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【NEWS】目の角膜移植をiPS細胞で 厚労省了承(医師コメント3件)

 更新日:2023/03/27

厚生労働省の部会は5日、大阪大らの臨床研究である、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から目の角膜細胞を作製し角膜に異常をもつ患者に移植する計画の実施を了承。

この計画では、角膜の上皮という部分が濁ってしまう「角膜上皮幹細胞疲弊症」により失明した20歳以上の患者4人を対象に臨床研究を行い、その有効性、安全性を確かめる。角膜は、目の中でレンズの役割を果たし、こちらに異常をきたすと透明性を失い、視力の低下や失明につながる。これまでは死亡した人から角膜の移植をする治療法があったが、拒絶反応や提供者不足という問題がある。

医師のコメント

iPS細胞による再生医療は、疾病や外傷などで失われた機能を再活性する画期的な治療法という認識でよいかと思われます。その一方で、iPS細胞の中には未分化な細胞が含まれた場合には腫瘍が発生するなどのリスクはあります。動物実験ではこうしたiPS細胞による治療の予測される健康被害の発生は抑えられるとされているが、安全性をさらに確認してからの方がよいかと思われます。

  • 松浦 恵(小児科医)

今回、iPS 細胞から作成した目の角膜細胞を患者に移植するという臨床研究が承認されたことは、再生医療にとっても大きな一歩だと考えます。移植医療が限定的な中で、今回の臨床研究の安全性、有効性の良いデータが得られれば、今まで治療法のなかった患者さんへの治療選択肢が増え、QOLを高めることができる画期的なものであり、今回の臨床研究の成績に大いに期待しています。

  • 眞鍋 憲正(整形外科医・スポーツ医学担当)

最近iPS細胞もゲノム編集技術によって、移植をしてもこれまでより拒絶反応が少なくなる可能性があるという研究がでてきました。これにより、臨床研究においてもiPS細胞でつくった臓器の移植の治療の成功率があがっていくと思われます。今後の日本だけでなく世界の医学・医療を牽引していく研究なのでぜひ成功してほしいです。