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中国で「チクングニア熱」拡大中… 高熱・関節痛を引き起こす感染症、日本でも流行する可能性は?

 公開日:2025/08/26

中国・広東省で感染が広がっている「チクングニア熱」。日本ではまだ感染例は確認されていませんが、媒介する蚊が身近に生息しているため、決して無関係な病気ではありません。この感染症について、最新の感染状況や症状、そして私たちが日常生活でできる予防の工夫について、春日医師に伺いました。

春日 武史

監修医師
春日 武史(医師)

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練馬光が丘病院 総合救急診療科 集中治療部門

チクングニア熱の感染状況

チクングニア熱の感染状況を教えてください。

春日医師春日先生

チクングニア熱について、日本国内ではこれまで感染例は確認されていません。一方、中国・広東省では流行が報告されています。2025年7月27日~8月2日までの1週間に、省内で新たに2892例の本地感染が確認され、重症例や死亡例は出ていません。症例の大半は仏山市で2770例にのぼり、そのほかは広州市65例、東莞市と中山市が各11例、深圳市・江門市・肇慶市が各6例、梅州市5例、珠海市と恵州市が各4例、潮州市2例、陽江市と雲浮市が各1例と広範囲に分布しています。

チクングニア熱とは? 原因・症状・予防法

チクングニア熱について、原因・症状・予防法などについて教えてください。

春日医師春日先生

チクングニア熱は「チクングニアウイルス」を保有する蚊、特にネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染する病気です。 症状は、蚊に刺されてから3〜12日(多くは3〜7日)の潜伏期間を経て発熱、発疹、強い関節痛が表れる特徴があります。急性期が収まった後も、リウマチに似た関節痛や腫れが数週間から数年にわたり続くことがあり、生活に支障を及ぼすこともあります。治療は特効薬がなく、解熱鎮痛薬などによる対症療法が中心です。 予防にはワクチンがなく、蚊に刺されない工夫が最も大切です。水たまりをなくして蚊の繁殖を防ぐ、花瓶や鉢皿の水はこまめに交換する、屋外では肌の露出を避けて虫よけ剤を使用する、網戸やエアコンを活用して蚊の侵入を防ぐといった対策が効果的です。流行地域に渡航する際は、防蚊対策が整った宿泊施設を選ぶことも重要です。

チクングニア熱は日本でも流行するリスクはある?

日本でもチクングニア熱が流行するリスクはあるのでしょうか?

春日医師春日先生

チクングニア熱は日本国内でこれまで感染例は確認されていませんが、流行のリスクは一定程度存在します。理由は、ウイルスを媒介する ヒトスジシマカが日本にも生息しているためです。現在までは海外からの輸入例にとどまっていますが、もしウイルスを持つ人が夏場に日本へ入国し、ヒトスジシマカに刺されてウイルスが媒介されれば、局所的な感染拡大が起こる可能性があります。

編集部まとめ

チクングニア熱は、蚊に刺されることで感染し、高熱や強い関節痛を引き起こす病気です。日本での感染例はありませんが、媒介するヒトスジシマカが生息しており、リスクはゼロではありません。日々の小さな対策が、自分や家族を守る大きな一歩につながります。

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