「マイコプラズマ肺炎」過去最大級の流行…感染すると何日休む必要がある?【医師解説】
国立感染症研究所は、現在の集計方法になった1999年以降、1医療機関あたりの「マイコプラズマ肺炎」患者の報告数が、最多を更新したと明らかにしました。このニュースについて武井先生に伺いました。
監修医師:
武井 智昭(高座渋谷つばさクリニック)
平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属
マイコプラズマ肺炎の感染状況とは?
今回ニュースで取り上げられたマイコプラズマ肺炎の感染状況について教えてください。
国立感染症研究所は、2024年11月11〜17日の1週間に全国約500の定点医療機関から報告されたマイコプラズマ肺炎の患者数を明らかにしました。報告によると、1医療機関あたりのマイコプラズマ肺炎の患者の報告数は全国平均で2.84人となり、現在の集計方法になった1999年以降、最も多くなりました。昨年の同時期と比べると、56.8倍の患者数になります。
1医療機関あたりの患者の報告数が最も多くなったのは福井県で、8.83人でした。2番目に多くなったのは青森県で5.00人となりました。次いで茨城県が4.92人、京都府が4.71人、北海道が4.59人と続いています。
マイコプラズマ肺炎に感染するとどうなる? 何日休む必要がある?
過去最多ペースの感染状況となっているマイコプラズマ肺炎ですが、感染するとどうなるのでしょうか? また、感染した場合、どの程度休みを取る必要がありますか?
マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」という細菌に感染することで発症する呼吸器の感染症です。報告された感染者の8割は14歳以下ですが、成人の感染報告もあります。マイコプラズマ肺炎は、周期的に大流行を起こすことが知られており、日本では4年周期での流行が報告されています。
マイコプラズマ肺炎は、感染者が咳をした際のしぶきを吸い込むことや、感染者との接触によって感染します。感染してから発症するまでの潜伏期間は2~3週間と長いことが特徴です。発症すると発熱や全身の倦怠感、頭痛、咳などの症状がみられ、熱が下がっても長期的な咳が続きがちです。
マイコプラズマ肺炎の治療には、抗生物質やマクロライド系などの抗菌薬が用いられます。しかし、最近は抗生物質が効かない耐性菌も増えてきています。マイコプラズマ肺炎の感染を防ぐためには、普段から手洗いをすることが大切です。
学校などの登校については、マイコプラズマ肺炎になっても出席停止期間の定めはありません。元気になるには治療開始から1週間程度必要なので、体調が回復するまではお休みした方がいいでしょう。
マイコプラズマ肺炎にかからないための対策は?
マイコプラズマ肺炎にかからないための対策を教えてください。
特に大事なのは、普段から水と石けんでよく手を洗うことです。また、マイコプラズマ肺炎に感染した場合は、家族の間でタオルを共同で使うことは避けましょう。せきが出る場合は、マスクを着用するなどの咳エチケットも忘れないでください。そのほか、規則正しい生活(食事・運動・睡眠)や体を温めることも、感染予防という観点から免疫を高めるために重要です。
編集部まとめ
国立感染症研究所は、現在の集計方法になった1999年以降、1医療機関あたりの「マイコプラズマ肺炎」患者の報告数が、最多を更新したと明らかにしました。これから年末年始を迎える中で、マスクの着用やせっけんによる手洗い、アルコールによる手指衛生などに気をつけて、マイコプラズマ肺炎に感染しないよう対策を講じましょう。