歯周病は子供もかかる!?

こんにちは。日本歯周病学会認定医であり、千葉県市川市行徳にある『杉澤デンタルクリニック行徳』の杉澤幹雄と申します。
歯周病は大人だけがかかる病気だから、子どもは虫歯だけを気を付けていればいいと思っていらっしゃいませんか?実は歯周病は子供もかかる病気です。
 
もちろん大人に比べると、歯周病にかかる小児の割合は少なく、またその程度(進行具合)も小さいことが多いです。しかし、軽度であっても小児期より歯周病になっていると、成人になり年齢を重ねると歯周病が悪化することが考えられます。また、子どもでも急速に進行する歯周病も存在します。今回は「小児と歯周病」について書いていこうと思います。

 子供でも歯周病になる?どうして?

もともとお母さんのおなかから生まれてきた赤ちゃんのお口の中には細菌は存在していません。生まれた後の生活の中で、色々な細菌がお口の中に入ってきて、細菌が住みついていきます。その細菌には虫歯菌や歯周病原細菌も含まれ、それらの細菌はお母さんやお父さんなど家族の口腔内に多くいる細菌が赤ちゃんのお口の中に入ることにより、住みついてしまうわけです。
このように、歯周病原細菌が子供の口腔内に感染し、歯と歯肉の間に歯石やプラークが停滞することにより歯周病原細菌が定着し、歯周組織への感染が生じ歯周病を発症します。

 子どもでも起こり得る歯周病とその治療法

【歯肉炎】

もっとも子どもが発症する歯周病が歯肉炎です。プラーク性歯肉炎といい、歯と歯肉の境に細菌性のプラークが停滞し、歯肉への細菌感染により炎症が生じる病気です。この炎症は歯肉までの炎症であり、歯を支える骨まで溶けていくようなことはありません。しかし、歯肉は赤みを帯び、腫れ出血しやすく、口臭の原因になることもあります。特に乳歯が抜けて生え変わりの時期は歯並びがデコボコしていて、プラークが溜まりやすく炎症が生じやすいため注意が必要です。
歯肉は再生能力が高く、歯肉炎が治癒することにより再度正常な状態に戻ることができます。歯肉炎の原因であるプラークをきれいに取り除き、再度付着しないようにブラッシングを徹底することで元のキレイな歯肉に改善することができます。しかし、歯石が沈着しているようなら、ブラッシングでは取り除くことができないため、歯科医院にて歯石を取ってもらう必要があります。また、必要なら歯ブラシの種類や動かし方などを指導してもらい、毎日の歯ブラシを効率よく行うことが勧められます。

【思春期性歯肉炎】

歯周病原菌の中には女性ホルモンを好む細菌が存在します。そのため、女性ホルモンが多くなる思春期の時期に特定の細菌(特にPrevotella intermedia)が増殖し、歯肉の炎症が生じやすくなります。また、思春期は生活の変化が起こりやすく、保護者からの仕上げ磨きもなくなることが多いため注意が必要です。歯石も溜まりやすいため、定期的に歯科医院にて歯石の除去や日々のブラッシングのチェックをしてもらうことが望まれます。

【侵襲性歯周炎】

以前は若年性歯周炎と呼ばれていました。一般的な歯周病は成人後に発症しゆっくり進行していくのですが、この病気は早ければ20歳前に発症することが多く、かつその歯周病の進行は一般的な歯周病と比べ明らかにその進行スピードは速く、歯を支える骨の吸収が歯を抜かなければならないほど大きくなることも少なくありません。しかし、症状はあまりなく進行するため、気が付いた時には多くの歯がぐらついてしまう恐れがあります。通常はプラークや歯石が多いほど炎症が強く広範囲に歯周病が発症しますが、侵襲性歯周炎はプラークや歯石の沈着が少ないのに急速に進行する特徴があります。
原因として考えられているのは、特定の細菌(Aggregatibacter actinomycetemcomitansやPorphyromonas gingvalis)による感染、全身的な問題として免疫機能の異常、家族性(家族内感染や遺伝的要因)もある可能性があります。
まず通常の歯周病の精密検査を行い、歯周ポケットにおける細菌検査を行うことがあります。侵襲性歯周炎でもA.a菌が検出されないことも多くあるため、色々な検査における総合的な判断が必要です。しかし、プラークにおける反応が強い可能性があるため、徹底的にプラークを取り除く治療が必要となります。また抗菌療法を併用したり、歯周外科治療を行い細菌の棲み処となる深い歯周ポケットを除去する治療が必要となります。
侵襲性歯周炎は進行が早く、進むほど難治性であるため、早期発見早期治療が望まれます。

 子供が歯周病にならないために

【毎日の歯ブラシ】

子どもに限らず歯周病にならないために重要な予防法は毎日のオーラルケアです。特に子供は自分で歯ブラシしてもキレイに磨けず、プラークが多く残ってしまうことが多くあります。歯科医院にて歯ブラシの仕方を習い、身に着けるまでは保護者による仕上げ磨きが必要です。また、お父さんやお母さんも仕上げ磨きを行う方法も身に着ける必要があるでしょう。子供のお口の中は乳歯が抜けていたり、歯並びがキレイに並んでいないことも多く、プラークが残りやすい環境にあります。定期的な歯科医院でのメンテナンスも重要です。

【家族の歯周病ケア】

先述した通り、子どもの口腔内への歯周病原細菌の感染は家族からの感染が最も考えられます。逆に考えると、家族の口腔内がキレイにコントロールされていると子供への歯周病原細菌の感染のリスクが低くなることが考えられます。また、特にお母さんは妊娠中に歯周病にもなりやすく(妊娠性歯肉炎)、赤ちゃんへの細菌感染がおこりやすくなってしまいます。赤ちゃんが生まれる前から歯周病に対する治療や予防を行うことが必要です。

 まとめ

歯周病は子供もかかる病気です。しかし、家族みんなで歯周病に気を付けて毎日のオーラルケアを行うことで、十分予防できる病気です。子供が歯周病にならない、また子供が成人になっても歯周病になりにくい口腔内環境を作るためにも、家族全員の定期的な歯科医院における歯周病の精密検査や治療、安定状態を長続きさせるためのメンテナンスをお勧め致します。