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悪玉コレステロール値を下げたいなら「大豆」を食べるべき理由【管理栄養士が解説】

 公開日:2023/10/26
コレステロール値を下げるには「大豆」 がおすすめ! どのような健康効果があるか管理栄養士が解説

納豆や豆腐などの大豆食品の健康効果については昔からTVやメディアで取り上げられることが多く、ふだんから大豆食品を摂り入れている方も多いですよね。さらに大豆にはコレステロール値を下げる機能があります。そこで、今回は大豆の栄養素やコレステロールを下げる機能について、管理栄養士の栗城さんに解説していただきました。

栗城 智子

監修管理栄養士
栗城 智子(管理栄養士)

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東京農業大学卒業。食品メーカーにて開発や品質保証の業務に従事。管理栄養士のほか、医薬品登録販売者、中級食品表示診断士、コスメコンシェルジュ、離乳食アドバイザーなどの資格を保有。特定保健指導やドラッグストア勤務において人々の食事や健康、サプリメントに関する悩みに寄り添ってきた経験を生かし、現在は管理栄養士ライターとして執筆や監修に携わる。

なぜ大豆がコレステロール値を下げると言われる? 大豆に含まれている栄養素を紹介

なぜ大豆がコレステロール値を下げると言われる? 大豆に含まれている栄養素を紹介

編集部編集部

はじめに、大豆に含まれる主な栄養素について教えてください。

栗城 智子さん栗城さん

大豆の主な特徴は、なんといってもタンパク質です。「畑の肉」と呼ばれる通り、食品中に含まれる必須アミノ酸のバランスを評価した「アミノ酸スコア」が大豆は100になります。アミノ酸スコアが100の食品は肉や魚などありますが、大豆はコレステロールなどの無駄な脂質を一緒に摂ることなく、良質なタンパク質を摂ることができます。大豆には、タンパク質以外にもリノール酸やリノレン酸などの不飽和脂肪酸やビタミン・ミネラルなどが豊富に含まれています。

編集部編集部

大豆と聞くと大豆イソフラボンも有名ですが、どのような特徴がありますか?

栗城 智子さん栗城さん

大豆イソフラボンは女性の美容と健康に良いイメージがあると思いますが、その理由は大豆イソフラボンの化学構造にあります。大豆イソフラボンは女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)と構造が似ているため、生体内のエストロゲン受容体とくっついてエストロゲンと似た作用をします。

編集部編集部

大豆はどのようにしてコレステロールを下げるのでしょうか?

栗城 智子さん栗城さん

コレステロールの中でも「LDLコレステロール」は悪玉コレステロールと呼ばれ、数値が高くならないようにする必要があると言われています。しかし、LDLコレステロールは本来悪者ではなく、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ作用があります。しかしバランスが悪くなってLDLコレステロールが高値になると、動脈硬化などを発症する恐れがあります。そして、大豆タンパク質は腸の中で胆汁酸と結合して便とともに排出されます。この胆汁酸は肝臓においてコレステロールから作られることから、肝臓では血中からコレステロールを取り込むようになります。つまり、コレステロールから胆汁酸が作られ、大豆タンパク質と結合して体の外へ排泄される、という流れで血中のコレステロールが下がるという仕組みです。ほかにも大豆レシチン食物繊維が含まれていることもコレステロールを下げるにあたってプラスに働いています。

コレステロール値を下げるだけじゃない! 大豆を食べることによる健康効果を解説

コレステロール値を下げるだけじゃない! 大豆を食べることによる健康効果を解説

編集部編集部

大豆を摂ることによるコレステロール値低下以外のメリットを教えてください。

栗城 智子さん栗城さん

大豆は美容と健康にとても良い食品です。まず、大豆に含まれるオリゴ糖は腸内細菌のエサとなって善玉菌を増やす、おなかの調子を整える作用が期待できます。次に、大豆サポニンには抗酸化作用があり、活性酸素を取り除いて酸化の働きを抑える働きがあります。ほかにもビタミンB群やE、Kも含むため、大豆1粒は小さいながらも栄養の宝庫なんですよ。

編集部編集部

大豆食品はたくさんありますが、どれを食べても良いのですか?

