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ニキビは「ピロリ菌感染」のサイン!? 関連性が研究で判明 “大人の皮膚疾患”に要注意

 公開日:2024/10/24

エジプトのアインシャムス大学らの研究グループは、「ピロリ菌の感染が、ニキビの有病率や重症度と関連している可能性がある」という結果を発表しました。この内容について中路医師に伺いました。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

研究グループが発表した内容とは?

エジプトのアインシャムス大学らの研究グループが発表した内容を教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

今回紹介する研究報告は、エジプトのアインシャムス大学らの研究グループによるもので、研究成果は学術誌「Archives of Dermatological Research」に掲載されています。

2021年11月~22年10月にニキビ治療のため病院の皮膚科外来を訪れた患者と、年齢・性をマッチングさせた健康ボランティアの2グループで研究が実施されました。対象となったのは90例で、糞便中のピロリ菌抗原陽性率は対照群の20%だったにもかかわらず、症例群は57.8%と有意に高くなりました。血清中のピロリ菌抗原陽性率は、対照群31.1%でした。さらに、症例群のニキビの重症度をGAGS (Global Acne Grading System) で評価しました。重症度別のピロリ菌抗原陽性率を検討したところ、軽症群の25%、中等症群の62.5%に対して重症群では92.3%と、ニキビの重症度とピロリ菌抗原陽性率が有意に関連することが確認されました。

研究グループは「重症のニキビ患者の糞便中のピロリ菌は、抗原値が軽症・中等症のニキビ患者および健康対照群と比べて著明に高いことが報告されているが、今回の我々の知見はそれと一致する」と指摘しています。

研究内容への受け止めは?

今回の研究への受け止めを教えてください。

中路 幸之助 医師中路先生

ピロリ菌は、胃以外の様々な臓器疾患との関連がすでに指摘されており、皮膚疾患では蕁麻疹・酒さ・乾癬などの皮膚疾患との関連が報告されています。ニキビとの関連についてもすでに報告されていますが、今回の研究の特記すべき点は「ニキビの重症度とピロリ菌感染との関連の可能性を証明したこと」であると考えます。

今後、どのように活用できる?

今回の研究結果は、今後どのようなことに活用できるのでしょうか?

中路 幸之助 医師中路先生

今後の活用として、重症のニキビ患者をターゲットにピロリ菌の有無を調べて、陽性であれば従来の治療と併用してピロリ菌の除菌療法を施行していくことも考えられます。しかし、ピロリ菌の除菌療法自体でも皮膚疾患が出現する副作用も報告されているため、今後検討すべき課題であると考えます。

まとめ

エジプトのアインシャムス大学らの研究グループは、「ピロリ菌の感染が、ニキビの有病率や重症度と関連している可能性がある」という結果を発表しました。ニキビで悩む人は日本にも少なくないため、今回の研究は大きな注目を集めています。

この記事の監修医師