「心房細動のリスクを抑える食事」をご存じですか? 12年の調査で判明した食品と2つの栄養素を医師が解説

国立循環器病研究センターの研究者らは、大豆、イソフラボン、ビタミンK摂取と心房細動リスクの関連性について調査しました。その結果、女性では納豆やビタミンKの摂取量が多いほど心房細動のリスクが低下する傾向がみられました。心房細動は脳梗塞を招く恐れのある身近な不整脈ですが、日々の食習慣がその予防にどう関わるのか。本研究は約12.6年に及ぶ追跡調査により、性別による差異や特定の発酵食品の有用性を浮き彫りにしました。この内容について後平医師に伺いました。
※2026年1月取材。

監修医師:
後平泰信(医療法人徳洲会札幌もいわ徳洲会病院)
研究グループが発表した内容とは?
編集部
国立循環器病研究センターの研究者らが発表した内容を教えてください。
後平泰信先生
この研究は、大豆食品やイソフラボン、ビタミンKなどの栄養素と心房細動の発症との関連を明らかにすることを目的としておこなわれました。30〜90歳の男女5278名を対象に、食品摂取頻度調査と健康データをもとに、約12.6年間追跡調査が実施されました。その結果、222名が心房細動を発症しました。解析の結果、女性では納豆の摂取量が最も多い群で、最も少ない群と比べて心房細動リスクが有意に低下していました。
一方、男性では納豆摂取量との関連は認められませんでした。また、男性では中等度の味噌摂取量と心房細動リスクの低下に関連がみられました。さらに、女性ではビタミンKの摂取量が多いほど心房細動リスクが低くなる傾向が確認されました。しかし、豆腐や大豆、イソフラボンなどの総摂取量と心房細動との間には、男女ともに明確な関連はみられませんでした。以上より、納豆やビタミンKの摂取が、特に女性において心房細動予防に役立つ可能性が示唆されました。
研究テーマになった心房細動とは?
編集部
今回の研究テーマに関連する心房細動について教えてください。
後平泰信先生
診断には心電図検査が必要で、症状が不定期な場合は長時間記録する検査がおこなわれます。治療では抗凝固薬による脳梗塞予防や薬物療法、カテーテル治療などが検討されます。日頃から生活習慣を整え、異変を感じたら早めに医療機関を受診し、主治医と相談しながら適切な治療と予防に取り組みましょう。
研究内容への受け止めは?
編集部
国立循環器病研究センターの研究者らが発表した内容への受け止めを教えてください。
後平泰信先生
女性では納豆をよく食べる人ほど心房細動が少ないことが分かりました。特に納豆に多く含まれるビタミンKを多くとっている女性では、心房細動の発症が大きく減っていました。ただし、この研究は観察研究という方法の研究なので、ビタミンKを多く取っている女性と、心房細動が少ないという事象が一緒に起きやすい関係なだけで、原因と結果とは限らないことに注意が必要です。一方、男性では明確な関連は認められていません。豆腐や大豆食品全体では効果は見られず、納豆という発酵食品ならではの特徴が関係している可能性があります。
ただし「納豆を食べれば必ず予防できる」わけではありません。特に血をサラサラにすることで血栓が詰まる塞栓症を予防するためにワーファリンを服用中の方は納豆は禁止なので注意が必要です。薬の種類や体調に応じて、主治医と相談しながら、無理のない食生活を心がけましょう。
編集部まとめ
今回の研究では、納豆やビタミンKの摂取が、特に女性において心房細動のリスク低下と関連する可能性が示されました。一方で、全ての大豆食品が予防につながるわけではないことも分かっています。心房細動は脳梗塞など重大な合併症につながることもあるため、日頃から生活習慣を整えることが大切です。納豆など身近な食品を上手に取り入れながら、バランスのよい食事や適度な運動を心がけ、気になる症状があれば早めに医師に相談するようにしましょう。



