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【NEWS】iPSで目の難病治療 臨床目指す サルで成果(医師コメント3件)

 更新日:2023/03/27

理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーは23日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って「網膜色素変性症」と呼ばれる目の難病の患者を治療する臨床研究について、大阪大の有識者委員会に今夏までに審査を申請する方針を明らかにした。 

網膜色素変性症とは、網膜に異常が起こり、視野が狭くなる視野狭窄や視力低下などをもたらす目の難病で、現状有効な治療法はないといわれている。研究は、iPS細胞から「視細胞」という光に反応して神経に情報を伝える役割をもつ細胞のもとになるものを作製し、患者数人に移植を行う計画。高橋さんは、サルでの実験では視野の一部が回復した結果も報告している。また、チームとしてはiPS細胞を用いた臨床研究は今回で2例目となり、別の難病である「加齢黄斑変性」の研究もすすめている。

医師のコメント

  • 眞鍋 憲正(整形外科医・スポーツ医学担当)

現在、網膜だけでなく、脊髄の神経細胞や血小板、心臓、肝臓などといった臓器でもiPS細胞を使った基礎研究や臨床研究が進もうとしているようです。実用化にどれくらいの時間がかかるかは不明ですが、医療の大きなブレイクスルーとなるので期待したいです。

  • 武井 智昭(小児科医・内科医)
    なごみクリニック

眼科疾患の難病においても、このiPS細胞を用いた再生医療という新規のテクノロジーが期待できます。神経内科の分野でも難治とされていた疾患の治療が可能となってきています。ただ、iPS細胞使用の安全性、特に腫瘍発生のリスクに関してさらなる検証は必要と思われます。

  • 松浦 恵(小児科医)

iPS細胞を活用した臨床研究が承認され始め、いよいよ実用化に向けた研究が進んできています。今まで治療法のなかった疾患に対する治療選択肢が増えることに対し大きく期待しています。安全性、有害事象ともしっかりとデータを蓄積し、他の疾患に対する治療へも拡大されていくことを望みます。