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「筋挫傷」の症状や原因はご存じですか?肉離れとの違いについても解説!

 更新日:2024/01/11
「筋挫傷」の症状や原因はご存じですか?肉離れとの違いについても解説!

筋挫傷はどんな病気なのかをご存じですか?
本記事では、筋挫傷はどんな病気?原因や治療法について以下の点を中心に紹介します。

・筋挫傷とは
・筋挫傷と肉離れはどう違うのか
・筋挫傷の治療法

筋挫傷はどんな病気なのかについて知るためにぜひ最後までお読みください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

筋挫傷について

筋挫傷について

筋挫傷はどのような病気ですか?

筋挫傷は、筋肉の急激な伸張や過度の負荷によって生じる筋肉の損傷を指します。運動中や急な身体の動き、外傷などが原因となり、筋肉繊維が痛みや炎症を伴って損傷します。一般的な症状には痛み、腫れ、筋肉のこわばりや運動制限があります。筋挫傷は軽度な場合は自然治癒することもありますが、重度の場合は医師の診断と治療が必要です。

筋挫傷の症状を教えてください。

筋挫傷の主な症状は以下の通りです。

疼痛(とうつう): 損傷した筋肉周辺で痛みを感じます。痛みは炎症箇所に集中し、触れられると増すことがあります。

腫れ: 筋挫傷箇所では軽度から重度の腫れが生じることがあります。腫れは通常、損傷した筋肉周囲で見られます。

筋力低下: 筋挫傷が進行すると、損傷した筋肉の力が低下することがあります。力を入れることや動かすことが困難になる場合があります。

範囲制限: 筋挫傷により関節の可動域が制限されることがあります。負傷箇所の近くの関節での動きに制限が生じることがあります。

筋肉のこわばり: 損傷した筋肉がこわばり、違和感を感じることがあります。筋肉の緊張や硬直が生じる場合があります。

これらの症状が筋挫傷の特徴であり、重度の場合には医療専門家の診断と適切な治療が必要です。自己判断ではなく、適切な医療機関での診断と治療を受けることが重要です。

筋挫傷の痛みはいつまで続きますか?

筋挫傷の痛みの期間は個人や症状の重さによって異なりますが、通常は数日から数週間程度続くことがあります。初期の痛みは激しい場合があり、傷害後24〜48時間がピークとなります。その後、徐々に痛みが軽減し、体の回復力によって症状が改善していきます。

ただし、重度の筋挫傷や合併症がある場合は、痛みや症状が長引くことがあります。筋挫傷の痛みの期間は個人差があるため、症状の重さや回復力によって異なることを覚えておきましょう。

筋挫傷に後遺症はありますか?

一般的に、軽度の筋挫傷では適切な治療と適度な休息によって完全に回復することが多いです。しかし、重度の筋挫傷では後遺症が残る可能性があります。

重度の筋挫傷では、筋繊維の断裂や瘢痕組織の形成が起こることがあります。これにより、柔軟性や筋力の低下、痛みや運動制限が生じることがあります。また、適切な治療やリハビリが行われなかった場合、筋挫傷の再発や慢性的な症状の継続も考えられます。

しかし、適切な治療とリハビリテーションを行うことで、筋挫傷の後遺症を最小限に抑えられます。

筋挫傷と肉離れはどう違うのですか?

筋挫傷と肉離れは、筋肉に生じる異なる種類の損傷です。

筋挫傷(きんざしょう)は、筋肉が直接的な外力や急な過負荷によって受ける損傷です。通常は軽度な損傷であり、筋肉の繊維が一時的に引き伸ばされたり断裂したりすることで起こります。症状には筋肉の痛み、腫れ、運動制限などが含まれますが、一般的には回復が早い傾向があります。

一方、肉離れ(にくばなれ)は、筋肉の繊維の断裂や損傷がより深刻なものです。肉離れは、急激な筋肉の収縮や過度な負荷が原因で発生することが多く、断裂した筋肉の繊維がずれたり切れたりします。症状には激しい痛み、腫れ、内出血、筋力低下などがあります。回復には時間がかかることが一般的で、重度の場合は手術が必要なこともあります。

筋挫傷と肉離れは、症状の重さにおいて異なります。正確な診断と適切な治療が必要です。

筋挫傷の治療法

筋挫傷の治療法

筋挫傷の治療法を教えてください。

筋挫傷の治療法は以下の通りです。

休息と保護: 筋挫傷を治療するためには、まず負傷した筋肉に休息を与えることが重要です。活動を制限し、負傷部位を保護するために包帯やサポーターを使用することが推奨されます。

冷却療法: 負傷直後の数日間は、アイシング(冷却療法)をしましょう。氷や冷却パックを負傷部位に数回挟み、直接当て、腫れや炎症を軽減します。

圧迫と挙上: 負傷部位に軽い圧迫を加えることで、腫れを抑えられます。また、負傷した筋肉を心地よい高さで挙げることも、血液の循環を促進し、腫れを緩和するのに役立ちます。

痛みの管理: 筋挫傷に伴う痛みを軽減するため、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や痛み止めを使用することがあります。ただし、医師の指示に従って使用する必要があります。

筋肉の強化とリハビリテーション: 筋肉の回復を促すため、医師や理学療法士の指導のもとでリハビリテーションプログラムを行います。ストレッチングや筋力トレーニングなどの運動を取り入れ、筋肉の強化と柔軟性の回復を目指します。

個々の状況によって異なる場合もあります。医師やの指示に従って治療を行うことが重要です。

RICE処置について教えてください。

RICE処置は、急性のケガやスポーツ障害の応急処置として広く知られています。RICEとは、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字を取ったものです。