栗城 智子さん栗城さん

大丈夫です! ぜひご自身の食生活に取り入れやすい形で食べていただくのが良いと思います。ただし納豆は加熱によって納豆菌が死滅し、ナットウキナーゼという酵素も失活する可能性があるため、そのまま召し上がってください。高野豆腐も健康に良く、凍らせる製造工程により栄養素がギュッと凝縮されています。枝豆は大豆の未熟な状態なので大豆の仲間ですが、食品成分表においては豆類ではなく野菜類に分類され、大豆と比べると葉酸が豊富です。そして、朝食に豆乳をプラスすれば、大豆の栄養素だけでなくタンパク質も摂れて良いことづくしですね。

※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)豆類/だいず/[全粒・全粒製品]/全粒/黄大豆/国産/ゆで」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=4_04024_7

※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)野菜類/えだまめ/ゆで」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06016_7

編集部編集部

大豆は妊婦さんには良くないと聞いたことがあります。妊娠中は制限した方が良いですか?

栗城 智子さん栗城さん

大豆イソフラボンを豊富に含むことで、そういった噂が広まったようです。内閣府の食品安全委員会も「通常の食生活にさらにプラスして、サプリメントなどで大豆イソフラボンを上乗せして摂取することはおすすめしない」という見解を示しています。これは決して大豆食品を摂ってはいけないという意味ではありません。ですがバランスはやはり大事で、ある食品を摂り過ぎるのではなくさまざまな食材から栄養素を摂るのが良いですね。

参照:厚生労働省「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」

コレステロール値を下げるとどのような疾患が防げる? 肥満予防やダイエットにも効果的?

コレステロール値を下げるとどのような疾患が防げる? 肥満予防やダイエットにも効果的?

編集部編集部

コレステロールを下げることでどのような疾患を予防できますか?

栗城 智子さん栗城さん

先程も少しお伝えした、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)に関してお話したいと思います。LDLコレステロールが高値な状態のまま放っておくと、動脈硬化のリスクが高まります。さらに動脈硬化が進むと心筋梗塞や脳出血になる恐れがあります。もし健診などでLDLコレステロールについて指摘を受けた場合は、値を下げるための生活改善をしていきましょう。

編集部編集部

LDLコレステロールを下げるにはどうすれば良いのでしょうか?

栗城 智子さん栗城さん

LDLコレステロールを下げるためにはまず食事療法と運動療法を取り入れましょう。食事では大豆や海藻、きのこなどから食物繊維をたっぷり摂り、不要なコレステロールを体の外へ排出しましょう。運動は有酸素運動のウォーキングがおすすめですが、取り組むのが難しいと思う方は寝る前のストレッチから始めるのはいかがでしょうか。これらの生活改善はLDLコレステロール値の改善のみならず健康への第一歩です。ぜひ取り入れてみてください。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

栗城 智子さん栗城さん

大豆の良さはなんといっても食品の形態がたくさんあることです。豆腐、納豆、油揚げ、豆乳、そして最近では大豆ミート(ソイミート)といった植物性代替肉も話題になりました。特定保健指導の際、夕食が遅くなる方には間食として血糖値が上がりにくい低GI食品の大豆バーを摂ることもおすすめです。ぜひ、大豆が持つたくさんのメリットを活用してくださいね!

編集部まとめ

今回は大豆の栄養素の特徴やコレステロールを下げる機能について解説していただきました。大豆はコレステロールを下げるだけでなく多くのメリットがあり、日々を健康に過ごすためにとても良い食品であることがわかりました。ぜひ、大豆食品(豆腐、納豆、豆乳など)を積極的に取り入れてみましょう。

この記事の監修管理栄養士