「ダイエット鍼」って本当に効果があるの?
ダイエット効果だけでなく、体質改善も期待できる「ダイエット鍼」。不調の原因となるツボへ鍼を刺すことによって、身体の内面を整えながら痩せやすい状態へ導くことができるそうです。しかし、本当に効果があるのか疑問を抱く人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、長年ダイエット鍼を専門で施術している「龍虎道鍼灸院」の羽瀧先生に詳しく伺いました。
監修鍼灸師:
羽瀧 泰洋(龍虎道鍼灸院)
ダイエット鍼について
編集部
なぜ、鍼治療とダイエットが関係しているのですか?
羽瀧先生
まず、現代の日本は食べ物が溢れている「飽食の時代」と言われています。例えば、レストランに行くと、大盛サービスやお代わり無料をよく見かけますよね。こうした環境のなか、食べ過ぎてしまうことによって、肥満や脂肪異常症、糖尿病などの病気になる方が多いのです。そこで鍼の登場です。鍼治療は、人間が本来あるべき身体に戻すことができるので、ダイエットと鍼はとても相性が良いのです。
編集部
なるほど、いきなり興味が出ます。ダイエット鍼をもう少し教えてください。
羽瀧先生
ダイエット鍼は、東洋医学的な考えに基づいて、気・血・津液(しんえき/水)の流れを改善し、五臓六腑のバランスを元に戻すことで、身体を活動しやすいニュートラルな状態に導く施術です。また、西洋医学的にも自律神経系にアプローチすることで免疫力の向上を図り、不定愁訴(ふていしゅうそ)の改善、身体の関節や筋肉の動きも含めたパフォーマンスを高めます。そして、結果的に脂肪を貯めにくい身体にシフトしていきます。
編集部
鍼を刺す際、痛みはないのでしょうか?
羽瀧先生
一般的な鍼治療に使用する鍼は極めて細いため、ほとんど痛みはありません。ただし、当院では、やや太めの鍼を使うので、多少の痛みを感じることがあるかもしれません。痛みが不安な人は、施術を受ける前に鍼灸院の先生に伺った方がいいと思います。
編集部
内出血や衛生面なども心配です。
羽瀧先生
たしかに、身体に鍼を刺すため、内出血が生じることもあります。しかし、大きな問題はなく、数日のうちに体内に吸収されて自然に消失します。また、鍼を繰り返し使用する鍼灸院もあることから衛生面を心配される人もいらっしゃいますが、当院の施術ではディスポーザブル(使い捨て)の鍼を使用しているので、感染症などの心配はありません。
ダイエット鍼で期待できる効果
編集部
ダイエット鍼では、どのような効果が期待できますか?
羽瀧先生
西洋医学的に考えて、自律神経やホルモンバランスの乱れを整える効果を期待できます。また、食欲をコントロールする「摂食中枢」に働きかけることで、食べ過ぎを抑制する効果などがあると考えられています。さらに、東洋医学的に考えても、五臓六腑のバランスを整えることで身体機能の維持・向上を図り、日常において過ごしやすい身体に導く効果も期待できます。
編集部
自律神経が乱れるとどうなるのですか?
羽瀧先生
自律神経の乱れは、体内に様々な影響を及ぼし、結果的に太りやすくなると言われています。ストレスを受けることで自律神経が乱れ、不眠や食欲増進、便秘、むくみ、頭痛、肩こりなどを引き起こします。体重の増加だけでなく、様々な不調の原因になるということです。ダイエット鍼では、乱れてしまった自律神経にアプローチすることで身体の状態を整えて、痩せやすい身体を目指し、ダイエット効果を高めます。さらに、自律神経は内臓の働きや消化液の分泌もコントロールしているため、内臓の働きが正常になることで便秘や肌荒れなども解消されることがあります。
編集部
ダイエット鍼の施術を受けてから、どのくらいの期間で痩せることができるのでしょうか?
羽瀧先生
1カ月ほどで効果を実感できると思いますが、まずは3カ月ほど継続するのがいいと思います。ただし、根本的な体質改善を目指す場合には、半年から1年程度かかります。また、体重が減ったとしても体質まで改善したとは言い切れないため、施術を続けていただくことが重要です。ダイエット鍼では、体質や生活の習慣などを変化させることで、結果的に「太りにくい状況」を作り出していきます。もともとの体質や生活習慣にも左右されるため、急激な変化を求めるべきではなく、継続することが大切なのです。ただし、いったん体質が改善されれば、リバウンドの心配も少ないと思います。
ダイエット鍼のメリット・デメリット
編集部
ダイエット鍼のメリットを教えてください。
羽瀧先生
主に「副作用がないこと」「自律神経が整うこと」「身体への負担が少ないこと」です。鍼治療では、人間が本来もつ自然治癒力を引き出して、身体の内部を整えていきます。そのため、急激に食事を減らすといった一過性のアプローチとは異なり、ストレスも少なく健康な状態に導いて痩せることができる点も大きな特徴です。
編集部
一方で、デメリットはありますか?
