【NEWS】鎮痛剤「ボルタレン」で心筋細胞が再生か 筑波大学が発表(医師コメント1件) 更新日:2023/03/27 筑波大学などの研究グループは、関節や筋肉の痛みを抑える薬として広く使われる鎮痛解熱剤「ボルタレン」などで知られる非ステロイド性抗炎症薬のジクロフェナクが炎症を抑えるだけでなく、心筋細胞の再生効率を約3倍に高めることがマウスの実験で確かめられたとして、2月20日に発表した。 同大の家田教授は2010年にマウスの心臓の線維芽細胞に特定の遺伝子群を導入すると心筋細胞に変わることを発見し、ヒトへの応用を目指していた。 家田教授は「ヒトの細胞で確認できれば、心臓だけでなく他の臓器でも応用できる可能性がある」と話しており、心筋梗塞治療だけでなく、再生医療全体への貢献が期待される。 医師のコメント 田中 千陽(心臓血管外科専門医) 旭川医科大学心臓外科 助教 虚血性、非虚血性心不全に対し、心筋再生治療は近年研究が進められているが、広く臨床応用される治療法開発は困難を極める。 いままでに幹細胞移植やiPS細胞を用いた臨床研究が行われているが、飛躍的に心機能を改善する再生手法はまだない。 心筋細胞の再生効率が3倍高まるということが臨床上どの程度有効かは未知であるが、一般的な薬剤であるジクロフェナクを用いた遺伝子のリプログラミングという新たな手法が一筋の光明となることを期待したい。 この記事をシェアする