腰痛・ひざ痛の緩和方法を柔道整復師に聞く 高齢化による歩けない・動けない症状は改善可能?
日本人の多くが悩まされている腰痛やひざ痛。「年齢のせい」とあきらめてはいませんか? 腰痛やひざ痛があると歩くのも億劫になりますし、行動範囲が狭まったり、QOLが大きく低下してしまったりする原因にもなります。では、どのようにして腰痛やひざ痛を解消することができるのでしょうか。A-style整体治療院院長の秋山 雅教先生にMedical DOC編集部が聞きました。
監修柔道整復師:
秋山 雅教(A-style整体治療院)
目次 -INDEX-
腰痛やひざ痛の原因は? ぎっくり腰、ヘルニア、変形性関節症ではない?
編集部
腰痛やひざ痛に悩んでいる人は多いと聞きます。原因はなんですか?
秋山先生
編集部
確かに、慢性的に腰痛やひざ痛に悩んでいる方はとても多いですね。
秋山先生
原因がはっきりしない腰痛は、多くの場合、生活習慣や普段の姿勢が関係しているとされています。残り15%の、原因がはっきりしている腰痛の場合には、たとえば、ぎっくり腰や椎間板ヘルニア、変形性関節症が引き金となっていることがあります。
編集部
腰痛やひざ痛は加齢とも関係があるのですか?
秋山先生
あります。たとえば、加齢による腰痛としては、背骨が変形したり、椎間板のクッション機能が低下したりすることで起きる「変形性脊椎症」、椎間板が変形したり、背骨や椎間関節から骨が突出したりすることで神経が圧迫されて腰痛が起きる「腰部脊柱管狭窄症」などが原因となることが多いですね。また、骨粗しょう症も腰痛の原因になります。
編集部
なぜ、骨粗しょう症が腰痛の原因になるのですか?
秋山先生
骨粗しょう症になると、少しの衝撃でも背骨が潰れてしまうことがあります。これを圧迫骨折といい、これが生じると腰椎の形が変形してしまい、神経が圧迫されてしまいます。そのため腰痛が起きるのです。
編集部
高齢になると、多くの人が腰痛やひざ痛に悩まされています。これは加齢によるものとして、諦めるしかないのですか?
秋山先生
若いひとの場合はぎっくり腰のように、急性の痛みが多いのに対し、高齢者の場合は「なにもしていなくても痛い」などのような、慢性の痛みが続くことが特徴的です。しかし、「年齢のせいだから」とあきらめる必要はありません。きちんとした手当をすることで、痛みを軽減することはできます。
腰痛やひざ痛にはどんな施術が受けられる? ツボ押し、マッサージの内容が知りたい
編集部
腰痛やひざ痛には、どんな施術が効果的ですか?
秋山先生
通常の医療機関では、レントゲン検査を行って画像診断を行うことにより、痛みの原因を見つけることが多いでしょう。しかし、「画像診断では何も異常が見つからないのに、痛みが生じている」という患者さんも少なくありません。その場合、当院では、まず痛みの原因を追求するところから始めています。
編集部
それはどういうことですか?
秋山先生
痛みの原因は、筋力に左右差があることが原因かもしれませんし、体の使い方が間違っていることが原因かもしれません。また「体幹が弱い」「日常生活の動作に癖がある」「立ち方や座り方に癖がある」などといったことが原因となっているかもしれません。それらを見つけ、原因となっている部分に対し、的確にアプローチするということです。
編集部
どうやって原因を見つけるのですか?
秋山先生
まず「どんな時に痛みが生じるのか」ということを検査により明らかにしていきます。具体的には、患者さんに屈んだり、腰を反らしたり、階段を昇降したりしてもらって、どんな時に痛みが生じるのかを再現していただきます。痛みを生じさせる動作のことを「疼痛誘発動作」といい、これを明らかにすることで、どの筋肉にこりや緊張などの異常が生じているのかを見つけるのです。
編集部
痛みの原因がわかったら、具体的にどんな施術をするのですか?
