“水道水で食中毒”群馬で異例の感染事例… 医師が解説「食中毒リスクとなる身近な原因」

群馬県神流町で、水道水が原因とされるカンピロバクターによる食中毒が発生しました。地域住民14人が下痢や発熱などの症状を訴え、調査の結果、水道水から基準値を超える細菌が検出されたとのことです。この事件の詳細や食中毒になりやすい食品・予防策について、吉野先生に解説していただきました。

監修医師:
吉野 友祐(医師)
群馬県が発表した内容とは?
群馬県が発表したカンピロバクター食中毒事件について教えてください。
吉野先生
群馬県神流町で発生した「水道水を原因とするカンピロバクター食中毒事件」では、相原地区の住民37人のうち14人が下痢、腹痛、発熱などの消化器症状を呈し、カンピロバクターによる集団感染と判断されました。調査の結果、相原配水池の水から基準値を超える細菌が検出され、有症者の共通摂取物が水道水のみであったことから、水道水が原因と断定されました。群馬県は水道法に基づき、配水池の管理を含む改善指示を町に出すとともに、対象地域に対して飲用制限措置を講じました。現在、有症者は全員快方に向かっています。
食中毒について
食中毒になりやすい食品を教えてください。また、症状や発症して何日で治るのかについても教えてください。
吉野先生
食中毒になりやすい食品には、生や加熱不十分な卵・肉・魚、特に鶏肉や豚レバー、カキなどの二枚貝、生野菜、調理後に常温で放置されたおにぎりやお弁当などが挙げられます。
原因となる菌やウイルスによって症状は異なり、下痢・腹痛・発熱・嘔吐などが代表的です。潜伏期間は数時間〜数日と原因微生物によって異なりますが、なかでもカンピロバクター感染は潜伏期間が比較的長く、通常2〜7日程度で発症します。多くの食中毒は軽症で数日以内に自然回復しますが、重症化した場合や免疫が低下している方では回復に1週間以上かかることもあります。日頃から食材をしっかり加熱し、手洗いや調理器具の衛生管理を徹底して、食中毒の予防に努めましょう。
食中毒事件の発表内容への受け止めは?
群馬県が発表したカンピロバクター食中毒事件について、内容への受け止めを教えてください。
吉野先生
今回のように、水道水が原因とされるカンピロバクター食中毒は珍しいケースですが、だからこそ注目すべき重要な事例です。普段から私たちが何気なく使っている水道水も、管理が不十分だと感染症のリスクにつながる可能性があります。
神流町では、調査と対応が迅速におこなわれたことで、被害の拡大を防ぐことができました。今後も水道施設の点検や水質管理の徹底が求められます。また、住民一人ひとりが、食中毒や感染症について正しい知識を持ち、日常生活での衛生管理を意識することも大切です。
編集部まとめ
今回の事例は、水道水という日常的なインフラが感染源となり得ることを示した重要なケースです。カンピロバクターのリスク管理は、食品だけでなく水源にも及ぶ必要があることが明らかになりました。私たち一人ひとりが、正しい衛生管理と予防意識を持ち続けることが大切です。





