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閉経後の女性、イソフラボン摂取で「脳梗塞」「心筋梗塞」リスク低下 大豆食品が予防のカギ

 更新日:2025/07/25

国立循環器病研究センターの研究員らは、脳梗塞や心筋梗塞と大豆およびイソフラボンの摂取の関連性を調査しました。研究の結果、閉経後の日本人女性の大豆やイソフラボンの摂取が脳梗塞・心筋梗塞のリスク低下と関係する可能性があると示唆されました。この内容について伊藤医師に伺いました。

伊藤 たえ

監修医師
伊藤 たえ(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

研究グループが発表した内容とは?

国立循環器病研究センターの研究員らが発表した内容を教えてください。

伊藤 たえ医師伊藤先生

国立循環器病研究センターの研究員らは、日本人男女約4万人を対象に、13年間にわたる追跡調査をおこない、大豆やイソフラボンの摂取と脳梗塞や心筋梗塞のリスクとの関連を検証しました。その結果、女性において大豆の摂取頻度が高いほど脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクが低くなる傾向がみられ、特に閉経後の女性でその傾向が顕著でした。イソフラボン摂取量が高い群では、脳梗塞のリスクが65%、心筋梗塞のリスクが63%低下していました。一方で、男性には同様の関連は確認されませんでした。 これらの結果から、閉経後の日本人女性においては、イソフラボンの摂取が脳梗塞・心筋梗塞の予防に有効である可能性が示唆されました。大豆食品は日本人の食生活に深く根付いており、味噌汁や豆腐などを通じて日常的に取り入れやすいことから、今後の予防策としての食習慣の見直しに役立つ知見となると考えられます。

イソフラボンの適量や健康効果とは?

イソフラボンの適量や健康効果について教えてください。

伊藤 たえ医師伊藤先生

イソフラボンは大豆に含まれる成分で、女性ホルモンであるエストロゲンに似た働きを持ち、更年期の不調や骨粗しょう症、乳がんや前立腺がんなどの予防に効果が期待されています。特に閉経後の女性においては、脳梗塞や心筋梗塞のリスク低下にも関係するという研究結果もあります。 しかし一方で、イソフラボンの過剰摂取のリスクも指摘されています。大豆に含まれるイソフラボンから糖が外れた成分である「大豆イソフラボンアグリコン」は、腸内で吸収されやすく、発酵食品に多く含まれます。過剰摂取による影響が懸念されることもあり、食品安全委員会は特定保健用食品などによる大豆イソフラボンアグリコンの追加摂取を、1日30mg以内に抑えるよう注意を促しています。イソフラボンの過剰摂取には気をつけるようにしながら、毎日の食事にバランスよく取り入れて、健康的な生活を心がけましょう。

研究内容への受け止めは?

国立循環器病研究センターの研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。

伊藤 たえ医師伊藤先生

脳梗塞や心筋梗塞は、命に関わったり、重い後遺症を残したりする可能性のある怖い病気です。閉経後の女性では、大豆やイソフラボンの摂取が、そのリスクを低下させることが示された今回の研究は重要であると考えます。イソフラボンは女性ホルモン様作用もあるため過剰摂取には中止が必要ですが、適切に摂取して脳梗塞や心筋梗塞の予防につなげましょう。

編集部まとめ

イソフラボンを多く含む大豆食品は、特に閉経後の女性において、脳梗塞や心筋梗塞のリスク低下に関係することが日本の大規模研究で示されました。味噌汁や豆腐などの大豆食品は日本人にとって馴染み深く、毎日の食事に取り入れやすいのが特徴です。過剰摂取に注意しながら、健康を支える食習慣を続けていきましょう。

この記事の監修医師