羽瀧先生
人によっては、軽度の痛みや内出血を生じることがあります。また、短期間で急激に痩せることができない点も挙げられます。しかし、総合的にデメリットが少ない点は、ダイエット鍼のメリットとも言い換えることができるでしょう。
編集部
ダイエット鍼をする際、気をつけた方がいいことはありますか?
羽瀧先生
当たり前のことですが、食べ過ぎには注意が必要です。冒頭でお話したように、現代はいつどこでも食べ物には困らない飽食の時代です。しかし、このような時代背景が、体重過多や肥満などにも影響していると考えられています。実際に多くの患者さんを診ていると、胃や腸が強くなっているように思います。これは必要以上に食べることで胃腸が勝手に鍛えられてしまい、結果的にたくさん食べないと満足できなくなってしまう、いわば「胃腸が筋トレしているような状態」になってしまっているのです。
編集部
食べ過ぎは、私たちの身体にどのような悪影響を及ぼしているのでしょうか?
羽瀧先生
自律神経を乱れさせて、太りやすくなる原因になると考えられます。とくに、日本人は「食べ物を残したらもったいない」という教育を受けている背景から、残すことは「悪」と捉えてしまいがちです。しかし、身体のためには「食事を残すのはもったいない」というより、「食べ過ぎてしまうことで生活習慣病や体重過多につながってしまう方がもったいない」と考えた方がいいと考えます。
編集部
このような状態も、鍼治療によって改善が期待できるのでしょうか?
羽瀧先生
はい。東洋医学では、こうした食べ過ぎによる胃の異常などを「胃熱」と捉えることもできます。鍼を刺すことで胃熱を取り除き、本来あるべき中庸な状態に導きます。鍼による施術で五臓六腑のバランスを整えることによって、自然と必要以上には食べなくなり、それに伴って不調も改善されます。
編集部
鍼治療と同時に運動もした方がいいですか?
羽瀧先生
最初は、無理に運動しなくても問題ありません。運動は中性脂肪の分解を促進する「成長ホルモン」の分泌を促したり、消費カロリーを増やしたりする面においては良いことであると言えます。しかし、体重過多の状態でいきなり激しい運動を始めると、関節などを傷める原因になることもあります。また、我慢して運動をすること自体がストレスとなり、自律神経を乱してしまう恐れがあります。そのため、まずは食べ過ぎていないかを見直すことが先決です。それでも運動をしたいという場合は、通勤時のウォーキングや階段を使うなどの軽い動きから始めてみて、無理のない範囲で継続しましょう。わからないことはダイエット専門の鍼灸師に相談しながら、鍼治療と規則正しい生活習慣を継続されてみてはいかがでしょうか。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
羽瀧先生
一般的に「最近太ってきたな」と感じたら、運動や食事制限をしなければならないと思いますよね。しかし、何らかの病気が影響していることもありますので、まずは体質や体調がどのような状態であるのかを把握して、そこからどのようなアプローチをしたらいいのかを専門家と検討する方がいいと考えます。そして、ダイエット鍼は体の状態を把握し、自律神経を調整して内面から整えることで、痩せやすい体質に変化させていく施術です。ダイエット鍼を受けた患者さんからは「無理がなく楽だった」「体調不良も同時に治った」というお声もいただいています。ぜひ、身体への負担が少ないダイエット鍼を受けてみてください。
編集部まとめ
ダイエット鍼は、自律神経やホルモン、五臓六腑の調子を整えて、結果的に痩せやすい身体へと導く施術とのことでした。つい食べ過ぎてしまう人が多い現代は、自律神経が乱れやすい環境とも言えます。そして、自律神経の乱れは体重の増加以外にも、様々な不調につながってしまいます。身体の内側からアプローチするダイエット鍼は体への負担も少ないので、体質改善に興味がある人は検討してみてくださいね。
医院情報
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アクセス | JR「渋谷駅」 徒歩5分 |
診療科目 | 鍼灸、美顔鍼 |