理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーは23日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って「網膜色素変性症」と呼ばれる目の難病の患者を治療する臨床研究について、大阪大の有識者委員会に今夏までに審査を申請する方針を明らかにした。
網膜色素変性症とは、網膜に異常が起こり、視野が狭くなる視野狭窄や視力低下などをもたらす目の難病で、現状有効な治療法はないといわれている。研究は、iPS細胞から「視細胞」という光に反応して神経に情報を伝える役割をもつ細胞のもとになるものを作製し、患者数人に移植を行う計画。高橋さんは、サルでの実験では視野の一部が回復した結果も報告している。また、チームとしてはiPS細胞を用いた臨床研究は今回で2例目となり、別の難病である「加齢黄斑変性」の研究もすすめている。