【大腸がん検診】便潜血検査の採便を「1回」に変更へ。負担軽減で受診者の増加狙う:厚労省が発表
公開日:2026/04/13

厚生労働省は大腸がん検診の便潜血検査について、27年度より、採便回数を2回法から1回法へ見直す方向性を発表しました。回数が減ることで検診の精度に影響はないのか、見落としの心配はないのかなど、不安に思う人もいるのではないでしょうか。詳細を中路先生に解説してもらいました。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
目次 -INDEX-
厚生労働省が発表した内容とは?
編集部
今回、厚生労働省が発表した内容を教えてください。
中路先生
厚生労働省は、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」に基づき、市町村が科学的根拠に沿ったがん検診を進められるよう取り組んでいます。『第46回がん検診のあり方に関する検討会』では、大腸がん検診で用いられる便潜血検査免疫法の採便回数について見直しが検討されました。
同会では、がんになる前の進行ポリープや大腸がんを見つける力について、1回法と2回法を比較しましたが、大きな差は確認されませんでした。一方で、検査キットを医療機関に持参、または郵送する場面では、1回法が2回法に比べて提出しやすく、実際の提出割合も高いことが示されました。そのため、検査精度が大きく変わらないのであれば、より受けやすい1回法にすることで、検診を受ける人を増やせる可能性があると考えられています。
同会では、がんになる前の進行ポリープや大腸がんを見つける力について、1回法と2回法を比較しましたが、大きな差は確認されませんでした。一方で、検査キットを医療機関に持参、または郵送する場面では、1回法が2回法に比べて提出しやすく、実際の提出割合も高いことが示されました。そのため、検査精度が大きく変わらないのであれば、より受けやすい1回法にすることで、検診を受ける人を増やせる可能性があると考えられています。
大腸がんについて
編集部
大腸がんについて教えてください。
中路先生
大腸がんは、大腸の結腸や直腸に発生するがんで、日本人ではS状結腸と直腸にできやすいとされています。腺腫(せんしゅ)という良性の腫瘍ががん化して発生する場合と、正常な粘膜から直接発生する場合があります。早期にはほとんど自覚症状がありませんが、進行すると血便や下血といった症状がみられます。また、貧血によるめまいや、便秘、下痢、便が細くなる、おなかのハリなどが起こることもあります。気になる症状があるときは自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。
発表内容への見解は?
編集部
厚生労働省が発表した内容への見解を教えてください。
中路先生
今回の見直しは、「検査の質を大きく下げることなく、より多くの人に検診を受けてもらう」ことを目指した判断と受け止めています。1回法と2回法を比べた検討では、進行したポリープや大腸がんの発見に大きな差はみられなかった一方、1回法のほうが実際に検体を提出してもらえる割合が高いことが示されました。現在の大腸がん検診で最も問題になっているのは、「検査の種類」そのものよりも、「そもそも検診を受けていない人が多いこと」。そして「便潜血検査で陽性になっても精密検査の内視鏡まで進まない人が一定数いること」です。採便回数を減らして検診ハードルを下げることで、毎年検診を受ける人を一人でも多く増やし、陽性になった人をきちんと大腸内視鏡検査につなげていくことが重要だと考えます。
一方で、1回法になったからといって検査精度が完璧になるわけではなく、出血の少ない早期がんなどは見逃される可能性があります。特に、家族が大腸がんにかかったことのある場合や炎症性腸疾患患者さんなどのリスクが高い人は、検診だけに頼らず、症状がなくても主治医と相談しながら定期的な内視鏡検査を検討してください。今回の変更は、「少しの手間で将来の大きな病気を防ぐチャンスをつかみやすくするための工夫」といえます。便潜血検査はあくまで入り口となるスクリーニング検査ですので、血便や便通の変化が続くときには検診の結果を待たずに受診し、必要に応じて大腸内視鏡検査を受けることが大切です。
一方で、1回法になったからといって検査精度が完璧になるわけではなく、出血の少ない早期がんなどは見逃される可能性があります。特に、家族が大腸がんにかかったことのある場合や炎症性腸疾患患者さんなどのリスクが高い人は、検診だけに頼らず、症状がなくても主治医と相談しながら定期的な内視鏡検査を検討してください。今回の変更は、「少しの手間で将来の大きな病気を防ぐチャンスをつかみやすくするための工夫」といえます。便潜血検査はあくまで入り口となるスクリーニング検査ですので、血便や便通の変化が続くときには検診の結果を待たずに受診し、必要に応じて大腸内視鏡検査を受けることが大切です。
編集部まとめ
大腸がんは早期段階では自覚症状が少ないため、症状が出る前に検診を受けることが大切です。今回の見直しは、より多くの人が無理なく検診を受けられるようにする狙いがあるといえるでしょう。また検診のみに頼らず、日頃から体の変化に目を向け、血便や便通の変化があるときは放置しないで早めの受診を心がけましょう。




