あなたも野菜不足になっていませんか?「尿検査」でできる“手軽な食生活チェック”が開発
公開日:2026/05/08

「1日350g」――これは、厚生労働省が推奨する1日当たりの野菜摂取量です。しかし、食が多様化する現代において、十分量の野菜を毎日食べることは難しいと感じる人も多いでしょう。そこで奈良女子大学の研究グループは、尿検査によって野菜摂取量の一部を手軽に推定できる技術開発に取り組み、3月にその研究成果を発表しました。この内容について中路先生に伺いました。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
研究グループが発表した内容とは?
編集部
奈良女子大学の研究員らが発表した内容を教えてください。
中路先生
奈良女子大学の研究員らは、農林水産省委託プロジェクト研究「健康寿命延伸に向けた食品・食生活実現プロジェクト」(代表機関:農研機構)に参画し、日本の5地域に住む40~74歳の男女202人を対象に、体への負担が少ない24時間尿検査(1日分の尿を集めて成分を調べる方法)で塩分(ナトリウム)、カリウム、ナトリウムとカリウムの比率(Na/K比)、さらに果物や野菜の摂取量をどこまで推定できるかを検証しました。その結果、1回の尿検査でも塩分やカリウム、Na/K比については、普段の摂取状況をある程度判断できることが分かりました。また、野菜の摂取量も一定の精度で推定できました。
一方で、果物の摂取量については複数回調べても十分な精度では把握できませんでした。研究グループは、24時間尿検査が食生活の一部を簡便に確認する方法として役立つ可能性があるとしています。
一方で、果物の摂取量については複数回調べても十分な精度では把握できませんでした。研究グループは、24時間尿検査が食生活の一部を簡便に確認する方法として役立つ可能性があるとしています。
研究結果の活用方法は?
編集部
今回の研究結果の活用方法について教えてください。
中路先生
本技術は、奈良女子大学と共同開発を行った株式会社ヘルスケアシステムズの郵送尿検査サービス『シオチェック』に導入されています。
採尿は体への負担が少なく、特別な機器も必要ない検査です。そのため個人の健康管理だけでなく、企業や自治体、健康保険組合などの健康づくりにも本技術の活用が期待されます。健康維持のためには自分の野菜摂取状況を把握し、不足している場合は、毎日の食事で意識的に野菜を食べる心がけが重要です。
採尿は体への負担が少なく、特別な機器も必要ない検査です。そのため個人の健康管理だけでなく、企業や自治体、健康保険組合などの健康づくりにも本技術の活用が期待されます。健康維持のためには自分の野菜摂取状況を把握し、不足している場合は、毎日の食事で意識的に野菜を食べる心がけが重要です。
研究内容への見解は?
編集部
奈良女子大学の研究員らが発表した内容への見解を教えてください。
中路先生
本研究は、栄養評価の実用性を大きく高める重要な成果といえます。従来、正確な食事評価には数日間にわたる詳細な記録が求められてきましたが、本研究では24時間蓄尿を1回行うだけでも、一定以上の精度で野菜摂取不足を判定可能であることが示されました。特に、野菜がカリウムの主要供給源であることに着目し、尿中カリウム排泄量を指標として活用した点は注目に値します。
臨床の観点から見ると、この手法は予防医療や生活習慣病管理への応用が期待されます。高血圧や心血管疾患は、食塩過剰摂取と野菜不足が重要なリスク要因です。しかし、患者さんによる自己申告の食事内容は必ずしも信頼性が高いとは限りません。尿検査という客観的指標を用いることで、栄養指導の説得力が向上し、患者さんの行動変容を促す可能性があると考えられます。
一方で、いくつかの課題も認識する必要があります。中でも、果物摂取量については複数回の測定を行っても十分な精度での評価が困難であった点は重要です。また、尿中カリウム排泄量から野菜摂取量を推定する際には、個人差や腎機能への影響に加え、芋類や豆類など野菜以外のカリウム供給源の影響を完全に除外することはできません。さらに、野菜の種類や調理方法といった詳細までは把握できないため、本検査のみで具体的な栄養指導を完結させることは困難です。あくまで補助的なスクリーニング手段として位置付けるのが適切と考えられます。
臨床の観点から見ると、この手法は予防医療や生活習慣病管理への応用が期待されます。高血圧や心血管疾患は、食塩過剰摂取と野菜不足が重要なリスク要因です。しかし、患者さんによる自己申告の食事内容は必ずしも信頼性が高いとは限りません。尿検査という客観的指標を用いることで、栄養指導の説得力が向上し、患者さんの行動変容を促す可能性があると考えられます。
一方で、いくつかの課題も認識する必要があります。中でも、果物摂取量については複数回の測定を行っても十分な精度での評価が困難であった点は重要です。また、尿中カリウム排泄量から野菜摂取量を推定する際には、個人差や腎機能への影響に加え、芋類や豆類など野菜以外のカリウム供給源の影響を完全に除外することはできません。さらに、野菜の種類や調理方法といった詳細までは把握できないため、本検査のみで具体的な栄養指導を完結させることは困難です。あくまで補助的なスクリーニング手段として位置付けるのが適切と考えられます。
編集部まとめ
野菜不足は気づかないまま続きやすいため、まずは自分の食生活を客観的に知ることが大切です。今回の研究は、尿検査という手軽な方法で野菜摂取の目安を確認できる可能性を示しました。日々の食事を完璧に管理するのが難しくても、少し意識して野菜の摂取量を増やすことで将来の健康づくりにつながります。できることから食生活を見直してみましょう。




