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コーヒー・紅茶は“がん予防”に有効「頭頸部がん」発症リスク低下を確認 米研究

 公開日:2025/02/02

アメリカのUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)らの研究グループは、コーヒーや紅茶の摂取が頭頸部がんリスクに与える影響に関する調査結果を発表しました。

この内容について五藤医師に伺いました。

五藤 良将

監修医師
五藤 良将(医師)

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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。

研究グループが発表した内容とは?

UCLAらの研究グループが発表した内容を教えてください。

五藤 良将 医師五藤先生

UCLAのフィールディング公衆衛生大学院のティモシー・グエン氏らは、コーヒーおよび紅茶の摂取が頭頸部がんリスクに与える影響についての研究結果を発表しました。この研究では、14件の症例対照研究から集めた9548人の頭頸部がん症例と1万5783人を対象に、コーヒーと紅茶の摂取量と頭頸部がんリスクの関連を分析しました。

その結果、カフェイン入りコーヒーを1日4杯以上飲むことが頭頸部がん全体のリスク低減と関連し、特に口腔がんや中咽頭がんのリスク低下が顕著でした。また、カフェイン抜きコーヒーの摂取は口腔がんのリスク低減と関連しました。一方、紅茶の摂取については、下咽頭がんのリスク低減が確認されたものの、1日1杯を超える紅茶の摂取は喉頭がんリスクの上昇と関連していました。

コーヒーや紅茶に含まれるポリフェノールなどの生理活性化合物の抗酸化作用や抗炎症作用が、これらのリスク低減に寄与している可能性が示唆されています。ただし、喉頭がんリスクの増加については、お茶に含まれるテオフィリンが胃食道逆流症を誘発し、それが喉頭がんのリスク要因となる可能性が指摘されています。

研究グループは、コーヒーや紅茶が頭頸部がん予防に役立つ可能性を認めつつ、地域や種類による摂取習慣の違いを考慮したさらなる調査の必要性を強調しました。また、本研究のデータは主に北米とヨーロッパから得られており、他地域への適用には慎重な検討が求められます。

頭頸部がんとは?

今回の研究テーマに関連する頭頸部がんについて教えてください。

五藤 良将 医師五藤先生

頭頸部がんは、口腔がん、咽頭がん、喉頭がんなど、頭部や頸部の粘膜に発生するがんの総称です。代表的な頭頸部がんのうち、口腔咽頭がんの発生頻度は、全がんの約5%と比較的低い傾向にあります。ただし、頭頸部がん全体では種類が多く、それぞれ原因や治療法、予後が異なります。一部のがんは中高年男性に多いですが、若年者や女性でも発症することがあります。

頭頸部がんの主な原因には、喫煙や過度の飲酒、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染などが挙げられます。症状としては、口内や喉のしこりや潰瘍、声のかすれ、飲み込みの困難、耳への痛みなどが特徴的です。

頭頸部がんは、呼吸や嚥下、発声などの機能を維持しながら治療を進める必要があり、専門性の高い技術が求められます。早期発見で治療の効果が高まるので、喫煙や飲酒を控え、定期的に健康診断を受けましょう。

研究内容への受け止めは?

アメリカのUCLAらの研究グループが発表した内容への受け止めを教えてください。

五藤 良将 医師五藤先生

アメリカのUCLAらの研究チームが示した結果には興味深い点が多く含まれていますが、この研究結果だけでコーヒーや紅茶の摂取が直接的に頭頸部がんリスクを低減すると結論づけるには、まだ慎重な検討が必要であると考えます。ポリフェノールなどの抗酸化成分が抗がん効果を示す可能性は認められますが、これを一般的な推奨とする前に、さらに多くの研究と詳細なデータが必要とされます。また、紅茶の摂取が喉頭がんリスクを増加させる可能性については、特に気をつけるべきです。食習慣や生活習慣の全体的なバランスを考慮し、適度な消費が推奨されます。さらに、喫煙や過度のアルコール摂取など、ほかのリスク因子にも注意を払うことが重要です。これらの生活習慣もがんリスクに大きく影響するため、健康な生活習慣を心がけることが推奨されます。

編集部まとめ

今回の研究では、コーヒーや紅茶の摂取が頭頸部がんのリスクに与える影響を調査しました。その結果、カフェイン入りコーヒーを1日4杯以上飲むことで、頭頸部がんのリスクが低下する可能性が示されました。一方で、紅茶を1日1杯以上摂取することで喉頭がんのリスクが増加する可能性も示唆されています。
コーヒーや紅茶に含まれるポリフェノールなどの抗酸化成分が予防に寄与している可能性がありますが、過度の摂取や種類による影響の違いにも注意が必要です。適量を心がけることで、日々の生活をより健康的に過ごしましょう。

この記事の監修医師

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