まず、ケガをした箇所に対して安静にし、動かさないようにします。これにより、さらなる損傷や炎症を防げます。

次に、冷却(アイシング)を行います。氷や冷却パックをケガした部位に直接当てることで、血管を収縮させ、炎症を抑えます。ただし、直接肌に当てる場合は、氷や冷却パックをタオルで包むなどして、肌への刺激を軽減することが重要です。

圧迫(コンプレッション)は、弾性包帯や圧迫バンドを使ってケガした箇所に圧力をかけることです。これにより、腫れや内出血を抑えます。ただし、圧迫が強すぎると血液の循環が悪くなる恐れがあるため、程よい圧力を保つことが大切です。

最後に、挙上(エレベーション)を行います。ケガした部位を心臓よりも高い位置に保つことで、血液の滞留を防ぎ、腫れの軽減に繋がります。できるだけ上げることが理想ですが、状況に応じて可能な範囲で行ってください。

筋挫傷はどれくらいで治りますか?

筋挫傷の治癒期間は、軽度の場合は数週間から数か月、重度の場合はさらに長くかかることもあります。初期治療や適切なエクササイズが重要であり、手術や追加治療が必要な場合もあります。個人や状況により異なるため、専門医や理学療法士の指導を受けながら治療と休息を行うことが重要です。

筋挫傷を予防するにはどうすればいいですか?

筋挫傷(きんざしょう)を予防するためには以下のポイントに注意することが重要です。

適切なウォーミングアップとストレッチ: 運動や活動を始める前に、ウォーミングアップ運動とストレッチを行いましょう。筋肉や関節を十分に準備することで、急激な負荷や過度のストレッチによる挫傷のリスクを減らせます。

筋力トレーニング: 筋力を向上させるトレーニングを継続的に行うことで、筋肉や腱の強度を高められます。バランスの取れた筋力トレーニングを行い、特に関節周辺の筋肉を重点的に鍛えることが挫傷予防に役立ちます。

適切な装備の使用: スポーツや活動においては、適切な装備の使用が重要です。適合サイズの靴やサポーター、プロテクターなどを選び、関節や筋肉を保護し安定させることが挫傷予防につながります。

疲労回復と休息: 疲労が蓄積すると筋肉や腱の柔軟性が低下し、挫傷のリスクが高まります。適切な休息と十分な睡眠をとり、疲労回復に努めましょう。

これらの予防策を実践することで、筋挫傷のリスクを最小限に抑えられます。

筋挫傷によって筋肉破裂や血腫ができてしまったら?

筋挫傷によって筋肉破裂や血腫ができてしまった場合、適切な処置とリハビリが重要です。重症の場合、修復や血腫吸収には通常約4週間かかりますが、程度が強い場合には修復から回復まで約1か月半〜2ヶ月を要することもあります。一部の血腫は吸収されずに残ることもありますので、注射器による血腫吸引や除去手術などの処置が必要になることもあります。エコー検査によって液状部分を観察し、吸引の可否を判断します。

しかし、スポーツ復帰後には注意が必要です。筋断裂の瘢痕(傷跡)部分周辺では、筋肉の再断裂が起こる可能性が高いため、運動前のストレッチやウォーミングアップを十分に行うことが重要です。これにより、筋肉を十分に準備し、再断裂や再発を防ぎます。

総じて、筋挫傷には適切な処置とリハビリが不可欠です。早期の治療と十分な回復期間を確保することで、筋肉の修復と再構築を促進し、スポーツ復帰後の再発や再断裂のリスクを軽減できます。

筋挫傷が一番起こりやすい場所、症状は?

筋断裂が一番起こりやすい場所は、ふくらはぎです。ふくらはぎの筋肉は、歩行や走行時に大きな負荷を受けるため、急激な力や無理な力がかかった際に筋肉が耐えられずに断裂することが比較的多く見られます。ふくらはぎの筋肉は体重を支える役割も果たし、血液を心臓へ戻す重要な役割も担っているため、その負担も大きいです。

ふくらはぎの筋断裂の主な症状は、ふくらはぎの内出血や痛みです。断裂した筋肉の一部が凹んで見えることもあります。痛みの度合いは、個人や断裂の範囲によって異なります。安静時や軽い歩行程度では問題ない場合もありますが、走るときだけ痛みを感じる場合や、歩くだけでも痛みを感じる場合もあります。重度の場合では、安静にしていても痛みが持続することがあります。

症状の重篤さや断裂の範囲によっては、ふくらはぎの筋断裂は日常生活に大きな支障をきたすことがあります。歩行や走行、立つことなど、ふくらはぎの筋肉は多くの動作に関与していますので、断裂が起きるとこれらの動作が困難になる可能性があります。

筋断裂は早期に医師の診断と適切な治療を受ける必要があります。適切な治療プランには安静や経過観察、物理理学療法、場合によっては手術が含まれることがあります。早期の治療と十分なリハビリテーションは、回復を促進し、再発を防ぐために重要です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

筋挫傷は筋肉の損傷であり、回復には時間とケアが必要となります。痛みや腫れ、筋肉のこわばりなどを伴うため、早期の適切な処置と休息を心がけましょう。医師の指導を受けながら、正しいリハビリと予防策に取り組んでください。

編集部まとめ

筋挫傷
筋挫傷はどんな病気なのかについて紹介してきました。

・筋挫傷は、筋肉の急激な伸張や過度の負荷によって生じる筋肉の損傷のこと
・肉離れは、筋挫傷よりも筋肉の繊維の断裂や損傷がより深刻なもの
・筋挫傷の治療には、場合によっては専門的な治療や手術が必要となることがある

これらの情報が筋挫傷はどんな病気なのかについて知りたい方の参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修医師