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“身近な飲み物”が寿命を縮めるキッカケに… 「甘味飲料」の飲み過ぎで死亡リスク上昇

 更新日:2025/07/16

東京大学の研究員らは、砂糖入り飲料の摂取と全死亡率、さらに循環器系疾患や心臓病などの原因別死亡率との関連性を明らかにするための研究をおこないました。その結果、砂糖入り飲料を多く摂取する人ほど、全死亡リスクや循環器疾患による死亡リスクが有意に高いことが判明しました。この内容について久高医師に伺いました。

久高 将太

監修医師
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)

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琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。内分泌代謝・糖尿病内科専門医。

研究グループが発表した内容とは?

東京大学の研究員らが発表した内容を教えてください。

久高 将太医師久高先生

東京大学の研究員らが実施した前向き研究によると、日本人における砂糖入り飲料の摂取と死亡率の関連が明らかになりました。研究は1995~2015年にかけて、45〜74歳の男女7万486人を対象におこなわれ、平均17. 1年間の追跡調査が実施されました。 その結果、1万1811人の死亡が確認され、砂糖入り飲料の摂取量が多い人ほど全死亡率は高い傾向にあることが示されました。具体的には、摂取量が最も多いグループでは、最も少ないグループと比べて死亡リスクが15%高く、循環器系疾患による死亡リスクは23%、心臓疾患による死亡リスクは35%高いという結果が得られました。これらの数値は、砂糖入り飲料の摂取量の増加に伴ってリスクが上昇することを示しており、統計的にも有意な傾向が認められました。 以上のことから、砂糖入り飲料の摂取は、日本人においても健康リスクと密接に関係していることが研究によって判明しました。

甘味飲料とは?

甘味飲料とはなんですか? 1日にどれくらいまでなら飲んでもいいですか?

久高 将太医師久高先生

甘味飲料とは、砂糖や果糖ブドウ糖液糖、あるいはアスパルテームやスクラロースなどの人工甘味料を使用した清涼飲料のことです。代表的なものには炭酸飲料コーヒー飲料果汁飲料などがあり、のどの渇きを癒やしたり、リフレッシュしたりするために飲まれています。 目安として、1日に摂取する砂糖量は、小学生未満や70歳以上では10g、小学生以上では20gが推奨されています。炭酸飲料500mlには約40〜65gの糖分が含まれ、角砂糖で言えば10〜16個分に相当します。缶コーヒー190mlでも2〜13.5g、スポーツドリンク500mlには20〜34gの糖分が含まれており、いずれも決して少なくありません。甘味飲料1本だけでその上限を超えてしまうこともあります。また、人工甘味料を含む飲料でも、甘さが食欲を刺激して過食の原因になる可能性があるため、量を決めて飲むことが大切です。 自分の健康状態を意識しながら、甘味飲料とは適度な距離で付き合うようにしましょう。

研究内容への受け止めは?

京大学の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。

久高 将太医師久高先生

今回の研究で糖の摂取量が多い人ほど死亡率が高いという結果が得られましたが、実際に糖の摂取量のみが死亡率に寄与したのかどうかは慎重に考察する必要があります。例えば、糖を過剰に摂取する人は、そのほかの不健康な生活習慣を有している可能性もあるからです。現在、糖質0などを謳った商品の多くはアスパルテームなどの人工甘味料を含んでおり、腸内環境や味覚の変化を介して健康に悪影響を与える可能性も報告されています。したがって、今後も長期的な影響が評価されるまでは、人工甘味料も最小限の摂取とするように心がけましょう。

まとめ

東京大学の研究は、砂糖入りの甘味飲料を日常的に多く摂取する人が、全体の死亡リスクや循環器疾患による死亡リスクが高くなることを明らかにしました。私たちが普段何気なく飲んでいる炭酸飲料や缶コーヒーにも、多くの糖分が含まれています。健康を守るためには、日々の飲み物にも目を向け、甘味飲料の量を意識してコントロールしていくことが大切です。

この記事の監修医師