FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. NEWS
  3. 新型コロナワクチン接種率は低迷 接種者から感染する「シェディング」のウワサが一因か

新型コロナワクチン接種率は低迷 接種者から感染する「シェディング」のウワサが一因か

 公開日:2024/11/15

福岡資麿厚生労働大臣は、新型コロナウイルスワクチンの定期接種について、2024年11月8日時点で約457万回分に留まっている現状を明らかにしました。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

今回のニュース内容とは?

福岡資麿厚生労働大臣が明らかにした新型コロナウイルスワクチンの接種状況について、現時点でわかっていることを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回取り上げるニュースは、2024年11月12日に開かれた、福岡資麿厚生労働大臣の閣議後記者会見で明らかにされた情報が元になっています。福岡厚生労働大臣は、今シーズンの新型コロナウイルスワクチンの具体的な実施数について「現時点で実数は把握していません」とした上で、2024年11月8日時点の新型コロナウイルスワクチンの医療機関への納入量について記者団に対して情報を開示しています。

福岡厚生労働大臣によると、2024年11月8日時点で医療機関に納入されたワクチン量は、各メーカー合わせて約457万回分だということです。今シーズンの新型コロナウイルスワクチンの供給見込み量は、約3224万回分となっているので、現時点で今シーズン全体の供給見込みの14%程度に留まっている計算です。ワクチン供給については、「十分な量のワクチンが供給される見通し」と語った上で、「新型コロナウイルスワクチンの定期接種は重症化予防を目的とし、例年、冬にかけて感染拡大がみられていることから、定期接種の対象者は、ぜひ接種をご検討いただきたいと考えています」と呼びかけました。

今シーズンの新型コロナウイルスワクチン定期接種の内容は?

今シーズンの新型コロナウイルスワクチンの定期接種について教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

新型コロナウイルスワクチンの今シーズンの定期接種は、インフルエンザワクチンと同じように原則、費用の一部を自己負担する形で実施されています。対象となるのは、65歳以上の高齢者と、60~64歳までの重症化リスクの高い人です。

定期接種に使われるワクチンは、ファイザー、モデルナ、第一三共のmRNAワクチンノババックスが開発して武田薬品工業が販売する組替えタンパク質ワクチンMeiji Seikaファルマのレプリコンワクチンの5種類です。レプリコンワクチンは、接種後の一定期間、ウイルスの働きを抑える中和抗体の産生につながるmRNAが体内で増える特徴があり、接種量を従来の6分の1から20分の1で済ますことができます。Meiji Seikaファルマがおこなった臨床試験では、接種後1カ月時点で、血中の中和抗体量は接種前の8倍、半年時点でも4倍の数値が確認されています。また、海外製の承認済みワクチンと比べて中和抗体量が高く、副反応の頻度に違いがみられなかったことも示されています。

その一方で、ワクチンを接種した人が周囲の人に感染させる「シェディング」と呼ばれるリスクについて、ネットを中心に情報が拡散しています。日本感染症学会・日本呼吸器学会・日本ワクチン学会は、注目されているレプリコンワクチンについて「ワクチンに感染力のあるウイルスなどは含まれていないことから、シェディングのリスクはない」としています。

今回のニュースへの受け止めは?

福岡資麿厚生労働大臣が明らかにした新型コロナウイルスワクチンの接種状況について、受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回の新型コロナウイルスのワクチン接種の伸び悩みの原因として、現在は比較的感染状況が落ち着いていることに加え、シェディングのリスクを含む「ワクチンの効果への疑問」や「ワクチンの副反応の懸念」などが挙げられると思います。接種率を引き上げるためには、引き続きエビデンスに基づいたわかりやすい情報発信が必要であると考えられます。また、自治体のワクチン接種への財政面の援助も重要です。

編集部まとめ

福岡資麿厚生労働大臣は、新型コロナウイルスワクチンの定期接種について、2024年11月8日時点で約457万回分に留まっている現状を明らかにしました。ワクチン接種が伸び悩んでいる状況となっており、今後の接種状況についても注目が集まりそうです。

この記事の監修医師