秋山先生
該当する筋肉を緩めるために、筋膜リリースなど、さまざまな手技による施術を行います。ツボやトリガーポイントを刺激して、筋肉を緩めることもありますし、電気治療を行うこともあります。症状に合わせて手法を選択し、症状に変化があるかどうか確認しながら施術を進めていきます。
編集部
原因を特定するから、正しい効果につながるのですね。
秋山先生
その通りです。気をつけてほしいのは、自己流でもんだりさすったりしないこと。かえって筋肉などの組織を痛めてしまい、症状を悪化させることもありますから、必ずプロよる施術を受けるようにしましょう。
腰痛やひざ痛の改善につながるストレッチやトレーニングを教えて
編集部
腰痛やひざ痛のとき、ストレッチやトレーニングで症状を改善することはできますか?
秋山先生
症状によるので一概には言えませんが、多くの場合、急性の痛みはできるだけ体を動かさず、安静にした方が良いとされています。特にぎっくり腰のような急性の痛みは、すぐに施術をすると、ますます症状を悪化させてしまうことも。しかし急性ではなく、慢性的な痛みの場合はストレッチやトレーニングで緩和することができます。
編集部
どのようなストレッチや運動がおすすめですか?
秋山先生
まずひざ痛を緩和させるには、ひざ周りの筋肉をしっかり鍛え、ひざ関節に強い負荷がかかりすぎないようにすることが大切です。おすすめなのは、長座の姿勢でつま先を前後にゆっくり倒すことで、ふくらはぎやすねの前側の筋肉をほぐす運動。ひざを立てて体育座りをして、両ひざを揃えたまま、左右にパタパタ倒す運動も良いでしょう。
編集部
どちらも簡単でいいですね。
秋山先生
それと、 高齢の方はO脚傾向になっていることが多く、その場合、太ももの内側の筋肉が弱くなっています。太ももの内側の筋肉はひざ周りの筋肉とつながっていますから、この部分を鍛えることも大切です。クッションを両太ももの間に挟み、太ももで押しつぶすようにする運動もお勧めです。
編集部
腰痛におすすめのストレッチはありますか?
秋山先生
腰痛を抑えるには、腹圧を高めることが大切になります。腹圧が弱くなっていると、身体を支えることができず、腰に負担がかかって腰痛を引き起こしているからです。
編集部
どうしたら腹圧を高めることができますか?
秋山先生
仰向けに寝て両ひざを立て、胸とお腹に手を当てます。そして、息を吸ったときに胸とお腹をふくらませ、吐いたときに凹ませます。これを何回か繰り返すと腹圧が自然と高まり、腰痛の予防や緩和を期待することができるでしょう。
編集部
腰痛を解消するのに大切なのは腹圧なのですね。
秋山先生
そうです。最近ではインターネットで腹圧を高めるトレーニングがたくさん紹介されています。それらを活用するのも良いでしょう。
編集部
最後に、MedicalDOC読者へのメッセージがあれば。
秋山先生
腰痛やひざ痛を「年のせい」と諦める必要はありません。原因をしっかりと追求すれば、きちんと該当の部位にアプローチすることができ、痛みを軽減することができるのです。そのために大切なのは、しっかり原因を見つけてくれる医療機関を訪ねること。レントゲン画像で異常が見つからず、「原因不明」と診断されても、決してあきらめることはありません。必ず患者さんのお悩みに寄り添ってくれる医療機関はありますから、きちんと原因を追求し、納得できる加療を受けていただきたいですね。
編集部まとめ
腰痛やひざ痛はQOLを大きく下げる重要な要素。腰痛やひざ痛が慢性化すると、外出が億劫になったり、日常生活が制限されたりしますし、それがうつなど心の問題につながることもあります。痛みを「年のせい」とあきらめず、日常生活を快活に生きるための加療を受けてください。
院情報
所在地 | 〒274-0812 千葉県船橋市三咲2-10-1PHOENIX三咲101 |
アクセス | 新京成線「三咲駅」より徒歩5分 |
診療科目 | 整体院 |