージとしては、こめかみから耳の上、後頭部にかけて全体的に指をあててマッサージ・顎のえらのあたり、ぐっと噛むと力が入る部分を人差し指と中指でマッサージすると軽減します。
普段お口を閉じているときの舌の位置は、上にあるのが正常の位置づけとなります。下の前方から後方まで、すべてが上に上がっている必要があります。またその時に正しく鼻呼吸できている場合、口で呼吸している時よりも気道が広がっている状態となります。
まずは歯科にて相談し、マウスピースでの対応・かみ合わせ治療の対応をするとよいでしょう。

「歯ぎしり」用のマウスピースとは?

マウスピースには、歯ぎしりによる力の負担から歯を守る効果があります。うまく顎を動かすことが出来、かかる力を逃がす目的のタイプ、力が食わったときにクッション効果で負担を和らげる柔らかいタイプがあります。
歯科医院で処方を受けることができます。費用については、保険が適用される場合とそうでない場合で異なります。保険適用の場合、5,000円~6,000円程度です。また保険適用外の場合は20,000円~200,000円と、色々な価格があります。

「歯ぎしり」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「歯ぎしり」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

歯ぎしりの癖があるかセルフチェックする方法はありますか?

関口 一樹 歯科医師関口 一樹 歯科医師

朝起きると顎の筋肉が疲れている、歯がすり減っている、歯の根元が削れている、歯がしみるなどの症状がある場合、夜間の歯ぎしりが行われている可能性があります。

無意識に歯を噛み締めて歯ぎしりをすると体に悪影響がありますか?

関口 一樹 歯科医師関口 一樹 歯科医師

無意識に食いしばりをしていると、食いしばりに関わる筋肉が強い緊張状態にあり、また肩をはじめとする全身の筋肉と繋がっているため、頭痛・肩こり・腰痛などに関係していると言われております。それにより、全身の疲労や倦怠感にもつながります。

歯ぎしり・食いしばりは何が原因で起きるのでしょうか?

関口 一樹 歯科医師関口 一樹 歯科医師

現時点で、明確な答えは出ていませんが、有力な説として
・ストレス発散するために行われる
・気道が狭いため気道確保のために行われる
が挙げられます。

歯ぎしりをマウスピース以外で治す方法を教えてください。

関口 一樹 歯科医師関口 一樹 歯科医師

決定的な解決は難しいかもしれません。原因から考える場合、ストレスをため込まない生活習慣にすること、気道を広げるためのかみ合わせ治療を行うことが対策として考えられます。

まとめ

歯ぎしり・食いしばりは、個人での解決は非常に難しいですし、歯科医師としても完璧な対策が難しい、悩ましい状態です。歯ぎしりの原因は、ストレス・気道の問題です。また関連疾患としていびき・睡眠時無呼吸症があり、原因不明の頭痛・肩こり・腰痛・全身倦怠感などとも関連します。色々なものが複雑に絡み合っている状態でもあります。大切なのは、自分の状態がどんな状態であるのか、どうして歯ぎしりをしているのか、どうしたら解決するのか、ということを自分で把握し、歯科医師とよく相談することです。

「歯ぎしり」で考えられる病気と特徴

「歯ぎしり」から医師が考えられる病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

歯科の病気

歯ぎしりによって、歯が欠けるなどの歯の状態の変化だけではなく、眠りが浅くなったり頭痛があるなど全身状態にも影響を及ぼすことがあります。

「歯ぎしり」と関連のある症状

「歯ぎしり」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 食いしばり
  • 顎の筋肉が疲れている
  • 歯が欠けることが多い
  • 歯がすり減っている
  • よく眠れない
  • 頭痛
  • 肩こり
  • 腰痛

「歯ぎしり」の他に、これらの症状がある場合、「睡眠時無呼吸症候群」「顎関節症」「アブフラクション」などの疾患の可能性が考えられます。自力で対策を講じても改善しない場合には、早めに医療機関への受診をお勧めいたします。