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ガムの知られざる“健康リスク”が判明 噛むだけで「マイクロプラスチック」を摂取している

 公開日:2025/04/14

アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究員らは、「チューインガムが唾液中にマイクロプラスチックを放出する可能性がある」という予備的な研究結果を発表しました。この内容について本多医師に伺いました。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

研究グループが発表した内容とは?

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究員らが発表した内容を教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

今回紹介する内容は、スペイン・サンディエゴで開催されたアメリカ化学会春季会議で発表された「チューインガムが唾液中にマイクロプラスチックを放出する可能性がある」という予備的な研究結果についてです。カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームは、天然ガムと合成ガムの両方を対象に実験をおこない、1個のガムから最大で数千個のマイクロプラスチックが放出されることを確認しました。

1人の被験者に4分間ガムを噛んでもらい、その唾液サンプルを採取し、赤く染色した粒子の顕微鏡観察や分光法を使って粒子数や素材を分析しました。その結果、ガムの種類に関係なく、ポリエチレンやポリプロピレンを含むポリオレフィン系プラスチックが多く確認されました。さらに、マイクロプラスチックの大半は噛み始めて2分以内に放出されることも分かりました。

研究者は「新しいガムを噛むよりも、1枚のガムを長時間噛み続けることで曝露を減らせる可能性がある」と述べています。ただし、今回の研究は20マイクロメートル以上の粒子に限られており、より小さな粒子やナノプラスチックの影響については今後の調査が必要です。また、環境保全の観点からも、ガムは適切に廃棄するよう呼びかけています。

マイクロプラスチックが含まれている食べ物とは?

ガム以外にも、マイクロプラスチックが含まれている食べ物があれば教えてください。また、マイクロプラスチックは人体にどのような悪影響があるのでしょうか?

本多 洋介 医師本多先生

私たちが日常的に食べている魚介類にも、マイクロプラスチックが含まれています。例えば、東京湾で釣られたカタクチイワシの多くから、マイクロプラスチックが検出されています。

マイクロプラスチック自体の毒性は少ないとされていますが、それに含まれる化学物質や添加剤が体内に取り込まれ、蓄積することで健康へ悪影響を及ぼす可能性があります。中には発がん性や内分泌かく乱作用があるとされる物質も含まれており、特に脳組織への移行も実験で確認されています。

魚を通じて私たちの体にも同様の影響が及ぶ恐れがあるため、環境と健康の両面からプラスチック使用を見直し、日々の生活を改善していきましょう。

研究内容への受け止めは?

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。

本多 洋介 医師本多先生

今回の研究で、ガムを1枚嚙むだけで多くのマイクロプラスチックが体内に放出されることが報告されました。マイクロプラスチックは身の回りのあらゆるものに含まれており、我々はその中で生活しながらも、平均寿命は延びてきました。マイクロプラスチックが短期的な生命予後に影響を与える可能性は低いと思いますが、体内に蓄積されることによって遺伝子や染色体に影響を及ぼしていくのかということは、今後の研究によって明らかになってくることを期待したいです。環境に配慮し、ガムを適切に廃棄することは、私たちが暮らす環境を守るために今日から取り組むべき課題でしょう。

編集部まとめ

今回の研究は、普段から何気なく噛んでいるガムからマイクロプラスチックが唾液中に放出される可能性を示しました。マイクロプラスチックは魚介類などにも含まれ、体内への蓄積や健康への影響が懸念されています。私たちができることは、日常の中でプラスチック製品の使用を見直し、環境や体への負荷を減らすことです。小さな意識が、未来の健康と地球を守る第一歩になります。

この記事の監修医師

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