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血液検査1回で「アルツハイマー病を発症する時期」が予測できる? 最新研究を医師が解説

 公開日:2026/04/01
血液検査1回でアルツハイマー病のリスクがわかる?

「いつ、アルツハイマー病を発症するのか」。ワシントン大学の研究チームが、血液中のバイオマーカー「p-tau217」を用いて、症状が現れる時期を数年単位の精度で予測できる可能性を発表しました。単一の血液検査という低負担な方法で「未来の健康リスク」を可視化するこの研究は、早期発見や予防の在り方を根本から変えるかもしれません。この画期的な成果の意義について伊藤先生に詳しく伺いました。

※2026年3月取材。

伊藤 たえ

監修医師
伊藤 たえ(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

血液検査1回で「いつ発症するか」まで予測できる?

編集部

ワシントン大学の研究員らが発表した内容を教えてください。

伊藤 たえ先生伊藤先生

今回のワシントン大学の研究員らによる発表では、2つの独立した集団を追跡したデータをもとに、血液中の「p-tau217」という指標から、アルツハイマー病に関連する変化が陽性になる年齢を推定しました。

その結果、推定された陽性年齢は実際の発症年齢と関連し、誤差の中央値は3.0~3.7年でした。さらに、高齢でp-tau217陽性となった人ほど、症状発症までの期間が短い傾向も示されました。

この研究では単一の血液検査でも、実用的な精度で発症時期を見積もれる可能性が示された点が注目されます。

知っておきたいアルツハイマー病の基礎知識と症状

編集部

今回の研究テーマに関連するアルツハイマー病について教えてください。

伊藤 たえ先生伊藤先生

アルツハイマー病は、1906年にドイツのアルツハイマー博士が50歳代の認知症患者さんを詳しく調べて発表した病気で、後にその名で呼ばれるようになりました。

この病気では、記憶の中枢である海馬の周辺から脳の萎縮が始まり、次第に広がっていきます。そのため、初期は「少し前のことが思い出せない」といった“もの忘れ”が中心ですが、進行すると日付や場所が分からなくなり、さらに重度になると身近な人の顔も分からなくなって寝たきりになることもあります。脳内にはアミロイドβやタウというたんぱく質がたまり、神経細胞が減っていきます。

診断では症状の経過に加え、MRIやPETなどの検査も役立ちます。気になるもの忘れが続くときは、早めに医療機関に相談しましょう。

低負担な検査がもたらす「早期発見」への期待

編集部

ワシントン大学の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。

伊藤 たえ先生伊藤先生

アルツハイマー病を診断する検査はある程度確立されてきましたし、将来の発症の可能性を判断する技術も開発されてきています。しかし、今回の発表では、発症までの期間が推測でき、しかも負担が少ない血液検査で判断できるという点が画期的と考えます。

編集部まとめ

今回の研究では、血液中のバイオマーカーを用いることで、アルツハイマー病の症状が現れる時期をある程度見積もれる可能性が示されました。まだ研究段階ではあるものの、将来的には早期発見や治療、臨床試験の進め方に役立つことが期待されます。もの忘れは加齢でもみられますが、変化が続くときは見過ごさず、日頃から体調や記憶の変化に目を向け、気になる場合は早めに相談することを心がけましょう。

この記事の監修医師