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膵臓がんは「加齢」や「ストレス」で進行? 炎症を引き起こす『タンパク質』を京大らが解明

 公開日:2026/05/15
膵臓がんは「加齢」や「ストレス」で進行? 炎症を引き起こす『タンパク質』を京大らが解明

京都大学iPS細胞研究所(CiRA)らの研究グループは、加齢や細胞へのストレスによって増えるタンパク質「CXCL13」が、膵臓がんの進行に関わる仕組みを特定したと2026年5月2日に発表しました。研究では、CXCL13の増加が慢性的な炎症を引き起こし、がんが悪性化しやすい環境を作ることが示されました。研究内容について中路先生に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

研究グループが発表した内容とは?

編集部

京都大学iPS細胞研究所ら研究グループが発表した内容を教えてください。

中路 幸之助先生中路先生

京都大学iPS細胞研究所(CiRA)らの研究グループは、膵臓がんの進行を加速させる新たな仕組みを明らかにしたと発表しました。研究では、加齢や膵臓細胞へのストレスによって「CXCL13」というタンパク質が増え、膵臓に慢性的な炎症を引き起こすことが確認されました。
本来、CXCL13による炎症反応は傷ついた組織を修復するための防御機能として働きます。しかし加齢やがん化によって炎症反応が長期間続くと慢性化し、がんの進行を後押ししてしまうと考えられています。
また、CXCL13は免疫細胞を過剰に集めることで膵臓の正常な環境を乱し、がんのさらなる悪性化を後押しすることも分かりました。さらに、マウスを使った実験では、この仕組みを制御することで膵臓がんの進行を抑えられる可能性も示されました。今回の研究は、膵臓がんや慢性膵炎の新たな予防法、および治療法の開発につながる成果として期待されます。

研究テーマになった膵臓がんとは?

編集部

今回の研究テーマに関連する膵臓がんについて教えてください。

中路 幸之助先生中路先生

膵臓がんは、膵臓のなかでも「膵管」と呼ばれる部分にできることが多く、進行しやすい特徴を持つがんです。腫瘍が小さいうちは症状がほとんど表れないため、早期発見が難しいとされています。
進行すると腹痛や食欲不振、体重減少、背中の痛み、黄疸(おうだん:皮膚や白目が黄色くなる症状)などがみられることがあります。また、膵臓で作られるインスリンが減ることで、糖尿病の発症や悪化につながる場合もあります。膵臓がんは周囲のリンパ節や肝臓などに転移しやすいため、体調の変化や血糖値の異常を指摘された際は放置せず医師へ相談し、必要に応じて検査を受けるようにしましょう。

研究内容への受け止めは?

編集部

研究グループが発表した内容への受け止めを教えてください。

中路 幸之助先生中路先生

今回の研究は、加齢や日常のストレスといった「誰もが避けられない要因」が、CXCL13という物質を通じて膵臓がんの進行に関わっている可能性を示した点が大きなポイントです。これまで「炎症があるところにはがんができやすい」と言われてきましたが、その仕組みの一部を、膵臓で具体的に確かめた成果とも言えます。 ただし、現時点では主に基礎研究の段階であり、すぐに検査や治療として病院で導入できる状況にはありません。それでも、将来的にはCXCL13のはたらきをうまく調整する治療法や、膵臓がん・慢性膵炎になりやすい人を早期発見するための指標が生まれる可能性があります。
さらに、加齢や生活習慣に伴うストレスが膵臓に慢性的な炎症を起こし、「がんができやすい環境をつくってしまうかもしれない」ことを改めて示した点も重要です。膵臓がんをより早く発見し、早期治療へとつなげていくうえで、新しい考え方のヒントになる研究だと受け止めています。

編集部まとめ

膵臓がんは進行が早く、早期発見が難しい病気として知られています。今回の研究では、加齢やストレスによる慢性的な炎症が、膵臓がんの進行に関わる可能性が示されました。日頃から体調の変化や血糖値の異常を見逃さず、気になる症状がある場合は早めに医療機関へ相談することが大切です。定期的な健康管理を意識しながら、自分の体の変化に目を向けるようにしましょう。

この記事の監修医師